2-14. 魔王様の憂鬱!(14) 姉弟
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
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夜になり、カグヤ達を交えて軽い宴席が開かれた。
手持ちのストレージに酒や食材を入れておいたおかげで支配者としての面目は保てたと思う。
カグヤに酒・料理の足しにと渡した時にはえらく恐縮されたが、迎え入れる支配者側がもてなされるだけというのは非常に気持ちが悪いので無理やり押し付けておいた。
宴席の挨拶でカグヤがその事を話すと、鬼人達はえらく感激していた。
これは俺が生きてきた社会では常識なんだけど、魔族や亜人社会だと違うのだろうか?
まぁ、どこかのふざけた名前の人間国家は国民から搾取する一方のようだし変わらないか。
少し酔いが回って来たので外に出る。
カグヤが涼めるところに案内してくれるというので着いていくと、木々が植えられた庭園のようなところに出て少し残念な気持ちになる。
ベ、べつに何かを期待していたわけではないんだけど!
「アル様、弟の事ありがとうございます。アル様の弟子という箔がつけば、出ていった者達も戻ってくるかもしれません。」
深くお辞儀をするカグヤから感謝の気持ちが本物であると伝わってくる。
だけど、、、。
「箔がつく?」
その言い方が気になった。
「はい、1本角のカケルでは次期としては力が足らない為に箔を付けてくださると理解しています。」
物腰柔らかく俺に失礼が無いように慎重な態度で、とても冷酷な言葉がカグヤの口から出たことに驚く。
姉を守ろうと必死に強くあろうとしていたのに。
「この御恩に報いる為なら、私はどの様な事でも受け入れる覚悟で、、、」
カグヤは表情を強張らせながら言葉を続けている。
カケルはその実の姉にすら可能性を信じて貰えないのか、、、。
これまでの鬼人の常識ならやむ無しだろうとは思いつつも、腹の底がモヤモヤしてくる。
「カグヤ、勘違いするな。そして、あまり俺を嘗めるなよ?」
「え!?」
スキル:魔王威圧を小範囲に展開したのでカグヤが怯えはじめた。
直ぐに膝を突き頭を下げるカグヤ。
その体が小刻みに揺れる。
「俺は見込みの無いものを弟子にしない!俺が鬼人の中で、いやこれまでに弟子にしたいと思ったのはカケルが初めてだ!」
怒気を少しだけ滲ませてしまったか?落ち着こう。
「は、はい!」
地面に頭が付きそうなくらいに下げている。
俺はしゃがみこんで、地面にひれ伏しているカグヤと同じ位の低い姿勢を取った。
「お前の家族だろ?」
そこまで言ってスキルを切ると、青ざめたカグヤが漸く顔を上げた。
穏やかに語りかける。
「カグヤ、あいつは今のスキルをその身に受けても、立ち向かってきたよ?」
「あ!、、、でも、、、そ、それは。」
「他の鬼人の中にそれが出来た者がいたか?」
カグヤは口をつぐむ。
「誰の為にあいつが勇気を振り絞ったのか、、、考えてやってくれ。」
これ以上、語る必要は無さそうな気がした。
「さて!ありがとう、涼めたよ。そろそろ戻ろう。」
そう言って、カグヤの横を通るようにして会場に戻る。
彼女の横で一度立ち止まる。
幼く華奢な体つき、これまで見せていた華麗な雰囲気は無く、不安と重圧に今にも圧し潰されそうだ。
俺は今までちゃんと彼女を見ていたのか?
隣で震える小さな少女は、父を亡くし、一族の未来をいきなり背負わされ、悲しむ余裕もなく弟を守る為に必死に強く気丈な女性を演じていた。
そして今も、弟を守る為に自らの体を差し出そうとしている。
「カグヤ」
俺は彼女の肩にそっと手をおいた。
「これまで、辛いなか一人でよく耐えたな。」
彼女の目尻に滲む涙を指先でぬぐう。
「あ、お指が、、、」
「大丈夫だ。俺を、、、あいつを信じろ。」
そう言って、カグヤをその場に残して会場に戻った。
庭園に一人で佇むカグヤは月を見上げながら体を小さく震わせていた。
俺が会場に戻ってから、しばらくするとカグヤも遅れて部屋に戻ってきた。
「大丈夫か?」
「何がです?」
戻ってきたカグヤはいつものように燐としていたが、何か憑き物が落ちた様な晴れ晴れしさを感じる。
「そうか。」
頬を緩めて、グラスに残った酒を飲み干す。
同じグラスのはずなのに、さっきまでとは段違いに美味しく感じた。
このまま、楽しく酔いつぶれたい衝動にも駆られるが、明日の昼には出発したいので、この辺で控えておこうか。
そう思った時、「失礼します。」と宴会の席にカケルが入ってきた。
扉の影からウェンディとシルフィが恐る恐る覗き込んでいる。
寝なさいという言い付けを守らなかった罰は明日のオヤツ抜きだな。
「カケル!貴方はまだ年齢が満たないからと!」
「ねぇ様!次期のぼ、、、俺が挨拶も無しでは礼儀に反するだろ?」
「そ、それは、、、ですが、、、」
「良いじゃないか。カケル、俺の隣に。酒はさすがに飲ませられないよ?」
「いえ、アルベルト様とみんなに言いたい事があって来ました。」
カケルは俺の言葉を否定してその場に座り込む。
「カケル!無礼にも!!」
「カグヤ。」
怒りを露わにするカグヤを制する。
紅蓮族の幹部の視線がカケルに注目する中、カケルは部屋の入口に座り臣下の礼をとったのだ。
ちょっと前に木刀を持って襲い掛かってきた子供とは思えない、ちゃんとした作法だ。
アイリがウンウン頷いているあたり、誰の差し金かは明らかだな。
「アルベルト様、ぼ、、、紅蓮族を配下に加えてもらって有難うございます。」
カケルが深く礼をして、その振る舞いに室内の鬼人達がざわつく。
まだまだ幼さを感じさせる言葉だが、ずいぶん急激な成長ぶりだ。
この短時間に一体何があった?
