1-6.魔王が少女を救ってみた(2)
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趣味で書きなぐっていた小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
応援、よろしくお願いします。
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ウェンディからあらかた話を聞き終わる。
ウェンディは森の傍のにある小さな街の道具屋に、森の素材を売りに行っていた。
丁度その時に、最近この辺りで暴れている盗賊団に街が襲われ、天井裏に身を隠してやり過ごしたそうだ。
盗賊団の声が聞こえなくなったので外に出てみると、切り殺された夫婦の下で肩に傷を負って意識を失っている少女を見つけた。
街の人に助けてもらおうとしたが街に生きている人はおらず、仕方なく村に戻って治療してもらおうと思ったらしい。
ただ、少女を抱えて森の中を移動していたが、あまりの空腹と疲労でよろめいて倒れた所に俺達が来たのでそのまま死んだふりをしていたということだ。
「って事は最初っから起きていたのか?」
「わるい人が追いかけてきた?っておもたにゃ。」
なるほど、下手に動いて足音を立てるより、じっとしてやり過ごす方が良いか。
ボロボロの身なりや少女の傷痕からも、死体っぽさを演出してくれる。
事実、俺は最初”死体”だと判断した。
悪人なら捨て置くだろうし、善人なら埋葬しようと近づいて生きている事に気づくか、少なくとも放置だ。
冷静に状況を分析して行動できている。
口調と見た目に反して、冷静で頭は切れる。
「でも良い人そうだったからごはん貰うことにしたにゃ。」
「その子の名前とかはわからない?」
首をぶんぶんと横に振る。
それは本人が目を覚ましたら聞くとしよう。
「村はこの近くにあるのか?」
「はいにゃ!ここから1日くらいにゃ。」
ち、近くはない、、、ここで倒れて俺に見つかっていなければ、たぶん少女の命は尽きていただろう。
食いしん坊なウェンディのお腹に感謝だ。
「いつも一人で行商にでているのか?仲間は?」
少なくとも10歳位の少女をお使いに出す距離ではない。
魔獣もいる森の中を進むには危険すぎる。
「一人にゃ。パパもママは死んじゃってもういないし。。。」
しゅんと沈むウェンディ。
しまった、ちょっと考えれば想定できた筈なのに。
「ごめん、嫌な事を思い出させたな。」
「うぅん。だいじょぶにゃ!今は大じじぃ先生とたくさんのちっちゃい兄弟がいるにゃ。だからウェンディは頑張るにゃ!」
ふん!と鼻息を出して力こぶをつくって見せる。
孤児院みたいなものだろう、ウェンディはその中でも生活費の稼ぎ頭みたいな立ち位置なのだろう。
「でも、街がなくなっちゃったにゃ。。。もぅ買ってもらえにゃい。。。」
一転して泣きそうな顔で、今後の不安を吐露している。
「大丈夫だよ。また人は戻ってくるさ。」
「そうかにゃ、、、早くもどってきてくれるといいにゃ!」
またまた元気を取り戻したようだ。
感情がころころと忙しそうだ。
だが、このポルメルン王国という国の状況を見る限り、街に人が戻る事はないだろうな。
この国は先代ポルメルン4世の治世になってから一気に落ちぶれていった。
王侯貴族は自分達の贅沢の為に領民から搾取し、騎士団は王都に引き籠り王を守る事しかしない、領内は犯罪に溢れている。
先代から始まった亜人差別によって、裕福な亜人や亜人の有力商・工人たちは財産のすべてを他国にもって逃げた。
今、この国には、生活基盤を捨てる事の出来ない層の人しか残っていない。
盗賊から逃げ切れたとしても、この国に留まる理由など皆無だ。
生活基盤があるから耐えていた人達も、それがなくなってしまえば難民・奴隷に身を落としても裕福な他国に行く方がよっぽど未来があるだろう。
「俺達もエンギ村に行っても良いかな?」
「当然にゃ!大じじぃが言ったにゃ。恩には恩、仇には絶望をくれてやるにゃ!」
大じぃじ様は血の気が多そうだ。
当面の俺の行動拠点としてどこか落ち着ける場所を確保しておきたい。
今後の目的については、そこでアイリと話し合いをしよう。
「ん、ん~」
