4-13. 魔王の国造り 旧魔王領の悪魔(7)紅蓮の盾
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/ カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み
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僕の目の前で、あのアイリ様がなすすべなく人族隊長の攻撃を耐えている。
僕がアイリ様が止めるのを聞かずに飛び出してしまったから。
『策もなく出てきたお前らが間抜け』
悔しい!!
あいつの言うとおりだ!!
ただ自分が同じ魔族だから足止めならできると思った。
ただの思い込み、ただの願望。
失敗した時にどうなるかも、戦闘になったらどうするかも考えていなかった。
ただの行き当たりばったり。
結果は何も成せず、ただただアイリ様達を危険にさらしただけ。
ドンッ!!
ひときわ大きな音が出てついにアイリ様も立っていられなくなり、地面に膝を着く。
「「アイリ様!」」
「お前には腕を切り落とされているからな!簡単に死ねると思うなよ!」
もはや僕らの事は眼中にないとばかりに、先ほどまで傍観を続けていたデーモンがアイリ様への攻撃に参加し始めた。
「カケル君、どうしよう!アイリ様が!」
僕の袖を掴むシルフィの手は力いっぱい握りしめれ、小刻みに震えている。
ウェンディは少し前に攻撃体勢をとったけど、その直後に敵の隊長が人質を盾にしたことで動きを止めた。
くそ!戦闘になった時点で直ぐに人質の安全を守るべきだった。
人質を、しかも複数人でバラバラにとられたらどうしようも無い。
アイリ様ですら、ただ敵の攻撃にさらされ続けるしか手がない。
どうしよう、、、僕が、、、僕のせいで。
僕がなんとかしないと!!
敵は強く、人質もとられ、圧倒的な不利な状況。
考えろ!
まだだ、まだ諦めてたまるか!
僕に、僕らに出来ることは!!
挑発、、、この場でおそらく効果は無い。
ウェンディの影手裏剣が効く相手じゃない。
瞬突、、、一人倒したところでこの状況が、、、。
一瞬、無意識に遠くに見える城に視線を移す。
アルベルトが浮遊島での修行中に教えてくれた。
『威力は弱いが早い』
そうだ!、、、何も僕が倒す必要はないんだ!!
何故だろう、急激に頭が冴え渡るのを感じる。
周囲の状況がクリアに頭に入ってくる。
「ウェンディ、あの人質達を僕が解放する。そしたら直ぐに人質を全員影隠しで影の中に入れられる?」
「わかった、やってみるにゃ!」
「シルフィはウェンディの影隠しが成功したらアイリ様に回復魔法唱えたら、直ぐにウェンディの影の中へ」
「は、はい。」
大きく息を吸い、そしてゆっくりと吐く。
神経が研ぎ澄まされていくのがわかる。
みなの動きがゆっくりと感じ取れる。
人族の隊長が、アイリ様への攻撃の為に人質を後ろに下げた。
今だ!!
「喰らえ!!瞬突!!!」
僕は人質を盾にしている人族の隊長に向けて瞬突を放つ!!
一瞬にして詰められた間合い、人族の隊長が反応するよりも早く!!
僕の剣が人族隊長の手を貫いた。
「ぐあ!!」
油断していた隊長が人質を掴む手を離した!!
僕は、そのまま一気に足を踏ん張る!!
「ぐあぁ!止まれ!」
魔力を足元で爆発させて一瞬で敵との間合いを詰める瞬突。
そのスピードを一気に殺す!!
その反動で足に異常な負荷掛かって、ものすごい痛みが全身に走る!!
でも!!だからどうした!!
残った魔力のすべてを使って!今、この一瞬にすべてを乗せる!!
「ぬああああああああ!!!瞬突!!!」
「瞬突!!!」「瞬突!!!」「瞬突!!!」「瞬突!!!」「瞬突!!!」「瞬突!!!」
瞬突で一気に移動しては止まり、移動しては止まりを繰り返しながら
人族に捕まっている人々を開放していく!!
「これで!!最後だ!!!」
最後の兵士から人質を解放するために、すべての魔力をつぎ込んだ。
「瞬突!!!」
足元で起こる激しい爆発、急激な重力に抗い、僕の体は一瞬にして最後の人質の目の前に移動する。
「ウェンディ!!!」
「任せろにゃ!!影隠れにゃ!!」
ウェンディの影から伸びた影が、人質たちの影を包む。
ありったけの魔力を込めた影隠れが人質達をその影の中に取り込んだ。
「精霊達よアイリ様に祝福を!回復魔法:《精霊の癒しスピリッツヒール》」
僕は、何度も瞬突の移動をキャンセルしたことで足がついに馬鹿になったのか、もはや身動きする力は残されていなかった。
「貴様ぁぁぁ!!」
膝から崩れ落ちる僕の頭上で、人族の兵士がシルフィに向かって強力な魔法を放とうとしているのがうっすらと見える。
そんな、まさかそっちを狙うなんて!
アイリ様もダメージが大きくて動けてない。
あぁ、、、もう、、、動けない。
ぼやける視界、遠のく意識の中で僕は謝り続けた。
ごめん、、、シルフィ、、、ごめん、、、ねぇ、、、さま
”よぉ、おまえはそれで終わりか??”
アルベルト!!!
「こなくそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
何も持てない、盾どころか剣すら落とした。
前のめりに倒れそうになりながらも、僕はシルフィの正面に立ち、手を向かい来る光の波動に向かって目いっぱい突出した。
体の芯が熱い!
立つので精一杯な体のわずかな力を手の平に集中するんだ!!
「守るんだ!!僕が!!」
手の平に集中させた、なけなしの魔力の盾が光の波動を二つに裂いた!!
体の横をすり抜けた光線が地面をえぐる!!
「僕は!!」
「あいつに認めさせるんだ!!」
「ああああああああああああああ!」
二つに分かれた光が地面をえぐり、激しく爆発した。
粉塵が舞い、視界が失われる。
今度こそ、一切力が入らない。
体を支える力さえも失い、僕はそのまま前向きに倒れ、、、地面につく前に人の腕が僕を支え、抱きしめてくれた。
もはや目は開けていられない、瞼を開くちからすら残されていない
「よく、頑張ったね、カケル」
安心して、目じりから涙が零れ落ちるのを感じる。
僕の耳に届いたその声で、僕は安堵し、意識が暗闇へと落ちていった。
「おそいよ、バカ師匠」