表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/94

4-16. 魔王の国造り 旧魔王領の悪魔(10)

仕事の関係で1年ほどお休みしていましたが、

今後週1くらいでの更新を目指します、、、頑張ります><

今後ともよろしくお願いします。


============================================

趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。

語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!

少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。

応援、よろしくお願いします。

Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか

外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/  カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み

============================================

ブクマありがとうです!!宜しければ評価も是非!!

お願いします\(^-^)/

一団を連れて『諦めの城』の中央広場に到着した頃には既に16時になっていた。

それでも、思っていたよりは早く到着した。

フェンリルで移動すれば一瞬ではあるが、人の足ならそれなりの距離がある。

その上に、攫われた人々の中には女性や子供もいたから、もっと時間が掛かるものと覚悟していた。


だが、人々や捕虜にした兵士をアイリやウェンディが影空間に入れてくれたおかげで、1時間程で城につくことができたのだ。


「ありがとう、ウェンディにアイリ。ホントに影スキルってのは凄く使えるスキルだよな。」

「御主人様の役にたててよかったです!」

「う~にゃ、、、。」


アイリは嬉しそうに元気いっぱいに笑って答えてくれたが、ウェンディは何やら不服そうにしている。

あれ?

ほめ方間違えたかな?


「ウェンディ?どうした?」

「アイリ様は捕まえた兵隊さん全部と人をほとんど入れてくれたのにゃ。ウェンディの影はそんなに入らないのにゃ!!なんで?」

俺達の会話を聞いていたアイリがウェンディの頭を優しく撫でた。

「それはね。ウェンディちゃん。ウェンディちゃんの職業レベルが足りていないからなのよ。」

「職業レベルあがったら、アイリ様みたいになれるのかにゃ?」

「うん!もちろんだよ!ウェンディちゃんは隠密系の適正高そうだからもっと凄い影技使えるようになると思う!」


アイリが拳をぎゅっと握り、ウェンディに向けてガッツポーズを見せた。

アイリのいう通りだし、影スキルの柔軟性からいえば既にアイリを凌ぐんじゃないか?

影を立体的に動かして相手を包み込んだり、影の中でも自分以外の味方『だけ』を自由に行動させるとか、アイリにも出来ないスキルを独学で派生させてるし。


「早くレベルあげたいにゃ~」

「ちゃんと強くなってるよ。ううん、ウェンディちゃんの歳なら本当に凄いよ。」

「そうかにゃー」

「そうだよ、ウェンちゃん凄い!」


シルフィが割って入る。


「カケル君も、、、わたしなんて、また結局何にも出来なかった。」

「え!?ぼ、ぼく!?」


突然、名前を出されたカケルが驚いて、聞き返す。


「うん。カケル君、あの人達の為に、、、凄く頑張って。アイリ様の役に立てて。凄いな。」

「僕は、、、。」


カケルは少し考えてから、俺の方を見た。


「今回は全然ダメだった。」

「カケル?」

「もっと勉強して、ちゃんと、、、」


立ち止まり、俺をじっと見つめる目に強い炎が宿る。

てっきり自分のせいだなんて考えて落ち込んでいるのかと思ったけど、自分自身でその先にたどり着いたか。


「ちゃんと考えて、ちゃんと強くなる!勢いだけじゃなくて、ちゃんと守れるように!」

「カケル君、頑張って。」


カケルは多分、小さい頃から一本角の自分の運命に抗う努力をしていたんだろうな。

シルフィがカケルを見る目がハートになっているのが気になるが、まぁまぁ、まだ子供だし、、、大丈夫かな?


「それとシルフィ。さっきも言ったが、カケルやウェンディの活躍は確かに派手で目立つけど、二人が安心して行動するにはシルフィの存在は欠かせないんだ。だから、シルフィがいてくれるて本当によかったよ。」