ちょうどアイリが目を覚まし始める。
「おはよう、アイリ」
「ん?」
上半身だけを起こして目を擦りながら、俺の隣にいるウェンディを寝起きのとろんとした目で見つめる。
「んんん!?」
一気に目が覚めたのだろう、ずざざざざっとウェンディのそばにすり寄ってきた。
「ふにゃ!?」
ウェンディはびっくりして俺の後ろにかくれる。
「あ、アイリ。落ち着け、怖がってる。」
「か、か、、、かわいい!!」
アイリは目をキラキラさせてさらにウェンディにすりよる。
「ふー!」
ウェンディは唸りながら、俺の体にかくれる。
二人は暫く俺の周りをぐるぐる回っていたが、むやみに手を出さずに見つ続けるアイリにウェンディが根負けしたようだ。
「あ、あんまり見るにゃ。」
ウェンディは両方の耳を手でおさえて顔を隠すようにうずくまった。
「撫でて良い?」
「ち、ちょっとだけにゃ?」
ウェンディが、びくびくとしながらも頷くとアイリはその勢いからは予想出来ないほどに、優しく撫で始めた。
「うにゃん、、、」
とても気持ちよさそうにコロコロと喉を鳴らす。
「ご、御主人様、この子可愛すぎますぅ。」
アイリはウェンディの反応を見て悦に達した表情でにやけている。
「アイリ、その辺にしてくれ。彼女達のことを話しておきたい。」
そろそろ止めてあげないとウェンディがヤバい。
俺はアイリに、ウェンディから聞いた話しを伝えた。
「どう思った?」
「何がですか?」
「盗賊団の動きがおかしい。街を全滅させる事は彼らの利益に反する。」
「え?」
「全滅させてしまったら、二度と略奪ができないし旅人や行商人も襲えなくなる。」
手当たり次第に滅ぼせば、いずれ奪う相手がいなくなってしまう。
「短期的にお金や物資が必要になったとかじゃないですか?」
その可能性もあるが、それでもやはり、一人も残さずに殺すか拐うかはやりすぎだ。
一瞬しのげても未来が無い。
それをやるくらいなら、金が必要となる元凶を潰す方が良い。
「それか、今後ここで奪う事がなくなるのかのどっちかだな。。。」
恐らくは疲弊して碌に奪えなくなってきたこの国を離れるつもりだろう。
その前に奪えるだけ全て奪いつくして、それを元手に別の国に拠点を作るつもりなんじゃないか。
「たぶん、この辺の街や村は全部やられているな。。。ウェンディ達がいた街を襲った後に直ぐに移動を始めたって事は次の獲物を襲いに行ったのだろう。」
「ウェンディ、村の場所は街の人達なら知っているのか?」
「うにゃ。外の人は知らないとおもうにゃ。外から人はほとんどこないにゃ。」
「ほとんどか」
来た事が無いなら少しは安心出来るが、ほとんど来ないということは、知っている人は知っているということ。
拐われた人は恐らくは盗賊達の慰みものか奴隷商人に売り払う為に連れて行かれたのだろうが、助けてもらうために他所の情報を話す可能性は大きい。
知られている以上、ターゲットにはなりうる。
「急いで向かった方が良さそうだ。」
聞いてしまった以上、何とかしたい。
今、捕まっている人たちの状況に思いを馳せる。
胸の深い所がゾワゾワしてきて気持ちが悪い。
「アイリ、俺がその子を背負って馬に乗るから、落ちないように俺とその子をくくってくれ。」
「え?御主人様の休憩は?」
夜番を交代するつもりだったアイリからの質問を当然のように否定する。
「いや、良い。それほど猶予は無さそうだ。」
「わかりました。」
「ウェンディはアイリの馬に一緒に乗ってくれ。」
フェンリルの方が早いが、少女達、特に未だに意識の戻らない人族の子がフェンリルのスピード負荷に耐えられると思えない。
魔王としては見捨てるべきなんだろうか?
どうすれば魔王として正解なのかが全くわからない。
ただ、一つだけ確かな想いが俺にとるべき行動を決めさせる。
勇者とか魔王とかは関係ない。
世界とか国とか、そんな大きな事を言うつもりはない。
俺と関わる範囲位は守れるようになりたい。
昔っから、俺の中心にはそんなちっぽけで、一番大事な想いしかなかった。
チキンは相変わらず。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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