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4-5. 魔王の国造り カケルのクラスチェンジ(2)

後で前書き更新予定です

「ママからアルが来たよって手紙もらってさ、来ちゃった。」


カルナは舌をペロっと出しておどけて見せる。

なるほど、ミレーリア様の言葉の意味が漸くわかった!


『もう直ぐその親子丼も食べさせて、あ・げ・る!』


あれはカルナがもうすぐここに来るという意味だったのか。


「いや、来ちゃったって!勇者パーティーの一員だろ?あの後直ぐに新しい勇者は選ばれて一緒に行動してたんじゃ?」

「うん、直ぐに選ばれて、色々すっ飛ばして試練受けてるとこだと思うよ?」

「カルナはついて行かなかったの?」

「う~ん、なんかちょっと違うな~って思ったから抜けて来ちゃった。」


少し歯切れの悪さを感じたが、俺には言いにくいなにかが有るのだろう。


「抜けて来ちゃったって、、、よ、良く連合の人達に許して貰えたな。特にグラナド辺りが手を回しそうだと思ったんだけど。」


カルナの歌による強化や弱体化は本当に凄いし、本職には劣るものの、カルナの回復魔法のタイミングは完璧だった。

それを知る勇者パーティーのメンバーがみすみす、カルナの離脱を許すと想えないんだけど。


「許しなんかもらってないよ?」

「え!?」


ヤバい、軽く衝撃発言が飛び出したんだが!

まさか、黙ってぬけだした?


「だ、ダメじゃないか!レイグランド王国を巻き込む国際問題にされるぞ!」

「問題ないよ?」

「いや、大ありだって!!勇者の従者はそんな簡単に出たり入ったり出来ないんだよ!」

「なぁいぃのぉ!だって、あたしアルに正式にメンバー登録してもらって無かったもん!」

「え!?」


・・・


・・・


・・・


ヤバい、衝撃の追加きた!!

しかも俺も当事者じゃない?

え!?嘘!?あれ!?


俺は過去の自分の行動を思い起こす。

カルナが突然押し掛けてきて、最初は師匠の娘だから無下にもできず一緒に行動するようになって。

子供じみた行動に困らされる事もいっぱいあったけど、旅が凄く楽しくなって、戦闘でも存在感は抜群だった。

師匠が消えた後も特に違和感なく、一緒にパーティー組んでて、、、あ、あれ?


・・・


・・・


・・・・・・確かに!!!!


俺、確かにカルナを勇者の従者として正式登録してない!!

勝手についてきたとはいえ、いわばカルナは王女殿下、、、なのに、当たり前のように勇者の旅のお手伝いをさせていたのか、、、俺は。


「あ、あのカルナさん。」

「え?なぁに?」


いきなり俺から『さん』付けで呼ばれて驚いたようだ。


「その節は大変失礼しました、、、。」

「あ~!!もしかして今気づいちゃった感じ?どんなに頑張ってもアルから一向に話が無いから、結構へこんだんだけどぉ~」


うぐっ!!

そう言われると返す言葉もない。


「ご、ごめん。」

「でも、そっか、認めてないわけじゃなかった?」


カルナは少し不安そうな表情を浮かべた。

多分、その軽い感じとは裏腹にそれなりに気にしていたのだろう。


「当たり前だろ?カルナがいてくれて凄く助かってたよ。」


これは俺の素直な気持ち。

カルナがいてくれて良かったと思える場面は何度もあった。

戦闘だけじゃなく、普段の生活の中でも。


「へへへ、でしょでしょ?何かおかしいなぁって思っていたのよね、認められているようで、認められていない微妙なふわふわした感じだったから。メンバーにしてくれない割には、お部屋とかお給料分配もしてくれたし、戦闘では結構役に立っていたと思うのよね!でも登録はしてもらえない、みたいな。」

「あ!!だから生活苦しかったのか!」


アイリは元々奴隷なので除外、カルナもメンバー外だから、実質、補助金は四人分でそれを五等分してたから微妙に割り切れなかったり、若干少なく感じたのか!カルナは最初からいたから、カルナ分を含んだ補助金だと勘違いしていた、、、。


「あはは。そうかも。」

「いいえ、違います。」


後ろから、アイリが割り込んできた。


「カルナちゃんの無駄遣いがパーティーのお財布を苦しめていたんです。」

「アイリ、起きたのか。」


ベッドのそばで仁王立ちし、腕を組み、眉間に皺を寄せている。


「え~!!無駄遣いなんかしていないよぅ。」

「あ、じゃ、これ捨てて良いのかな?」


アイリがおもむろに影の中からパンパンに膨らんだ鞄を取り出した。


「あああああああ!やっぱりアイリが持ち出してたのね!私のオモ、、、宝物!!泥棒だ!」


隠さなくても全員知ってるから、その中身がオモチャでいっぱいな事は。


「カルナのじゃない!これはパーティー共有のお財布で買ったものよ!つまり御主人様のお財布なの!」

「違うもん!カルナが買ったんだから、カルナのオモチャだもん!!」


いや、もうオモチャって言ったよね!


「そのお金の出所の話をしているのよ!!」

「アルが買っていいって言ったもんね~だ!そうだよね!アル?」


うーん、、、言った記憶がない、、、。


「言うわけないじゃない!ですよね?御主人様?」


言った記憶は無いけど、言っていない自信も無いんだよな、、、。


「御主人様!」「アル~!」


二人の目が痛い、、、。


「えっとさ、よくわかんないけど、、、今有るものは仕方ないよね?」


なんと!カケルそっちについたのか!!


「おぉ~!!君は良くわかっているなぁ!!ふむふむ!あそこのケチんぼお姉さんと違って将来有望だよぉ!!!!」

「か、カケル君、、、そんな!」


アイリが涙目になっている。

思えばこの手の喧嘩でアイリに分が悪いのは初めてじゃないか?

かと言って俺が参戦してしまうとパワーバランスが崩れすぎる。


どうしたもんか、、、。


「だからさ!要らない物ならアルベルトのお店に出して売れば良いんだよ!」


カケルが目をキラキラさせて続ける。

なんて言う華麗な裏切り!!


「カケル君!すばらしい意見よ!」

「だ!ダメぇ!」

「これは、スタークさんに渡しちゃう事に決定!あたし達お金無いんだから諦めてよね!なんならレイグランド王国にお買い上げ頂いてもいいわよ?」

「う~!ママがそんなの買ってくれるわけないよぅ、、、。買う奴許さないんだから!絶対売れない呪い掛けてやる!」


いやいや、それは本当に困る!


「カ、カルナ!それだけはやめてくれ!」


俺の今後の外貨取得に向けた策が突然頓挫の危機にさらされてしまうのだった。

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