3-21. 魔王と闇の邂逅 死にたがり
Youtube配信の方が忙しくて少し期間空いちゃいました。
アルとアイリがゼエルと戦っている間にカケル達に何があり、どのような成長をしたのかは外伝で語ります!
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
外伝:https://ncode.syosetu.com/n5068ex/1/ カケル君達紅蓮隊メインの外伝ストーリーです。2話まで更新済み
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疲れきった様子の子供達はミレーリアが用意してくれたホテルにつくなり、ぐっすりと眠りに着いた。
相当疲れていたんだろう、あのウェンディでさえ食事もとらずに寝てしまっている。
俺はアイリと透き通るような水色と白のグラデーションが掛かった少年と部屋の応接室で、カケル達が塔の中でどうやって過ごし、何が起きていたのかを説明してもらっていた。
「大変だったみたいだな、助かったよ。ありがとう。」
「あぁ、アルから極力は手を出すなって言われていたから凄く苦労したよ。特に二手に別れちゃった時にはどうしようかと思ったぜ。」
「こら!!フェンリル!!封印解かなかったらあんな事にはなって無かったんだからね!」
「そ、それはわざとじゃなかったんだよ~。」
耳でも垂れていそうな、いや実際には垂れているんだろう表情でアイリに頭を下げている少年はフェンリルが人の姿をとったものだった。
俺は元々塔では子供達だけで行動させ、姿を消せるフェンリルにこっそりと護衛してもらう予定だった。
その計画のおかげでたまたまゼエルからドラゴンを守る事も出来たし、結果的には紅蓮隊の成長に繋がった。
そして、塔での3日間の事をフェンリルに聞いて謎の一つは直ぐに解けた。
俺が最上階への扉に掛けた封印はフェンリルが壊してしまっていて、カケル達は気づかずに最上階に上がってしまったらしい。
「聞いていた話と違ってブラッディ・ワイバーンになっている事には気づいていたからさ、僕が倒そうと思ってたんだぜ? でも、カケルが絶対に手を出すなって言うから。」
「紅蓮隊と、ワイバーンの戦いを見守る事にした?」
「あぁ、直ぐに音を上げて終わると思っていたんだけど、意外と頑張って戦ってたよ。」
「で、ついにカケルが捕まって助けに出ようとした時に俺が乱入したってわけか。」
「ううん。まだ、出るつもりはなかった。」
「え!?」
意外な言葉に驚き、フェンリルに説明を促した。
「カケルが捕まった時に、三人共慌ててなくて何かをしようとしているなって感じたから、少し様子を見るつもりだったんだ。」
「えっ!?」
今度のは疑問じゃなくて自分が何かやらかしてしまったという思い。
もし、あれがカケルが考えて実行した作戦だったとしたら?
俺は作戦の結果がどうなるか、カケルが経験する機会を奪ってしまった事になる。
「そうか、作戦だったのか。」
「御主人さま?」
アイリが不思議そうに俺の顔を覗き込んだ。
「ん?」
「何だか色んな感情が入り交じった複雑な顔してるなって思って。」
確かに、自分がやらかしてしまったかもしれないという自責の念と同時に、カケルの成長がかいまみえた事の嬉しさといった、感情も湧き上がっていた。
と、同時にもう一つ片付けておかなきゃならないことを思い出して表情をキュッと引き締める。
それは、出来ればアイリと二人きりで話をしておきたい事だ。
「ありがとう、フェンリル。しっかり休んでおいてね。」
俺がそう言ってアイリに召喚解除をさせようとした時だった。
「アルベルト、、、1つだけいいか?」
フェンリルが真剣な眼差しで俺を見つめる、
「ウェンディさ、あの子は何だか危なっかしい気がする。」
「ウェンディが?危なっかしいって?」
「うーん、何て言ったら良いのかな、、、自分の価値に懐疑的っていうか、、、。」
フェンリルが凄く言い難そうにしている。
「死にたがっているってこと?」
「死にたがりって、あのウェンディが?」
アイリの言葉にぎょっとしてフェンリルに聞き直す。
考え込みながらもフェンリルはゆっくりと頷いた。
「死にたがりって程じゃないかもしれないけど、自分が必要とされないなら死んでも良いと思っている。自分の命に価値が無いと感じているから危険を回避しようとせず、常にリスクを取りに行っている感じがするんだ。自暴自棄っていうのかな?」
「あのウェンディが、、、。」
俺にとっては正直意外な事だった。
ウェンディは明るく活発で行動力が高く、積極的に動ける子位に考えていた。
俺はウェンディとアイリに似たところが有ると感じていたから、あんまり心配はしなかった。
だけど、アイリの様子からすると、どうやら彼女はそれについて感じるところがあったのだろう。
俺の視線を感じたアイリが少ししんどそうに口を開いた。
「あたしが、御主人さまに助けられてから暫くの間は似たような考え方でしたから。」
「え!?」
「あたしのせいでパパやママ、弟まで殺された。なのにあたしが生きていて良いのかな?って。」
「で、でもウェンディとアイリの状況は!」
続く俺の言葉を察したように、アイリはゆっくり首を横に振った。
「ウェンディのパパとママ、死んだって言っていたんですけど。」
「ちがうのか?」
「本当はわからない、捨て子だったとガトーさんから聞きました。そしてウェンディもそれは知っていると。」
「そんな、、、。」
「あのこ、あたし以上に自分は要らない子なんだって言う思いがつよいかも知れないです。」
他人に強制的に家族を奪われたアイリと、家族から捨てられたウェンディ、、、。
少なくともアイリは家族から愛されていた。
でも、ウェンディは、、、彼女は愛されるということを知らずに生きて来たのか。
「だから、あのこは頼まれてもいないのに一人で街に出掛けてはお金を持って帰っていたそうです。必要とされる自分でいないと、また捨てられそうで不安だから。」
この世で最も愛してくれる筈の両親に捨てられ、いつまた要らないと言われるかもしれないと言う恐怖に怯えながら、愛されるまでいかなくても必要とされたくて命を危険にさらしながら生きて来たのか、、、。
室内にしばらくの沈黙がおとづれた。
「ま!そういう事だから! カケルだけじゃなくてウェンディの事も気をつけてあげた方がいいんじゃない?強く振る舞う子だからこそ、崩れた時の反動は大きいからさ。」
そう言うとフェンリルは召喚ゲートの中に消えていった。