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勇者から魔王に転職したので世界征服始めました  作者: たまサラ
第3章 魔王とエルフの国レイグランド
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3-24. 魔王と天空の誓い 誓いの・・・

アルとアイリがゼエルと戦っている間にカケル達に何があり、どのような成長をしたのかは外伝で語ります!

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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。

語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!

少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。


応援、よろしくお願いします。


Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか

外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/  カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み

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辺りは一転して暗闇と静寂に包まれる。

俺はキラキラと煌めく星々を眺めながらその場に仰向けに寝転がった。

俺の様子を見てアイリも同じように寝転がる。

俺は星に向かって手を伸ばして星を掴みとるような仕草をして見せた。

手を伸ばせば掴めそう、だけど決して掴めない。


「懐かしいですね、昔はよくアイゼン様との修行の後にこうやって二人で星を眺めていました。」

「そうだね。ま、あのときは毎日気絶させられて目を覚ますのが夜だっただけなんだけど。」


1日の終わりの模擬戦で師匠との腕試しからの気絶、そして師匠はいつも気絶した俺を放って新しい女性の所に向かうというのがお決まりのパターンだった。


「そう言えば、、、意識が戻ったら、いつもアイリがこうして一緒にいてくれたよな。修行場所はいつもバラバラだったのに。」

「あ、それはアイゼン様がいつもあたしを呼びに来てましたから。暫く寝かせといてやれって。」

「へ、へぇーそうだったんだぁ~。」


知らなかった。

てっきり気絶させてから急いで女性の所に向かっていたのだと思っていたんだけど。


「あの人、今はどこで何をしているんだろう?」

「突然いなくなりましたもんね。」


別れの言葉どころか、置き手紙一つ無く突然に師匠は消えた。

修行をつけてもらいに出ると、突然に根城ごときれいさっぱりなくなっていた。

驚きはしなかった、寧ろ一つ所に留まらない神出鬼没の代名詞たるアイゼン師匠が何年間も同じ場所にとどまっているという情報が流れてからというもの、死の病説やついに結婚説等様々な噂が流れた位だ。

だからこそ、いなくなっても特に心配等もなく、『あぁ、この日がついに来たんだな』と思うにとどまった。

でも、やっぱり喪失感はあったし、寂しい気持ちにはなった。


「御主人さま、ちょっといたいです。」

「あ、ご、ゴメン。」


俺は無意識にアイリの手を力強く握り締めていたようだ。

慌てて直ぐに手を離すと、今度はアイリが優しくふんわりと握り返してくれた。


「大丈夫です。あたしは、絶対にいなくなったりしないから。」

「アイリ、、、有難う。」


俺も今度は軽くアイリの手を握りかえす。

アイリは星空を見上げながら、優しく微笑んだ。


「本当はね、あたし、、、こんな事言っちゃダメなのかも知れないけど、、、御主人さまが魔王に転職したって聞いて嬉しかったんです。」

「嬉しかった?」


ドキリとした。

それは、俺も感じた事だから。

アイリも同じ気持ちでいてくれたと思うと嬉しかった。


「御主人さまが勇者だった頃、本当は毎日怖かった。いつルシファや竜魔王と戦う事になるんだろうって、、、御主人さまが、、、。」  

「あの二柱の魔王と戦った勇者は皆殺されている、それも一方的な負けだから?」


だからこそ、俺はアイリとの関係を主従であると自分達に言い聞かせるように行動したし、出来る限り早めに、安全な形で、強力な後ろ楯を立てつつ解放しようと思っていた。


「だから、いつか、、、そう遠くない未来にお別れの時は来るんだって、、、でも、御主人さまが魔王になって!そしたらあの二柱と戦う必要無いから!ずっと一緒にいられるかもしれない、、、そしたら。」

「そしたら?」

「いつか、あたしが一番欲しいものも、諦めていたものだって、いつかは、、、。」


アイリはそこで言葉を止めて、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。

俺の鼓動がドクンドクンと鳴り響き始めた。

ホテルで感じたものとは全く別のものだ。


俺はアイリから視線を外さないように上半身を起こす。

アイリも応えるように上半身を起こしてくれた。


「あ。」


そっとアイリの肩に腕を回して抱き寄せる。

自然とお互いの視線が交差する。


「これからは、ずっと一緒だ。」


アイリの潤んだ瞳に吸い込まれるように、俺は自然と顔が近づいていく。


「アル、、、。」


アイリから名前で呼ばれるのはいつぶりの事かな?

かなり昔、過去に一度だけ同じような状況になって、それ以来お互いにそうならないように気を付けていたから。

アイリが俺の事を頑なに『御主人さま』と呼ぶのもそれが理由だ。


アイリが少しだけ首を傾けて目を閉じた。


魔王になった今なら大丈夫なのかもしれない。


鼓動が激しく加速する。

俺も目を閉じて、アイリと唇を重ねようとした。


その時、ズキッ!という脳内に直接響いてくる痛みが走った!


くそ!負けてたまるか!

痛みを無視して強行しようとする。


意識を奪いにきているソレに必死に抗いながらも、ついに視界や思考が暗闇に包まれた。


バンッ!!


何かが激しくぶつかるような音が鳴り、俺はハッとして目を開けた。


「アルさま~!朝にゃ!いい加減に起きるのにゃ!」


底無しに元気な声が響き渡る。

俺はその声の主を良く知っている。


「あぁ、またか、、、。」


強い敗北感を感じながらゆっくりと目を開けると、ちょうど腹の上辺りにウェンディが飛び掛かってきていた。


「うぐぇ!!」


元気な声と共に腹部に激しい衝撃が落ちてくる!


「え!?あ、こ、ここは、、、?」


そして俺は、ホテルのふかふかのベッドの中で目を覚ました。

アイリがベッドの横にある椅子に座りながら、ベッドに上半身だけ横たえて眠っている。


ずっと、こうして俺を看ていてくれたのか。

俺はそっとアイリの頬を撫でた。


「なるほどね!あんた達ってば結構厄介な事になっているみたいね。」


声の主の方を見ると、ミレーリアが少しだけ離れた場所にあるソファーに座って、リオーレアとお菓子を頬張っている。

その目はクイズの正解にたどり着いた子供のように爛々と輝いていた。

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