4-10. 魔王の国造り 旧魔王領の悪魔(4)
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
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外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/ カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み
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城内の家屋の影から監視塔の様子を窺う。
だるそうに座り込んでぼーっとしているのが一匹、そしてさらった人に暴行し、なぶり遊んでいるのが一匹。
警戒など微塵も感じられない。
王の間を出てから、慎重に城内の魔族を各個撃破しながら拐われた人達のいる区画に進んだが、監視対象がほぼ何の力も持たない普通の人だからだろうか、監視役はほぼ雑魚ばかり。
気が緩み切っていて、ほぼ苦労することなく人々の前に到着することができた。
「はっ!!」
家屋の影から飛び出して、声をあげる間も与えずに魔族二体を絶命させる。
「これで、監視の魔族は全部片付いたかな?」
俺は剣を空を切るように何度か振って、刃についた血を払った。
俺の目の前では、先程まで魔族の一人になぶられていた人達が震えながら見ている。
突然の出来事に対して理解が及ばず新たな恐怖におののいているのだろう。
中には精神に異常をきたしたのか、笑い続けている者や、涎を垂らしながら意味のわからない言葉を発している者もいる。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「アハッ!アハハハハハハハハ!!アヒャアヒャアヒャ!」
「あー、うーー、あー、、、」
俺が声をかけるが反応は変わらない。
「あの!」
少しだけ声を大きくして、離れてこちらの様子を窺う人にまで声を届かせる。
しかし、目は虚ろで人形のようにただただ動かないだけだ。
全てを諦めた目。
一体どれだけの仕打ちを受けてきたのだろう。
正常な精神を保っているものを探すが、みな無反応・土下座・パニックなどだ。
「困ったな。」
「どうした?」
「いや、出来れば皆に一カ所に集まってほしかったんだけどね。」
こう、ばらけられては守りにくい。
どうする、、、このままスニークキルを続けているのには限界が来る。
何より時間が掛かりすぎる。
そろそろアイリが我慢の限界に達している頃だろう。
彼女たちが突入してくる、それまでにはここの人達の安全を確保しておきたかった。
「一カ所に集めれば良いんだよな?」
フェンリルが不意に月狼化し、さらに数体の分身を作り出す。
「グルルルルルルルル!」
大きな牙を剥き人々を睨みつけると、先程まで反応しなかった人々に緊張が走ったのが見てとれる。
明らかにフェンリルを怯えた目付きでみている。
「グァァァァァァ!」
「ひ!ヒィァァァァァァ!」
低く唸りながら広場を走り回ると、人々は恐怖にかられて走りだした。
フェンリルは、走って逃げる人々の横から、正面から、その超スピードで一定方向に追い立てる。
追い立てられた人々はいつの間にか、俺の目の前で団子になってへたりこんでいた。
精神が崩壊していて、フェンリルを見ても無反応な人々の事は、軽く加えてその団子に向かって放り込んでいく。
ほんの数分といったところか、かなり広範囲を追いかけ回ってくれたおかげで、この城の人々を全て一ヶ所にまとめる事ができた。
「あっという間だな。」
「感謝しろよ?」
「あぁ、ほんと助かったよ!しかし、、、こうして見るとかなりいるな。その子は?」
見ると、まだ乳飲み子位の赤ん坊が入ったかごをフェンリルが咥えてゆっくりと歩いている。
「ここ、なんか変だよ。赤ん坊や子供がいるんだ。乳飲み子はこの子だけだけど。」
「あぁ、多分、、、ここで生まれた子供達だな、、、だけど。」
母親がわからない。
普通なら、子供を放って逃げる事も考えにくいし、仮にはぐれてしまったとしても、その姿を見つけたら心配で仕方ないと思うのだけど。
「誰も気にする様子がない。追いかけ回した時は誰かそばにいなかったのか?」
「えっと、いなかったよ。哺乳瓶とかは部屋にあったけど。」
「そうか、、、その子だけじゃない。落ち着いたら聞いてみよう。多分今はムリだ。」
他にも、一人で歩ける位の子供達もいるのだが基本的に一人でいるのが気になる。
普通の子供は親とか、そういう自分を庇護してくれる者の近くにいようとする筈なのに。
特に今のような命の危険を感じた時ならなおさら。
嫌な想像が頭をよぎる。
人の貴族と奴隷売買を行う悪魔。
なら、考えそうなことだが。
「さっきの王の間の子らは良いのか?」
「あぁ、一応部屋全体を隠してあるから。」
「ほんと、そういう対応早いよな。いつの間に。」
考えていても仕方ないな、今は事を前に進めよう。
目の前の千近くになる人々を見渡す。
さて、かなり魔力を使うし、これで流石に魔族も異変に気づくかな。
「大ファランクス!!」
俺は団子状になった人々に防御スキルを展開する。
かなり魔力を奮発した。
いきなり自分達を取り囲む半透明で青白い壁の出現によって、人々の間に動揺が走るが、フェンリルが分身達と共に四方から、すかさず威嚇して抑えてくれる。
「フェンリル、今から城の中央辺りで敵を集めて殲滅する。おまえは、もし打ち漏らした敵がこちらにきたら」
「あぁ、僕が守っておくから安心して良いよ。」
「助かるよ。」
俺はフェンリルの頭を優しく撫でる。
「さて、守るべき対象の安全は確保した!最後の仕上げにかかるか!飛翔スキル発動:フライ!!」
俺はあえて目立つように飛翔スキルを使って、一気に城の中央広場に向う。
まずは目立ちながら魔族を中央に集めて、一気に殲滅しよう。
高度が城壁の高さを越えて、外の景色が見えるようになった。
一瞬アイリ達が隠れている森に視線を移す。
魔族に気取られないようにかなり離れた場所なので、うっすらとしか視認出来ない。
さすがにこの距離で俺のファランクスには気づけていないだろうけど、さっきのフェンリルの魔力解放は使役しているアイリ本人には伝わっているはず。
そろそろ痺れを切らして突入してくるかも。
そんな予想を立てながら上空から地上の魔族に向けて攻撃魔法を放ちながら殲滅行動を開始した。