2-15. カケル君の受難(1) アイゼンの名を冠する修行 前編
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
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書き溜めていた小説には存在すらしていなかったカケル君ですが、
カケル君が主人公の外伝も書き始めてます。
この先の展開についてのネタバレ要素が満載なので、
もう少し経ってから投稿予定です。
翌朝、少し遅め、、、っていうか昼過ぎに起床をして部屋の外に出る。
旅の支度を終えたカケルがイライラした面持ちで足で床を蹴っていた。
「あぁっ!!!やっと起きた!!」
部屋から出た俺を見つけるなり、詰め寄ってくる。
「遅い!エルフの国に急ぐんじゃなかったの!?」
「ごめん、ちょっと飲み過ぎた。」
俺がそう答えると、ウェンディもカケルの味方になって俺を責め立ててくる。
「お酒を明日に残すのはダメにゃ!じじぃ様がエンリ様に怒られてるにゃ!」
「そうだよ!昔、母様が父様に言ってたもん。飲んでも飲まれちゃダメなんだ!」
逃げ場を失った俺はシルフィに救いを求める。
「めっ!ですよ。」
シルフィにまで怒られてしまった。
俺が人生の絶望を味わっていると、アイリがそっと近づいてきて耳打ちしてくる。
「御主人様、お疲れ様でした。結界の様子はどうでした?」
本当は夜中から朝方まで、魔獣の様子を見に行っていたんだけど、気づかれてた?
「あと1年は余裕で持つかな。」
魔獣の封印は、さすが鬼人のリーダーが命を賭して掛けただけあって、強固で1年は余裕で持つ。
誰かがいらないちょっかいを出さなければ、百年持つものだったんだろうけどね。
一応、これ以上ちょっかいが掛けられないように、さらに上から結界を張って、トラップも仕掛けておいた。
あいつ自身、来年迄は待つつもりみたいだし大丈夫だろう。
念のために色々と手は打っておいたけど。
外に出ると鬼人族が総出で見送りに出てきていた。
「カケル、しっかりとアル様にお仕えするようにね。ちゃんと、、、」
そこまで言うと、カグヤはカケルをしっかりと抱き締めた。
「うん!まかせてよ!」
恥ずかしそうにモゾモゾ動きながら、カケルもカグヤを抱き締める。
それをウルウルとした表情で見守る鬼人達。
あ、あれ?こんな感じ?
まるで今生の別れ見たいになっちゃってない?
カグヤはカケルとの別れを済ませて、俺の所に挨拶に来た。
「アル様、カケルの事を宜しくお願いします。」
「あ、あぁ。ってか、エルフの国で用事済ませたら、一度戻って来るし、ちょくちょく顔出すよ?」
こんな大袈裟にされると戻りづらいんだけど。
『え!?もう帰ってきたの?』っていう鬼人達の顔が目に浮かぶようだ。
「家族を旅に出す時は必ず皆で見送る事になってまして。明日戻って来るとしても。」
とカグヤは説明してくれた。
やはり、最初にここに一人で来たときにも感じたが、鬼人族は家族の繋がりを、相当大事にする部族のようだ。
それだけに違和感が凄かったから、あいつに気づけたんだけどな
カグヤと言葉を交わしたあと、おれは水色髪の3本角の兄妹に近づく。
大刀使いのミヤビが深くお辞儀をし、そして長刀使いのアカリが倣って続く。
俺は長刀使いの妹の肩をポンポンと叩いた。
「後はお前達に任せた、しっかりと守ってくれ。」
「「はっ!」」
その場に跪く二人。
こいつがいれば、まぁ、大丈夫だろう。
こうして俺達は鬼人達の砦を後にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
鬼人の砦を出発し、フェンリルに乗って半日程進むとエルフの国に続く街道に出た。
鬼人の砦からの移動はカケルを連れていくつもりだったし、馬移動を考えていた。
それが、ウェンディの影隠れのおかげでフェンリルを使える事になったので出発の遅れは既にリカバリー出来ている。
「御主人さま!見て下さい!エルフの森が見えてきました!」
アイリが俺とフェンリルの間で叫ぶとアイリの影からにょきにょきた顔を出した三人も口々に騒ぎだす。
「あれがエルフの森!?おっきいな!」
「綺麗な森ですね。」
「美味しそうだにゃ!」
子供らしい可愛い感想に胸がほっこりしてくる。
ウェンディの感想については、何故そう思ったのか後で聞いてみよう。
フェンリルの負担も考えて、アイリにもウェンディの影の中に入るようにと提案したけど。
『ここはあたしの席なんです!』と言って、頑として首を縦に振らなかった。
フェンリル、ごめんね。
「見てたらお腹減ってきたにゃ!」
ウェンディが叫び始めたが、見てみると皆も同じようにお腹を空かせた顔をしている。
ウェンディにとって森はご飯なのか?
エルフ!?もしかしてエルフはウェンディにとっては食べ物だったりする?
頭の中にスプラッタな光景が浮かんで来たので慌てて頭を振って打ち消した。
こ、この子連れていって大丈夫かな?
