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勇者から魔王に転職したので世界征服始めました  作者: たまサラ
第2章 魔王様の憂鬱! 不安すぎる未来、、、
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幕間 新たなる勇者とカルナの想い

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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。


語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!

少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。

応援、よろしくお願いします。


Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか。投稿お休み予定なんかも呟くので是非フォローをお願いします!!

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「カルナ!!何をしているの?早く来なさい!!」


金髪美女が超上から目線で私を呼びつける。

彼女の、女の子にしては高めの背丈にその態度がよく似合っている。

見るからに育ちの良い雰囲気とその華麗な容姿は通りすぎる度に見返す程に美しい。

およそ、魔王討伐の為の旅に出る勇者だとはだれも思わないだろう。


アルが魔王になってしまってから、人間国家の連合会議で新たな勇者を選出することに決まった。

そして白羽の矢が当たったのが『フィオナ』、中流貴族なのに勇者への思い入れが強く騎士学校に入っていた変わり者の御嬢様。

アルの後輩で、同学年では首席で卒業したらしい。

最初会った時にアルに憧れてたって言ってたから凄く期待した、でもその期待は大きく裏切られた。


彼女の周囲は貴族の親が雇った護衛や騎士が囲い、彼女は街中であっても馬からは降りようとしない。

酷いときには馬車から一切降りずに、御用はすべて彼女の手下がやっている。

一応、従者として私達にも馬があてがわれ、馬車にも同伴できるからグラナドなんかは『こりゃ楽ちん』って喜んでいるけど、、、行き交う街の人たちの邪魔になっている。


「ドルトムントが狭い道を馬に乗って来た時にアルに酷く怒られてたっけ。」


最近の私は、そんな楽しかった冒険の日々の出来事を思い出しては気分を高揚させる。

そうしないと、やっていけないから。


ふと、広場の方に人だかりができているのが目に付いた。


あぁ、、、気持ちが悪い。


アルがいた時は、少なくとも街中ではあんな光景目にしなくなっていたのに。


無駄だとわかりつつも、、、少しの希望を抱いてフィオナに聞いてみる。


「ね、ねぇ。アレ止めないの??」

「止める?なぜ?」

「あの女の子、、、あんな事されて。」


目を覆いたくなるような仕打ち。

鞭で打たれ、石を投げられ、それでも土下座の姿勢で必至に耐えている。

アルがいた頃は、勇者の権限で止めに入ってしまうから、少なくとも街中での公開処刑は無くなっていた。

アルのそれが原因で貴族と揉めて面倒くさい事になったりもしたんだけど、その苦労は不思議と嫌じゃなかった。

それは皆も同じだったはず。

だって、その苦労話をするときは、みんな大変そうな語り口調の割りに誇らしい表情が漏れちゃってるんだから。

アルは私が憧れた御伽噺の勇者達のように、勇者とはかくあるべきという姿を見せ続けてくれた。

アルの場合は、御伽噺の勇者よりも裏工作が狡猾で、力押しと運任せじゃない所が少し違ったけれど。


「あれは、奴隷でしょ?奴隷は粗相をしたら罰を与えられるものよ?」

目の前の勇者を名乗る人物(フィオナ)は何がいけないの?といった感じで先に進む。

彼女の態度が人間には普通の事なんだって分かっている。

私が勇者に憧れて冒険に出ようとした時、御母様が『人間の勇者に夢をみてはいけない、あれは只の対魔王兵器だ』って言っていたっけ。

アルを初めて故郷に連れ帰った時の御母様の驚嘆ぶりったら、本当に凄かったな。

あの時の御母様の行動には我が親ながら恥ずかしい想いをさせられたものだけれど。


「でも、可哀そうだよ、、、あんなの酷い!」

「国家連合法に照らしてもアレは正当な処罰です!!そもそも、私は勇者よ?魔王討伐に向けて準備しているのに、あんな些末な事に関わっていられない。」

「でも、アルなら!!」「カルナ!!止めろ!!」

グラナドが私の言葉を遮った。

「もぅいい!!私が行く!!」

「止めろって言ってんだ!お前の行動はそのまま俺達の行動って事になるんだよ!!」

広場に突撃しようとした私をグラナドが慌てて止める。

隣でシエルとドルトムントも首を横に振る。


悔しい!!

