3-26. 魔王と天空の誓い 女同士
アルとアイリがゼエルと戦っている間にカケル達に何があり、どのような成長をしたのかは外伝で語ります!
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/ カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み
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ミレーリアがリオーレアとソファーテーブルで何やらいそいそと書き始めたのを横目に見ながら、アイリの頬にもう一度触れてみた。
柔らかくて暖かい感触。
出会った頃は彼女がこんなにも大切な存在になるとはおもっていなかった。
俺にとっては勇者の特権で助け出した人の一人でしかなく、良い引き取り先が見つかれば直ぐに引き渡してサヨナラすると思っていた。
それが今ではこんなにも愛しくなるなんて、、、でも、俺はこれ以上の関係に踏み込むことはできない。
勿論、彼女もそれを望んでくれているという前提の話なんだけど。
さっきリオーレアが俺に告げた言葉が頭をよぎる。
『今回の場合は神か術者のどちらかということになります。』
神か術者、、、神殺しか、、、。
そこまで考えて俺は頭をブンブンと振って思考を霧散させる。
あり得ない。
無理やり掛けられたならまだしも、俺が望み、依頼して掛けてもらった誓約の為に神を殺すなんて恩知らずも甚だしい。
俺を勇者にした神には感謝している。
勇者になっていなければアイリを助ける事はできずあのまま、、、考えるだけでゾッとする。
アイリだけじゃない、他にも俺が勇者特権で強制的に従者として徴用したりする事で不当な扱いを受けている人達を助け出したり、犯罪レベルの貴族の横暴を抑止したりも出来たんだから。
まぁ、そのおかげで横暴な貴族達とは敵対する事になっちゃったんだけど、、、神から直々に指名された勇者という立場は強大な影響力を持っていたのでそれでも何とかできた。
後から聞いた話だけど、師匠からの報復を恐れた貴族もいたらしい。
これが人間国家指定の勇者ならあんな事は出来なかっただろう。
神と言う後ろ楯があればこそ、人間の身分を越えた対応ができたんだ。
考えてみたら、勇者になって本当に厄介な敵だと認識したのは魔物よりも人間の方が多かった気がする。
「ん、んー」
おれが彼女の頬を撫でていたせいで、アイリが目を覚ましたようだ。
「あ!ヤバい!!」
俺は急いで起き上がり、ソファーテーブルのそばに寄ると、ミレーリアとリオーレアが必死に書いているラクガキノようなものを取り上げてぐしゃぐしゃと丸めてゴミ箱に捨てた。
「あああああああ!何すんのよ!酷い!!」
「いくらアルベルト様と言えども許されざる行為!!」
「人をネタに変な本書かないで下さい!」
俺はブーブーと文句を言う二人を尻目に、テーブルの上を整理してソファーに座った。
同時にアイリが目を擦りながら起き上がり、ベッドの上に無い俺の姿を物凄く不安そうな表情で探す。
アイリ、俺を探すときあんな顔してたんだな。
まるで知らないところで親とはぐれた迷子の子供のようだ。
俺の姿をソファーに見つけると、一瞬パッと表情が明るくなり、また直ぐにくもる。
「あ!御主人さま!体は!?大丈夫ですか!?」
俺のそばに飛んで来たアイリは俺の体をべたべたとさわりながら問題が無いか確認し始める。
ついには衣類にまで手をのばしはじめた。
「ち、ちょ!スト、ストップ!!アイリ大丈夫だから!」
既にシャツを剥ぎ取られ、ズボンにまで手を掛けようとしたところでその手を掴み止めさせる。
「そうか、、、そっちからはあり?いったいどこまで、、、意識の介在?意志、、、ダメ、、、難しいか、、、強制?」
俺達の様子を見ながらミレーリアが何やらぶつぶつ言っている。
多分ろくなことじゃないのは確かだろう。
「あ!ミレーリア様!リオーレア様!」
アイリは落ち着いて来て、漸くミレーリア達の存在に気づいた様子で慌てて衣類を整えた。
「大変失礼いたしました。」
「良いのよ。突然お邪魔してごめんなさい。もうちょっとラブラブさせてあげても良いのよ?」
「い、いえ~。」
アイリは顔を真っ赤にして真下を向いて固まってしまった。
「アイリとちょっとお話がしたいのだけれど、そこに掛けてもらえる?」
「わ、私と、、、ですか?」
ミレーリアがソファーに座るように促すと、アイリは緊張と恥ずかしさでおずおずとしながらソファーに腰かけた。
「ほんと可愛いわよね~、見た目も仕草も性格もさ!」
「ミーア様とは正反対ですね。」
「私と正反対って何よ、リ~ア~」
リオーレアはミレーリアの不満を聞き流して、三人分の紅茶を入れ直すと、アイリとミレーリアとリオーレアの席の前に並べた。
「さて、いつまでそこに居座るつもりでしょうか?アルベルト様。」
「え!?」
「その、失礼ですが空気を読んで頂きたく。」
おれがキョトンとしていると、ミレーリアが補足説明をしてくれた。
「ホント、アルはその辺に疎いわよね。そんな所もかわいくて好きよ? でも、今は女の子同士の話もあるのだから、男と子供は出ていきましょう?」
「あ!」
そこまで言われて、漸く意図に気づく。
「し、しかし、、、。」
アイリを置いていく事が引っ掛かり、自然とアイリに目が行く。
「なぁに?私とリーアがそばにいてアイリに手を出させるとでも思っているの?ゼエル程度に劣ると?」
「いえ、それは。」
「気にされているのはゼエルではなく、乱入者の方ですね?」
リオーレアの指摘にゆっくりと頷く。
「ご心配には及びません、そもそも空間を遮断しておきますから。」
「まさか!?異次元空間に入るのですか?」
「はいはい!わかったら行った行った!ほら、忘れ物。」
ミレーリアに押されて部屋から追い出されると、部屋の隅で丸くなって寝ていたウェンディを手渡された。
「んじゃ!アルは子供達の相手でもしておいてね~」
そう言われて。扉が閉められた。
「子供達?」
見ると扉の横で壁に耳を当ててなかの様子を伺うカケルとシルフィと目があった。
「や、やぁやぁ。元気そうでなによりだよー」
聞き耳を立てていたことが恥ずかしいのか慌てて誤魔化そうとするカケルの頭をポンポン叩きながら、もう一度扉を開ける。
「え!?どういうことなんだ?」
「だ、だれも、いないです!」
カケルとシルフィが俺の影から部屋の中を覗き込んで、驚きの声をあげた。
そこは、確かに先ほどまで俺達がいた部屋中だ。
ただひとつだけ違うこと、そこには誰もいなくて、何も無い部屋があるだけだった。
次回アイリとアルの出会いを書きます。
冒頭でかなりきつめの描写も有ります。
その次の回でオブラートに包んだ簡単な説明を前書きにいれるので、苦手な方は飛ばして下さい。