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おとうさんと一緒〜子連れ異世界旅日記《嫁探し編》〜  作者: はなまる
第1章 スローライフと似顔絵屋さん
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情報収集

 まずは図書館へ向かう。この街の図書館は、大変な蔵書家だった大きな商店のご隠居いんきょが建てたのだそうだ。今は街の議会が管理しており、貸し出しはしていなくて閲覧えつらんのみ。書き写すのはオッケーだそうだ。


 俺は文無しなので、受付でリュートに料金を払ってもらう。小学校の教室二つ分くらいの広さだが、背の高い本棚が列をなして並び、窓際に閲覧えつらん用のテーブルがある。


 地図は受付で別料金を払い、身分証の提示ていじをしないと閲覧できないようだ。俺を先にテーブルの方へうながし、リュートが地図を数冊借りてきてくれた。受付からなるべく遠くの席に座り、2人で地図を覗き込む。スマホを取り出し、シャッター音が聞こえないようにスピーカー部分を指で押さえる。


 街道などの道や、街や村の名前が見て取れる地図を中心に、片っ端から撮っていく。ちなみにこの街は「シュメリルール」という名前らしい。


 あらかた必要そうな地図をカメラに収め、図鑑コーナーへ向かう。植物図鑑と動物図鑑をリュートに選んでもらう。自分の役立たずっぷりと、リュートの有能ぶりに凹むが、ぐっとえる。ページを開くと、けっこう写実的な絵と説明文が並ぶ。今は読めないがそのうち役に立つだろうと思い、これらもカメラに収める。


 本はどれも手書きだったが、最近画期的な手法として活版印刷かっぱんいんさつが始まったらしい。さゆりさんは知識チートや内政無双ないせいむそうに手は出さなかったのだろう。


 後ろめたい作業に、なんとなく肩がった。肩と首を回しながら、図書館を後にする。


 続いて教会を目指す。


 この世界の宗教はギリシャ神話に似ている、ような気がする。太陽神がトップで、月や星や水や風など様々な神様がいるらしい。教会はそれぞれの神様に感謝する場所であり、病院や養護施設ようごしせつとしての一面もあるそうだ。看護師の嫁が教会に駆け込んだ事は、渡りに船と言えるだろう。


 教会の門をくぐる。宗教の気配というのは、どこの国でも似通っていると思っていたが、この世界でも同様なのだと感じる。


 神さまたちの像が並ぶ通路を渡り、礼拝堂っぽい場所の入り口を抜ける。教会の関係者と思われる、ネコ耳の女の人にリュートが話しかける。俺ホント役立たず。全然いらない子だ。

 

 しばらくすると、女の人がその場を離れ、タレ耳のじーさんを連れてきた。二言三言、言葉をかわす。頭を下げるリュートに、俺も慌てて頭を下げる。


 この世界のこういう所作しょさは驚くほど日本と同じだ。頭を下げて感謝、頷くと肯定、フルフルすると否定。首を傾げると疑問、呼ぶ時はおいでおいでだ。両手を合わせて眉の間に当てるとゴメンだと聞いた時は、過去に日本人の転移者の存在を疑った。言葉の話せない俺にしてみると、ものすごく助かるんだけどな。


「ヒロト、海の教会、教えてもらった。あとで、さがす。スポポの地図」


 リュート、スマホの事か?


 街の中心にある大きな広場へ行き、適当な木陰で腰を下ろす。大道芸人の楽器の演奏を聞きながら、さゆりさんが昼メシにと持たせてくれたサンドイッチを食べる。


「リュート、助かった。本当にありがとう」


 と改めてお礼を言うと、リュートは


「役に立つ、うれしい」


 と、照れたように鼻を指で擦った。


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