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4-15. 魔王の国造り 旧魔王領の悪魔(9)

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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。

語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!

少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。

応援、よろしくお願いします。

Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか

外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/  カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み

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ブクマありがとうです!!宜しければ評価も是非!!

お願いします\(^-^)/

俺の目の前でデーモンの体が霧散して、真っ黒なコアが落ちて転がっている。

その傍らには人族の兵士の遺体と、気絶させた隊長と数人の部下が倒れていた。


「俺の中にあんな一面があったのか、、、。」


この場に降り立ち、アイリやカケルの状況を間近に見た時から負の感情をコントロールできなくなっていた。

冷静さを取り戻した時には、既に八割の兵士が絶命していた。

同じ人族、ついこの間まで勇者として守るべき対象の一人であった彼らを、何の躊躇もなく殺していた。

心の中にドス黒いもやが掛かったようなあの感覚。


「気をつけなきゃ、、、アレにのみこまれないように。」


今思えば魔王に転職した時に、自分の中に何か物凄くおぞましい何かが巣くった事は感じていた。

それは俺が何かを憎む度に少しずつ、確かに成長をしている。

俺は頭をぶんぶん横にふって、その悪いイメージを振り払った。


「さてと、あとは気絶させた人族の兵士を拘束して終わりかな。ウェンディ、もういいよ。」


そう言うと、ウェンディの影隠れが解除されて、人質にされていた人々やアイリ達が再び地上に現れた。


「あれ?カケルは?」

「カケル君は、その、気絶していたので影の中にまだいます。」

「ありがとう、シルフィ。ヒーリングのタイミングが良くなってたよ。」

「そんな、わたし、、、今回も何もできなくって。」


明らかに自信を失っている。


「それは違う、シルフィがいるからカケルは無理が出来た。君がアイリを回復する事がカケルの作戦の前提になっていたんだ。だから、シルフィはとても大事な役を果たしたんだよ。」

「アル、、、様、、、。」

「ヒーラーって言うのは凄く難しい役なんだ。それこそ、ヒーラーによってパーティの命が握られていると言っても過言ではないくらい。だから、これからもあいつらを守ってあげてね。」


シルフィは嬉しそうに、だけどまだ辛さを少し含ませた表情をこちらに向けた。

ウェンディのような天才、カケルのようなど根性の極端な二人に挟まれて、この子はすごく劣等感を抱き始めている。

学校でもあって、その他大勢の同年代の子供がいれば、如何にすごい事を経験し、その中で何かをなしているという自信はつくのだろうが、今のこの子にはあの二人しか比較対象がいない。


まるで自分が、自分だけが成長出来ていないという漠然とした不安にかられているのだろう。


そして、いつもなら真っ先に飛んできそうなアイリが後ろの方でもじもじしている。


「アイリ?」

「あ、御主人様、、、その、、、ごめんなさい。」


閉じた目に力を込めて、俺の方に頭を突出す。

これ、、、は、、、お仕置き待ちか?