みんなだって、本当はそう思っているくせに!!


「と、とにかく!!私は魔王討伐に関係の無い事に首を突っ込むつもりはありません。」


そう言って、踵を返すフィオナ。

背を向けながら『一々アル先輩と比べないでよ!』って言っているのが聞こえてきた。

別にアルみたいに強くなれって言っているわけじゃない、アルみたいに権謀術策張り巡らせて絡めとれって言っているわけじゃない。

ただ、偉い人達の為の兵器じゃなくってちゃんと勇者として行動してほしいだけなのに。


この先、試練に向かう度にその国の王に謁見し、世界平和だの人々の幸せだの悪を滅ぼすだのといった上等な謳い文句をやり取りするだけの猿芝居に付き合うはめになるのか。

アルと一緒にその言葉を聞いていた時はあんなにも誇らしく心に響く言葉だったのに、行動が伴っていなければお遊戯会の茶番劇でも見せられている気分になる。

そんな鬱な気持ちを抑えつつ、勇者の従者として()()を果たすために足を動かした。


        ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


皇帝陛下との謁見を終えて、宿に戻ると食事もとらずに部屋に引き籠った。

明日からはまたフィオナと一緒に神々の試練に出向かなきゃいけない。


「嫌だなぁ、、、行きたくないなぁ。」


フィオナの両親のおかげで帝都の特上宿に一人一部屋与えられているから邪魔は入んない。

ベッドに仰向けに寝転がって、アルとアイリのお小遣いで誕生日に買ってもらった魔道玩具を弄ってみる。

もぅ、動かなくなっちゃったけど、これは二人から貰った大切なものだから捨てられない。

「ねぇ、アル、、、アルがいなくなって、まだ少ししか経っていないのに。また街で奴隷の子達が公開処刑されるようになっちゃったよ。」

腕で両目を隠すように覆う。


悔しい。

何にもしない勇者も、何も言わない仲間も、何にも出来ない自分も、全てが情けなくて悔しい。


「私、最近歌ってないなぁ。」

独り言に答える者は誰もいない。

勿論、戦闘でバフやデバフ、ヒーリング等の歌は歌うけど、何も無い所で歌う事がなくなった。

街を歩くときでさえ、アイリやシエルといつの間にか歌を歌いながら歩いていたものだ。

前まで部屋は男女の大部屋、アイリの歌声がどんどん大きくなって他のお客さんに壁を『ドン!』ってされたっけ。


「ふふふっ、あの時の怯えたアイリが凄く面白くって可愛かったな。あぁ、楽しかったなぁ、、、。」


少し前にママから届けられた魔法文、そこには少し前にアルが尋ねて来たことや、アルが故郷の近くに拠点を築いている事が書かれていた。

子供連れで随分と賑やかな、楽しいパーティーに見えたって書いてあった。

勇者パーティーの1人である私にこんな事教えちゃうなんて考えが足りない?

最後の一文を見れば、母の狙いが何なのかはすぐに解った。

昔冒険の中でみんなで言葉遊びのように適当に作った歌を口ずさむ。


鳥・風・白い雲が、青い空で、遊んでる♪

自由で、楽しそう、私の心も飛び跳ねる♪

大空を舞う鳥たちよ、私も一緒に連れてって♪


そんな、メロディもついていないつぶやくような歌に魔力を乗せて、自分自身に精神強化効果を掛けた。


『それで、あなたはどうするの?』


魔法文の最後に記された、そんな一文をずっと眺めながら考えていた。


こんなのは私らしくないから。


行こう、私が私である為に!!