「アル様、ありがとうございます。」


シルフィは自信無さげに頭を下げて礼を言う。

やっぱり、この子にはちゃんとヒーラーの師匠をつけてあげないと。


そんなことを考えながら、噴水広場の真ん中で集まっているユーズと人々の様子を伺う。

攫われた人々は城の中をキョロキョロと不安そうに見渡しながら、まとまって時折俺の方を見ては何やらコソコソと話し合っていた。

恐らくは、この後の自分達の身の振り方を相談しているのだろう。

ユーズが上手く説得してくれているか、、、いや、そもそも彼自身もどう考えているのかはわからない。


「自らの意思で、、、か。」


自分が彼に放った言葉を反芻する。

彼らが俺に向ける視線は『助けてくれた恩人』に対するそれでは無い。

あくまで人族の敵である『魔族』に対するものだ。


良く考えてみれば、自分達を守るものと信じていた者達に裏切られ、襲われて疑心暗鬼に陥っている人達だ。

一度救われたからと言って、簡単に魔族側である俺達に身を委ねてくれるだろうか。

俺は王国の内情をある程度知っているから王国に戻るなんて選択肢はあり得ないと思っていた。

だけど、もし彼らが自分達を襲ったような兵や貴族は一部で、王国中央は自分達を守ってくれる存在だと未だにしんじていたら、少しでも希望をもっているとしたらどうだろうか。


生まれてからずっと敵と認識していた魔族の言葉よりも、それでも王国を信じて戻るという人が一定数いるかもしれない。


「頼むから、冷静に判断してくれよ。」


俺は祈るような思いで呟いた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


人々の話し合いが長引きそうだったので、アイリを連れてフェンリルが抑えてくれている人々のところへと向かった。

フェンリルがいる広場に着くなり、獣型のフェンリルがお尻の辺りから伸びるフサフサの尻尾を左右にブンブンと振りながらアイリに勢いよく抱き着いた。


「アイリ様!!無事で良かった!」

「フェンちゃん!ごめんね、心配かけたね。」

「フェンリル、危ないところだった。ありがとう。」


俺の言葉に耳を二・三度ぴくぴくと動かすと、フェンリルは厳しい目つきで俺の方に振り返った。


「アル、もっとアイリ様を大事にしてくれないと困る。アイリ様が無茶をする人だって事はアルが一番良く知っているでしょ。」

「フェンちゃん、今回は完全にあたしの判断ミスなの。ご主人様を責めないで。お願い。」

「アイリ様は悪くないよ!!」


アイリが俺のフォローに回ると、すぐに表情を緩めてアイリにしがみつく。


「フェンリル、今度からは気を付ける。」

「ったく、頼むよ。」


俺の言葉にフェンリルは不服そうな表情のまま、小さく頷いた。


「ところで、フェンリル。ここの人達の中に話が出来そうな、、、理性を保った人は?」

「見ての通りだよ。」

「無理そうか、、、。」

「アル、ここに国を造るといっても、この人達は正直邪魔になるんじゃないか?」


先ほどよりは随分おとなしい、、、というか動いていない。

正確に言うと生物していは生きているし、動いているが、人としては活きていないという感じだ。


「勿論、直ぐには無理だと思うけど、、、長い目で見ないと。この人達を追い出したなんて、、、それこそミレーリア様との約束の障害となる。俺達は迫害された人々を救い出し、庇護したのだという実績を作るんだ。そして、その実績を頼りにレイグランドと再交渉に臨む。」


魔族、魔王というだけでも人族からの評価は最悪、その上に自ら弱者を切る捨てたなんて情報がでたら、レイグランドに押し掛けている難民達が俺を頼る可能性はゼロになる。


「長くなりそうだけど、、、。」

「生まれた時からこの状況じゃない、少しでも幸せを知っていて、苦痛から逃れる為に心を閉ざしたなら。安心できるんだ、もう逃げなくていいんだと、彼らの心にちゃんと伝える事が出来れば。ま、やってみるさ。」


フェンリルには言ったものの、俺の中にも多少の不安はあった。

俺は服の裾を掴んで、ギュッと握りしめているアイリをちらりと見た。


アイリの時でも、その心の扉を開けるのに半年以上かかったのだ。

しかもアイリは直後に自殺未遂までしている。


ここの人達も相当な苦痛を自分自身で経験しているのだから、その扉を開けるのはアイリと同様に難しいのかもしれない。


「御主人様、大丈夫です。きっと大丈夫。」

「あぁ、アイリ。ありがとう。」


俺の焦りを感じとったアイリの言葉に笑顔を作って答えたが、自分の中にある焦りを隠す事は出来ているだろうか。


勇者が本格的に動きだす前に、、、。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