体をプルプルと震わせて。

ヤバい、必死に堪えている姿か可愛い。

暫く、このままにして観察したいという欲求が沸き起こるが、、、。


「アイリ、これは俺のミスだ。だから大丈夫だよ。」

「で、でも、、、カケル君が飛び出してしまった時、ちゃんと止めていれば。」

「もし、アイリ達が彼らを止めていなければ、城の状況に気づいた兵によって、あの人達の中に犠牲者が出ていたかも知れない。」


多分そうなっていた。

彼らの存在は王国の暗部を示す証拠になる、とりあえずまだ壊せていない証拠だけでも処分しようと動いたにちがいない。


だから、新たな奴隷を作る場に自分の兵を動向させたのだろう、失敗した時の保険、捕らえた人もろとも全て消し去る為に。


「さて、問題はこの人達だな。」

「問題、、、ですか?」


俺は彼らの方に向かってゆっくりと近づいた。

一団に動揺が走る。


「ま、魔王って、、、」

「いやだ!!来ないで!!」

「た!助けて!」


声も出せずに人の影に隠れてこちらを睨み付ける者もいる。


俺は彼らの動揺を煽らないようにそこで足を止めた。

さて、本当にどうしようかな。

この人達の存在は正直想定外だ。


「取り敢えず城につれていくしかないと思うけど、素直にしたがってくれるか。」


先程の反応を見る限り厳しいのではないか。

恐らく恐怖につけこんで言うことを聞かせる事は出来るだろう。

でも、そんな状態で城内のあの人達を見たときにこの人達がどう思い、どう反応するかがわからない。


「俺が話をしよう。」


そんな俺の様子をみかねてなのか、捕まっていた人の中から20代後半くらい、筋肉質で比較的巨漢な男が俺の方に進み出た。


「貴方は??」

「俺はあいつらに滅ぼされた町で町長の助役をしていたユーズてもんだ。見るところ、俺たちの処遇に頭を悩ませているんだろ?」

「あぁ、町長は?」

「奴隷に必要なのは性奴なら見た目、労働奴隷なら若さ・屈強さだ。うちの町長は年老いておられたからな。」


奴隷に不向きな者は皆殺しと相場は決まっている。

ユーズと名乗る彼ですら、本来の奴隷適性から見れば


「そうですか。知らなかったとはいえ、申し訳ない。貴方なら彼らをリードできますか?」

「少なくとも今は誘導する事はできると思う。だが、心の問題はどうかな、正直わからない。俺達は信じていたものに、、、俺達を守ってくれると信じていた母国の兵に町ごと奪われ、魔族に売られた。もう、誰も信じられないんだ。」


そう言って、彼は俺の目を暫く見つめてから、一言付け加えた。

彼なりに気を使ってくれたのだろう。


「貴方じゃなくても。」

「ありがとう。俺達は”諦めの城”に向かいます。そこまで彼らを誘導できますか?」

「あぁ。彼らに話をしてくる。」


俺は彼に理解を示し、彼に一団の誘導を任せる事にした。


「あ、あと一つ。できれば、今後の事も考えておいてもらえると助かります。」

「今後の事?」

「俺達は、あの城を拠点として、ここに国を造ります。俺の配下になりたいと願う者には国民の一員として歓迎します。」

「断った者は?」

「貴方達の母国との境界辺りまでは送り届けましょう。」


俺の言葉に彼は目を閉じて呟いた。


「優しいご主人様、、、か。」

「??」

「今の俺達には選択肢なんて無い、帰る場所なんて無い。さっき話した通りだよ。」

「そうですね、、、。」

「いっそ、『俺に従え』と命令してくれた方が優しかったよ。選択肢の無い者に選択の自由を与えるなんて残酷だ。」


彼の言いたいことは理解できた。

それでも、、、僕は彼ら自身に選んでもらう必要があった。


「悪いが慈善事業じゃない。来るなら、『自らの意志』で来てもらいます。貴方達の境遇には同情しますが、俺にも国を造るという目的があります。最初から不穏因子を抱えるわけにはいかない。厳しいようですが。」


俺の言葉に彼は少し眉をひそめたが、直ぐに自分を納得させるように頷いた。


「いや、むしろ信用できるさ。上っ面で全部なんとかなるなんてガキのおとぎ話されるよりは。」


たぶん、残る事を選んだとしても、心の中では魔族、ひいては魔王である俺に反感を持つだろう。

それでも、命令された者と自ら選んだ者では、その先の未来に向かう活力か全く異なる。


「皆にはそのように話をしておく。」


ユーズは皆の所に戻ると、足を小刻みに震わせながら、怯える彼らに懸命に語りかけていた。

恐らくは彼自身も相当な恐怖の中で、俺と話をしていたのだろう。


もし、彼が残ってくれるなら内政官の一人として活躍してもらえそうだな。


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