3-6.レイグランドの女王:ミレーリア(4) 決着は突然に
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
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「では手土産代わりにレイグランド王国が頭を抱えている問題を一つ解決するというのはどうですか?」
「へぇ、あなた達が解決してくれる問題って?」
昨日、あれほどヒントを出してくれていたのだから想定済みだろう。
「勿論、難民問題です。」
特に反論が出ないところを見ると、議員達も課題であるという認識があったのだろう。
「なるほど、確かに我が国は隣国から大量に流れて来る難民の対応に頭を悩ませていますね。まさか南方のヴィスタル帝国ではなく、ウチに来るなんて。」
「帝国に行けば良くて奴隷扱い、悪ければ人拐いから臓器売買、犯罪者の身代わりとして処刑されますからね。まぁ、奴隷になったところで扱いは想像に難くないですが。だから、豊かで、彼らに人として接する我が国を目指すのでしょうね。」
リオーレアさんが苦々しい顔で分析している。
彼女の考え方は昨日聞いているので、その表情の指すところはなんとなく解る。
「その難民が貴国へ流れ出るのを防いで見せましょう。」
「へぇ、どうやって止めるのかしら?」
よし!食い付いた!
興味深そうに少しだけ体を前に出すようにしている。
「ポルメルン王国とレイグランド王国の間には、かつて魔王が支配していた空白地帯がありますが、そこを我らが新たに支配しようと考えております。その暁には難民は全てこちらで対応します。」
「それは間を通る難民をこちらまで通過はさせないと言う意味で合っていますか?」
「はい。」
「そう、ですか。」
あれ?反応が薄い?
ついさっき興味津々と言った感じで体を前に傾けていたのに、急に背もたれに背を着けた。
女王の熱が一気に冷めて行くのを感じる。
「お、俺は良い話だと思いますけどね。実際、人道的に放置は出来ない、本来支援するべき人族国家の支援もない、治安維持も大変です。数が増えれば加速度的に問題も多くなります。」
不穏な空気を感じ取ったのだろう。
あれから立ったままのラティス君が援護射撃をしてくれる。
先ほどの件でミレーリアに潰されたと思っていたんだけど意外としぶといな、流石はスタークさんが推すだけの事はある!
彼自身の能力は今後に期待としても、その人間性はかなり信頼出来そうで良かった。
「リオーレアはどう思う?」
「魅力的な話ではあると思います。本当に止められるのであれば、ですが。」
出来ないと思われている?
いや、思っているどころか出来ないと確信しているのか?
「私も同じ意見よ。アルベルト殿の策では止められない。」
「理由を聞いても?」
「元魔王の支配地域ですが、魔王が倒されたわけではなく行方不明なだけ。だから、元々あそこを通る難民は少ないわ。」
「それに、一ヶ所流れを塞き止めるだけだと別の流れを作ってそこから入って来ます。」
それは俺も感じていた。
ここに来る迄に全く難民の姿は見なかった。
魔獣が跋扈し、紅蓮族のような元魔王配下も未だに健在なのだから、難民としても迂回してレイグランドに向かっているんだろう。
「はい。ですので、あの地域に私達の『国』を作り、そこに彼らを受け入れる基盤を作ります。」
「魔王として支配して追い返すのではなく、国の形をとって吸収するということ?」
「はい、そうすれば別の流れをも吸収する事ができます。」
「確かに、実現すれば難民の数は減るかもしれないわね。」
よし!少し持ち直したか?
いや、でも女王の表情は興味を失ったままのものだ。
「『実現すれば』とは?」
「まず、貴方の国ができたとして、建国間もない国に期待する難民がいますでしょうか?それに、何の準備も出来ていないのに難民なんか抱えても、財政が破綻してより酷い状況になるのは目に見えています。」
こればかりは経験や歴史といったものが無いと言葉だけで信じてもらえるものじゃない。
特に相手が国家の命運を握るものならなおさらだ。
だからこそ、ミレーリアを納得させるだけの理論を準備していたんだ!
「それについては。」「ただ、仮に貴方がそれらの課題を解決したとしても、、、難民は貴方の国を迂回して来るでしょうね。」
俺が解決策を提示しようとするより早く、ミレーリアが俺の反論を潰した。
「解決したとしても、、、ですか?」
何故だ?
最大だが唯一の課題だと思っていたんだけど。
「そこが貴方の悪いところですね。魔王に対する人々の恐怖をまるで理解出来ていない。」
「し、しかし!私はクラスこそ魔王となってしまいましたが、人族ですし、元々勇者で。」
ミレーリアは俺の反論に対して首を横に振って否定した。
「人々は皆が貴方のように強く理性的であれるわけではないのです。魔王になってから魔王として一般の人族の前に出たことは?貴方の拠点のような亜人混じりの武装集団ではなく。一般人の。」
「それは、、、ありません。」
「魔王の、支配地域を通ろうとする人族はいません。ましてや魔王の支配する国に自ら移住するなどあり得ません。彼らは幼い頃から魔王とは絶対悪で恐怖の対象であると心に植え付けられていますから。だから、貴方が心優しく笑顔で語りかけてもその優しい笑顔すら邪悪に見えてしまうでしょう。」
くそ、返す言葉が見当たらない。
「信用しては頂けませんか?」
国家を背負う彼女には何の価値もない『俺を信じて』という苦し紛れの言葉が口をついて出る。
「空白地帯を支配するだけでは、信頼できません。むしろ、失敗すると確信しています。」
彼女の言いたい事は解る、昨日リオーレアさんも言っていた。
『根元から断て』と言う事なのだろう。
「それは、、、」
俺が人族の国を潰す?
