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4-14. 魔王の国造り 旧魔王領の悪魔(8)

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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。

語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!

少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。

応援、よろしくお願いします。

Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか

外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/  カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み

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ブクマありがとうです!!宜しければ評価も是非!!

お願いします\(^-^)/


諦めの城のほぼ中央に位置する八角形の噴水広場。

大きな女神の石像が水瓶を肩に担いでいる、まぁよく見る噴水だ。

一つ違うところと言えば、その水瓶から水が出ることはなく、噴水は既に枯れていた。

レンガ造りの路は所々破壊され、荒れ果てている。

それでもかつての繁栄を感じさせる。


様々な人々が行き交っていたであろうこの場所には、今はおびただしい数の魔族が死んだときに出るコアが転がっている。

魔族は魔獣と異なり、死んだときには肉体は塵となって消え、コアと呼ばれる丸い石が残る。

このコアは冒険者ギルドや教会に持っていくと換金してもらえるのだが、彼らが何の為にこれらを集めているのかは謎のままだ。

勇者だった俺ですらその使い道は知らない。


「ふぅ、、、。これで全部かな?」


周囲を慎重に確認しながら、討ち漏らした魔族がいないか城内を確認して回るが、生き物の気配は無い。


「それにしても、結局アイリは来なかったな。」


途中で絶対に乱入して来ると思っていたんだけど。

頭の片隅に引っ掛かりを感じながらも、城の西側に位置する人族の収容エリアに向かった。


ボスが倒された事を察知した魔族はやはり統率を失い、破壊衝動を押さえ込まれていた魔族は俺のところじゃなく、弱くて簡単に遊べそうなここの人達を襲いに来ていた。

フェンリルが片付けてくれたんだろう、数体の魔族のコアが転がっている。

待ちきれなくなったのか、フェンリルにしては落ち着きなくウロウロと動き回っている。


「フェンリル、ありがとう。」

「アルベルト、、、さっきからアイリ様との魔力リンクが不安定になってる。」


俺がねぎらいの言葉をかけるのとほぼ同時にフェンリルが不安そうに告げてきた。


遠く離れて活動をさせる場合は、ディアブラのようにある程度の活動魔力のストックを与えておく。

対して今回のようにアイリが比較的近くにいる場合は魔力をリンクさせておき、常にフェンリルの活動魔力が供給されるようにしているらしい。

使役者は魔力リンクを意識的に維持する必要があり、魔力リンクが不安定ということは、使役者が魔力リンクを維持できる状況じゃない可能性が有ると言うことだ。


念話を繋いでみるがアイリからの反応がない。

奴隷と主人の関係の場合、奴隷側からチャンネルを閉じる事は出来ない。

そして頭の中に直接響く念話に反応出来ない時は、睡眠中等の意識が無い場合、又は、、、。


アイリに何かあったのかも!

ファランクスの中の人々を一瞥する。

赤子までいる、、、今はフェンリルが抑えているから大人しいが、そのタガが外れたときに彼らがどんな行動に出るのか想像がつかない。


放っておくのは危険だ。


「フェンリル!ここ、もう少し頼む!分身いけるか?」

「分身だと、途中で消えちゃうかも!」

「それでいい、スピードにさえのれれば。そのまま飛翔で飛んでいく!」

「わかった!」


フェンリルの分身の一匹が俺の前で身を低くする。


俺がその背に飛び乗ると、一瞬にして城の上空に飛び出し、一蹴りで一気に加速する。


さっきまでいた場所が一瞬にして背景と化す。


アイリ達に待機を命じた街道が見えた!


な、んだ?

デーモンと人の混成軍と奴隷らしき人々。

おそらく、新たな奴隷とする人々を襲いに行った部隊が戻ってきたというところだろう。


「くそ!ミスだ!」


王の間で捕らえた重役らしき貴族が一人で城にいた時点で気づくべきだった。

貴族が一人でこんなところに来るなんてありえない!!