常にいつでも出ていけるように準備されている荷物を持って、部屋を出ると階段を下りる。

宿のロビー近くのラウンジでグラナドがお酒を飲んでいた。


「こんな夜更けにどこへ行くんだ?それにその恰好。」

「似合っているでしょ?アルから用立ててもらった装備。」

私は、体をくるっと回転させて着慣れた、そしてグラナドが見慣れている装備を見せびらかす。

「まだ持ってたんだな。フィオナの親からもらった装備の方が上等だろ?綺麗な装飾もされているしお前は気に入っていると思っていたんだが?」

「着心地が悪いもの。そういうグラナドだって、昔の服じゃん。蒼天の竜騎士グラナドの復活だね。」

「上等だから大事にしまってんだよ。防御力もあっちが高いし、戦闘ではアレを使うさ。」

「全然似合ってなかったよ。金ぴかでキラキラ眩しくって戦闘の邪魔だからやめて欲しいってずっと思ってたんだもん。」

「ひでぇな。」

私達は軽く笑い合う。

この感じ、懐かしいかも。


「貰ったものは全部部屋に置いてあるから、後で返しておいて。」

「明日、自分で返せばいいだろ? で、どこに行くんだ?」

「帰るのよ。」

「帰るって?」

グラナドの眼光が鋭く光る、回れ右して部屋に戻りたくなるような威圧感だ。

でも舐められちゃ困る、あたしだって勇者PTの一人()()()んだから!!


「決めたの!!悩むのは性分じゃないし。私はあの勇者にはついていけないから帰るの。」

「許されるとでも?」

「許すも許さないも無いはずだもん、そもそも成り行きでそのまま勇者パーティーに入っただけで、わたしは何の契約もしていない。レイグランド人の私には人間の国家連合法も無意味だよ?」

「ちっ!!確かにな、、、お前を縛るものなんて何もない。だが、お前を失うのはこれからの旅路で痛手なんだ、残ってくれないか?」

私は首を横に振ってこたえる。


「旅の途中で仲間がいれかわるなんて良くある事じゃん。それにグラナドは何であの勇者の御供をし続けるの?」

「何故って、、、魔王討伐の為だ。」

私は拳を握り締めて彼を睨みつけた。

「あんた本当にわっかってんの!?だって、、、だって神々の試練を終えたらきっと!!、、、きっと。」


確実に来るんだから。


魔王討伐の名の下に、アルとアイリを殺しに行く日が。


「お前は勇者の従者になるのが夢だったんじゃないのか?」

「私の言ってる勇者は与えられた地位の話じゃないの、その中身が勇者じゃないなら、それは私にとっては勇者じゃない。」

「ひでぇ言い草だな。アレでも一応頑張ってはいると思うが?」

「でも皆思っているんじゃない?アルならこんな時、、、ってさ。出来る出来ないの話じゃないよ?やろうと思いすらしないのが許せないの。」


本音をぶつける。

今日みたいな事がこれまでに何度もあった。

最初はみんな当然止めに入るものだと構えていたのに、次第に諦めて()()が行われている場面を見ないようになっていった。

でも、私は諦めない。

そんなの私が一緒に冒険したい勇者じゃない。


「アルが特殊だっただけだ。フィオナはフィオナで勇者としての役割を。」

「私は与えられた役割をこなすだけの兵器と一緒に魔王殺しをしたいわけじゃないの。勇者と一緒に苦しんでいる人を少しでも助けられるような冒険がしたいの。」

「ガキかよ、いつまでも夢見てんな!!」

「御母様にも言われたわよ! 勇者なんかに夢を見るなって!! あれは魔族と魔王を無条件に、無慈悲に殺すための兵器でしかないって!!」

そう言ってから、自分の胸を強く叩いてみせる。


「でも、ちょっと前までは私達のここに確かにあったもの!! 夢じゃなかった!! 確かにあったんだよ、、、ここに。」

「もぅ、終わったんだよ。さっさと夢から醒めて現実を見ろ。」

「終わったのは勇者という与えられた地位だけの話、アルの中身は変わらない。そして、それは私も同じ、勇者が変わったからって私は変わらない。」

これ以上、彼と話をする事は何もない。

私は出口を見据えて、その場を立ち去ろうと歩を進める。


「なぁ、最後に一つ聞かせてくれ。帰るってのはエルフの国に帰るって意味だよな?」


そんな、諦めたような声で問うグラナドに私は答えなかった。


答えは決まっているし、グラナドも気づいているんでしょ!


実家になんか帰るわけないじゃない!!


私は兵器じゃなく、『勇者』と一緒に冒険したくって家出までしたんだから!!


まだ、暫くはホノボノとした旅やバトルが続きます。

でも、粗筋にかいている『その時』は刻一刻と近づいています。

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小説書くのは難しいですね。

特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!

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