「それは、、、」
出来ないとは思わない。
今のあの国なら、、、だけど、、、。
「やはり、変わる事は出来ないのですね、、、貴方は。」
考える俺を見てミレーリアが優しい微笑みを見せてくれたが、それの意味する所は交渉決裂という事だろう。
「ここまでのようですね。面白く、なりそうでしたが残念です。」
「ち、ちょっと待って下さい!魔王の店と言わずにカモフラージュして経営するのであれば問題無い筈だ。何故、そこまでして人族国家に阿る必要があるんだ!」
このラティスの意見に議員達も頷いたが、カモフラージュ策は『無い』と解っているから俺達の話には出てこなかった。
「ラティス、それが人族国家に伝わらないとでも思う?彼らを甘く見すぎ無いことね。私が一掃したから評議員の中にはいないけど。彼らと繋がりを持つ者は確実に中枢の近くにいるわ。そんな事では騙せないと解っているから話題にすら上がらなかったのよ。」
ミレーリアは表情を引き締めて俺に視線を戻す。
最後勧告!?くそ、、、諦めてたまるか!!
「では、こちらから。」「ミレーリア!!」
議員達が『無礼な!』とか怒っているけど気にしない!
これは、最低最悪な最後の手段だ!
「はっ、はい!?」
ミレーリアの言葉を何としてでも止めないといけない!
俺は机をバンッと叩いて立ち上がり、ミレーリアの目を見つる。
驚きの表情で見つめ返して来るミレーリア。
「ミレーリア。」
もう一度、今度は落ち着いた声色でその名を呼ぶ。
「絶対に後悔させない!俺を信じろ!!」
「はい!」
くそっ、!それしか出てこなかった。
こんな根拠の無いセリフが大国レイグランドを背負うミレーリアに通用する筈か無いのに?
え!?あれ?
ミレーリアが俺の言葉を肯定した?
「「「「えっ!?」」」」
俺を含めた会議参加者の全員がミレーリアに注目する。
「あっ!!」
ミレーリア自身も漸く自分の口から出た言葉を理解して狼狽し始めた。
「ちょ、ちょっ!!ちょっと待って!!ずるい!!今の無し!!今のは無しよ!だってずるいんだもん!!」
いつものミレーリアのようにわたわたと手を動かして幼女の如く慌てふためく。
「いや、今確かに!」
「あ!手が滑りました!」
そう言ってからリオーレアさんの手から離れたハリセンが俺を目掛けて高速で飛んでくる!
「うぉ!!」
すんでのところで回避した紙のハリセンが、俺の後ろで『ドガッ!!』という音立てた!
後ろの壁に突き刺さったハリセンを見て血の気が引いて行くのを感じる。
「手が滑ったってレベルじゃないぞ、これ!」
怒りの抗議をしながら正面に向き直って、リオーレアにやられた事に気がついた。
ミレーリアが落ち着きを取り戻している。
リオーレアの左手にもう一つのハリセンがあり、そしてミレーリアの額が少し、、、いやかなり赤く色づいているのは気のせいだろう、、、。
「今のは『はい。』ではなく『はい?』と聞き直しただけですよ?そうですね?リオーレア。」
「はい、確かに語尾が上がっておりました。」
「そんな!ずるいよ!」「確かに『はい。』って言いましたよ!」「吐いた唾は飲めないにゃ!」
「何も出来ない子供は黙って聞いときなさい!」
子供達が立ち上がり指摘するが、すぐにハリセンをバンバンと鳴らすリオーレアに怒られて泣きそうな顔で座る。
いや、君らの女王がこの場に呼んだのですが、、、。
その様子をみてミレーリアがアイリに語りかけ始めた。
「アイリ。アイリは何もお願いしてこないの?」
「え!?あっ、はい!! えっと、、、あたし?あたしですか?」
自分の出る幕は無いと静かに聞きに徹していた、いや、徹していたように見せてウトウトとしていたアイリが突然の指名に驚き立ち上がる。
この状況で居眠りをしてしまう彼女の胆力が羨ましい。
「あたしは御主人様以上に何かが言えるとは、、、。」
「今、あの時約束した何かを、お願いしたくは無いのかしら?」
ちょっと待て、何だこれは、、、ミレーリアの意図が読めない。
くそ!最近読めない人とばかりやりあっている気がする。
「あ!そういう事ですか!」
アイリが何かに気づいて、顔一杯に喜びを溢れさせる。
ちょっと、、、また置いてきぼりですか?
「お願いします。どうか御主人様の願いを聞いてください。」
その言葉にミレーリアがリオーレアに視線を動かし、リオーレアはゆっくり頷いた。
「分かりました。でも、今回の件をもって、我が国がアイリから受けた恩は帳消しとするわ。それで良いわね?リオーレア?」
え!?なにこれ?
「はい。アイリ様のお願いであれば仕方がないかと。評議員の皆様もそれで良いでしょうか?」
は?なにこれ?
「「「はい!」」」
全員がしっかりとした口調で肯定する。
誰一人として反論はなさそうだ。
俺は呆然として天を仰ぎ、部屋の天井に質問を繰り返した。
「ねぇ、、、なにこれ??」
まだ、暫くはホノボノとした旅やバトルが続きます。
でも、粗筋にかいている『その時』は刻一刻と近づいています。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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