1-7.魔王が少女を救ってみた(3)
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
応援、よろしくお願いします。
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「アイリ様すごいにゃ!」
アイリの呼称がいつの間にか様付けになっていた。
何度か魔獣に襲われたものの、その度にアイリがディアブラを召喚して無双した為だ。
彼女自身も魔操鞭によって、俺の方を襲う魔物すらも排除していた。
その姿を見ていたウェンディはアイリに憧れてしまったようだ。
「えっへん。」
「アイリ様は何でそんなに強いのにゃ?」
「御主人様のお役に立つ為に修行してたからかな?」
そう言いながら俺の方をちらちらと見てくる。
こういう時は誉めて欲しいのだろうが、移動中なのでとりあえず聞こえない振りを通す。
まぁ、後で頑張った御褒美は考えておこうかな。
「ウェンディも!ウェンディも修行したいにゃ!」
「う~ん、あたしの弟子になったら教えてあげちゃおうかな~」
アイリの口端が一瞬だけ悪魔のように吊り上がったのが見えた気がした。
こいつ、、、まさか狙ってたのか?
「で、弟子にしてほしいのにゃ!!」
「決まりだね!」
「うん!やったにゃ!!」
「おっけ~、今日からウェンディはあたしのものって事で。」
アイリもウェンディも本当にうれしそうに見つめあっている。
「こらこら!ウェンディは兄弟達の為に村を出る事はできないんだろう?」
水を差すのは気が引けるが、このままでは不味いのでウェンディを正気に戻しておこう。
「うにゃ?弟子になったら村を出てくのにゃ?」
「そうだ。弟子になるって事は俺達について来るって事だ。」
「そ、それは、、、できないにゃ。」
「え~そんなぁ。」
アイリが抗議の視線を送ってくるが、無視して進む。
実際、孤児院の稼ぎ頭であるウェンディを失うのは村にとってかなりの痛手だろうし。
俺は俺で目的はあるので一か所に留まるつもりはない。
「ん?あれは、、、」
これまで進んでいた木々が開けて、遠くが見渡せるようになったが、少し先に門のようなものが見える。
「ついたにゃ!」
俺の想像していた村とは大きくちがった。
村?を囲む深い堀と背の高い塀が立っており、門につながる橋は吊り橋、門の両サイドは見張り台になっていて、まるで砦のような作りだ。
「ウェンディにゃ!恩人をつれてきたにゃ~!!」
堀の前で馬を降りて、ウェンディが大声を上げると、見張り台の大男が手を挙げて吊り橋を下ろさせる。
開いた門の奥にワーフ族の初老の巨漢が仁王立ちしていた。
オールバックの白髪と目の上から左頬にある大きな傷跡が普通の村長では無い事を教えてくれる。
一人で立っているように見えるが、その両サイドの茂みに数人隠れて殺気を放っている。
それを感じとったアイリまで殺気を放ちながら臨戦態勢に入っている。
なんだろう、少女を助けて送り届けただけの筈なのに、なんでこんな殺伐としてるんだ?
恩を着せるつもりはないが、ウェンディが最初に”恩人を連れてきた”と宣言していた筈なのだが。
「ウェンディこっちにこい。」
「大じじぃ?どしたにゃ?お、恩人にゃ。」
ウェンディも大じぃじ様の雰囲気を感じ取ったようだ。
「恩人だろうが、そいつはダメだ。」
「ごはんを食べさせてもらったにゃ。魔獣からも守ってもらえたし、村に送ってくれたにゃ。」
「黙って戻れ!」
少し耳を伏せてビクビクしながらウェンディが村に入っていく。
「おぅ、俺の家族が世話になったみてぇだな。」
ドスの効いた大じぃじ様の声が響く。
「いえ、大した事はしていませんよ。」
「恩には恩、礼はする。だが、村には入ってくるな。そして直ぐに立ち去れ。」
(御主人様、あの男、クラスは盗賊、称号が元盗賊頭になっています。)
アイリが念話で告げてくる。
(なるほど、シーフ系のスキル「情報盗取」で俺を見たのか。)
俺のクラスを見て警戒しているのだろう。
「わかりました。礼は不要です。一つ、お願いをしたい。」
「悪いが村にはいれらんねぇぞ。」
「盗賊団に襲われた少女を保護しています。ウェンディが助けたものです。彼女をこの村で保護してもらいたい。」
「・・・」
こちらを警戒しながら、ウェンディに目配せをする。
「ほんとうにゃ!」
ウェンディは”うんうん”と頷いた。
「いいだろう。」
門の裏手から男が出てきたので、俺は背負っていた少女を託した。
「最後に一つ、ウェンディから盗賊団に街が滅ぼされたと聞きました。この村も」
「この村は狙われねぇよ。」
大じぃじ様が俺の言葉にかぶせてくる。
その言葉には、妙な自信が籠っていた。
襲われても平気ということではなく、本当に襲ってこないという自信が見て取れる。
ウェンディの話から、この村そのものが盗賊団の仲間というのは考えにくい。
集まってきた村の人達も、ざっと見る限り一部を除いて普通の人だ。
考えられる理由は一つ、盗賊団に近しい者、それも盗賊団が襲わない理由になりうる者が居るからだろう。
そう、大じぃじ様の元盗賊頭ってのは伊達じゃないのだろう。
「ありがとう。」
「すまねぇな、、、悪く思わないでくれ。」
少女を受け取った男に礼を告げると、男は複雑そうな顔をして謝ってきた。
まぁ、魔王を警戒もせずに村に入れてしまうような者には長は務まらない。
俺のクラスを魔王と知ったなら、彼の態度と行動は正しい物だ。
長として尊敬しこそすれ悪くなんて思うはずがない。
まぁ、後ろに控えつつも殺気を漲らせているアイリは後でちゃんと宥めておかないとだけど。
俺達が村から離れると、門を閉じて跳ね橋があげられた。
彼らも言葉ほど安心しきってはいないようだった。
チキンは相変わらず。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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