「よし、この辺で降りてキャンプにしよう。」
「「「やったー!」」」
皆が嬉しそうに騒ぎ出す。
アイリがフェンリルに指示を出して森の中に降りると、そこにジルト翁に頂いた簡易宿セットを展開する。
これは簡易キャンプセットと違って、何か壁になるようなものに小さな板を貼り付ける。
すると、なんとその場に異次元空間に繋がる扉が展開されるのだ。
その魔法の扉を開けると、簡易宿の設備が整っている小さな宿になっている。
「「「「おおお!凄い!」」」」
中をみて全員が感激する。
「もぅ、これは家じゃないですか!!」
「凄いです。」
「こ、これどうなってるの?」
俺もジルト翁から見せられた時は、本当に驚いたものだ。
だが、これの凄さはそこだけじゃない!
「お手洗いもついてるにゃ!」
「「えっ!?」」
女の子陣がトイレに集合する。
やはり長旅で野宿などになった時に、女性陣が気になるのはトイレと風呂。
何と!このジルト様の作った宿セットはその二つの機能を備えているのだ!
どうやら異次元空間の維持が難しく、設置後24時間位で空間から放り出されて、宿は異次元の中で崩壊するということだ。
結界やトラップまでは付けれなかったと申し訳無さそうに謝るジルト翁だったが。
みよ、あの女性陣の喜ぶ顔!十分過ぎる!
「これ、相当高値で売れるんじゃ!?」
キャンプの予定回数を減らして商品ラインナップに加えておこうかな。
まだ量産は出来ないということだったけど、金持ちの長期旅行用に売り出せばかなりの高値で売れる気がする。
持って来ていた携帯食で簡単な食事を取って、一息つく。
アイリ達が片付けに取りかかったので、そろそろ例のお時間にするか。
俺は立ち上がりカケルに目配せをする。
「カケル、着いてきて。」
「う、うん!!」
俺はカケルを連れて簡易宿を出ると、こっそり近くに仕掛けておいた魔獣ホイホイの様子を見に行く。
狙い通り、魔獣が何匹も広めの結界の中に閉じ込められて鼻息を荒くしている。
この魔獣ホイホイは、使用者以外は外から入る事しか出来ないトラップ結界になっている。
閉じ込める対象を選べないので、誤って仲間が閉じ込められたら、使用者が助け出さないと仲間ですら出られなくなる。
但し、結界魔力を使用者が供給している為、使用者が死んだり、一定の距離を離れて魔力供給が切れると自然消滅する。
カケルは平静を装っているが、明らかに顔色が悪い。
魔獣達は俺達に気づくと警戒し、俺達に向かって牙を剥き出して唸り始めた。
一際大きな魔獣が、結界を挟んで俺達の目の前まで顔を寄せる。
ヴォンッ!!
鼻息を吹き付けてきた。
俺の倍以上の大きさ、怒りに満ちた眼光、鋭く邪悪そうな牙をもち、体を覆う毛皮は総毛立っている。
カケルの手が小刻みに震えているのが見える。
俺は魔獣達を指さして、カケルに命令をした。
「明日の食材だよ!一番大きいのを獲ってくるんだ。」
この魔獣はイノックと呼ばれる一般的な魔獣で素材の肉は脂身の少ない淡白な味だ。
個人的には少し脂の乗った肉の方が好きだが、女性には人気の食材だし、アイリが喜ぶかな?
「それじゃ、固有スキル:密集防御陣!!」
青白く光る無数の六角形の光が密集して俺とカケルの体を取り囲む。
「こ、これは?」
「ディフェンダーの上位スキルでカケルにダメージバリアを張ったんだよ。よっぽどのことが無い限り死にはしなくなったと思う。」
ホントはあの魔獣の攻撃なら暫くはダメージそのものが無い筈だけど、カケルに緊張感を持たせる為に、少し脅し要素を含ませておく。
「あ、、、うん。」
「じゃぁ。任せたよ。」
「へっ??一人で??」
俺の言葉を正しく理解できていなかったカケルが、漸く理解し始めて顔面蒼白になっていく。
おれはカケルの襟首をガシッと掴む。
「それいけ~!!」
全力で群れのボスめがけてカケルを投げつけた!!
一人で結界の中に入っていくカケル。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
ガツッ!!
カケルと衝突したことでさらに怒りのボルテージをあげる魔獣。
「あいったぁ〰️!、、、あっ、、、。」
カケルが地面に激突した腰をさすりながら頭をあげて、自分の目の前に獰猛な顔で牙を剥く魔獣に気づく。
カケルの精神が耐えきられる程度の痛みだけは通る様に調整したのが巧くいっているようだ。
カケルの目の前で、魔獣がフンッ!と鼻息を吹き付ける。
一緒に飛んでくる鼻水にまみれながらカケルは後ろに下がる、、、が!
結界に阻まれて出ることが出来ない。
カケルの意識が結界に向かった瞬間の出来事だった。
あっ、、、
ガブッ!!
こうして、カケル君は修行初日にして、人生初の喰われるという経験を見事に成し遂げたのだった。
「あれ、後で魔獣の涎とか色々体に纏わりついて、気持ち悪くて大変なんだよなぁ。」
そんな俺を見ながらアイリが微妙な表情で語りかけてくる。
「ご、御主人様?」
「ん?何?」
「今の顔、アイゼン様にそっくりですよ?」
「え?マジで!?」
聞き捨てならない台詞だが、残念そうにコクリと頷くアイリ。
あの鬼畜師匠に?俺が?
「そ、それは気を付けなきゃいけないな。」
俺は自分の心に湧き上がる何かを必至で抑え込み、カケルを吐き出させる為に魔獣の所に向かった。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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