たぶんあそこの人族の兵達は、あの貴族が接待されている間にデーモン達の手伝いにでも駆り出されていたのだろう。

貴族がデーモンに売り払った村か町かへの道案内もかねて。


俺は自分の愚かさに対する怒りで拳をギュッと強く握りしめた。


人質を気にしているのか、アイリは一方的に攻撃を受けているものの致命傷になるような攻撃は受けていない。

少し離れた位置にカケル、ウェンディ、シルフィも大きなダメージは負ったものの、見た限りでは回復可能なものだろう。


その時、フェンリルの分身の輪郭が揺らめき、体が透け始める。


「ありがとう、助かったよ。」


フェンリルの分身が消えるのとほぼ同時にスピードに乗ったまま飛翔スキルを発動した。


間に合うか!


「カケル!?ダメだ瞬突じゃ!」


カケルの瞬突では状況を変えるだけの力はない。

いや、もし目の前の隊長を倒せたとしてもだ、そこで終わりだ。


この期に及んでは、逃げの一手以外にはない。

本気で俺はそう思った、カケルの次の手を見るまで。


「瞬突の連続発動!?オールレンジ全体攻撃とか!!」


残像が目に残るレベルでの瞬間移動、人質の解放だけを目的にした行動。

威力こそ弱いけど、瞬突が届く範囲に対する全体攻撃で、かつ、攻撃を受けた敵は一瞬怯んで止まってしまっている。

範囲の敵の敵視を集めつつ、敵の行動を一瞬スタンさせる技なんて!!

パーティの盾役としては、物凄く使い道のある良い技だ。


それに加えて、影隠れによる人質安全確保までのみごとな連携!!

アイリに向けた回復魔法のタイミングも依然に比べると格段に良くなっている。


若干、焦りからか詠唱をもたついてしまった為に、敵に最後の攻撃をさせる隙を見せてしまったが、

10かそこらの子供達が、自分達よりも圧倒的な強者に対してあんな行動がとれるだなんて。


「あいつら、、、」


想定以上の成長を見せつけられた。

敵の魔法攻撃を防ぎきり、その場に倒れこむ弟子を右腕で受け止めながら、ようやく俺はその場に立った。


「よく、頑張ったね、カケル」


俺の心からの労いの言葉を聞いたカケルの表情が一気に柔らかいものになる。


「おそいよ、バカ師匠」


カケルはそう言って意識を失った。


「ほんとに、、、つよくなった。」


俺はゆっくりとその場にカケルを横たえさせると、敵に向けてスキルを発動した。


『キング'ズプレス』


その場の空気が一変し、敵の兵は皆一様に小刻みに震え、中にはしりもちを突いて失禁するものまでいる始末。


「ご、御主人様」「アル様」


アイリとシルフィが俺の姿を確認して安堵の表情を浮かべる。

アイリに関しては若干複雑そうな顔をしているがダメージに比べて致命的な傷は無さそうだ。


「皆も頑張ったね。ウェンディ、そのまま影の中にアイリ達を隠せるか?」

「はいにゃ!!」


元気いっぱいの声で答えが返ってくると同時に、森の中から伸びた影が3人を包む。

アイリですら、たぶんこれは出来ない。

浮遊島でフェンリルが言った事を思い出す。


『ウェンディは死にたがり』


もしかしたら、その焦りが彼女の成長を異常に早めているのかもしれない。

であれば、この成長は素直に喜べるものじゃないんだけど。


「さてと、死に行くお前たちに意味のない事かもしれないけど。一応名乗っておく。魔王アルベルトだ。」

「ま、待ってくれ!!俺たちは!!」

「知っているさ、王国の兵だろ?諦めの城は俺がすでに制圧した。貴族様も一緒にな。」

「あ、ああ、、、、た、助けてくれ。金ならいくらでも」

「そんな、まさかボスが!!ま、待ってくれ魔王様、俺ら魔族はあんたの」


彼らの言葉を待たずに俺は剣を抜いた。

大事な連れを痛めつけられたこともあるが、それ以上に。

城内で精神が壊れた人々、カケル達が必死に守った人々を思い浮かべる。


「俺の部下に下種はいらないんだ。」


そう、一言告げてからせん滅行動を開始した。

その場に取り残された敵に向かって、自分自身の愚かさへの怒りものせて。


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