「みんなにも聞いて欲しい!僕は今日アルベルト様の弟子となる事に決めた。」
更にざわつく室内。
ひそひそと話す内容は様々だが大半が良い印象のものでは無い。
「静かに!!」
カケルの言葉に皆が静まり注目する。
「僕は1本角だから。みんなの不安も不満もわかっているつもりだ。だから、、、」
カケルは1本指を立てて見せた。
「1年!!1年でみんなに認めてもらえるようになって帰ってくる!」
先ほどまでの宴会の騒がしさが嘘のように静まり変える室内。
「その時に改めて、みんなの気持ちを聞かせて欲しい。」
「か、カケル!」
カグヤが青ざめた表情でカケルに呼び掛ける。
「ねぇ様!今まで苦労をかけてごめん!」
「!?」
カケルはカグヤにも深く礼をする。
「俺!絶対強くなってみせる!!その時は、ねぇ様の背負っているもの全部僕が引き受けるから!!」
カグヤが口をふさぎ、肩を震わせ始める。
「だから、ごめん。もうちょっとだけ待ってて!」
再び頭を下げるカケル。
「、、、うん。わかった、、、待ってるから。」
その瞬間だけは、俺の隣に座っている少女は紅蓮族首領代理のカグヤじゃなくなっていた。
ただただ、弟の事を心配ばかりする、弟想いのお姉ちゃんだった。
幾人かの涙と鼻をすする声と共に静かな時間が過ぎていく。
アイリなんかは人目も憚らずおいおい涙を垂れ流している。
かく言う俺も相当きているが、ここで涙なんか見せる訳にはいかない!!支配者として!!
カケルめ!!負けるものか!!
「1年後」
沈黙を破ったのは水色の長髪をなびかせる大刀使いの3本角。
確かミヤビとか言ったか?
「1年後に紅蓮族の前首領の命を奪った魔獣を退治する。というのはどうでしょう?」
「ミヤビ!!あの魔獣は父ですら!」
カグヤは驚き、彼の提案を否定しようとする。
「出来ませんか?」
ミヤビ、なかなかぶっこんで来るな、空気読め!!
カケルの視線が俺に向く。
(そのくらい強くしてくれるんだよな?)ってところかな?
俺はそれに視線で答える。
(1年であの魔獣?御釣りがでるぞ)と。
俺と視線で会話を交わしたカケルは胸を張って答えた。
「出来る!!あの魔獣!!1年後に僕が父の仇を獲って首領となる!!」
「カケル、、、」
不安そうに彼を見つめるカグヤ。
俺はカグヤの膝をポンポンと叩いて、こちらに注意を向ける。
驚いて俺を見るカグヤに微笑んで見せた。
(大丈夫、俺達を信じろ。)という意味を乗せて。
暫く俺を見つめたカグヤは安心したように、一度目を閉じて深く深く深呼吸をしてから、宣言した。
「では、今日より1年後!!魔獣討伐をもってカケルの首領就任の儀を執り行う事とする。」
歓声が沸き起こる室内!
先ほどまでカケルを下にみるような態度を取っていた2本角達まで、次期様コールをしている。
あいつ、意外とカリスマ性は高いんじゃないか?
さて、明日から大変だな。
1年というリミットを設けられた以上は、、、『修行プラン:アイゼン極式』でいくしかないよな!
そんな俺の企みを感じ取ったのか、アイリがとても心配そうにカケルを見つめていた。
『修行プラン:アイゼン極式』、それは俺が師匠から受けた修行につけられた名前。
そういえば、伝説の聖剣、魔剣だっけ?まぁどっちでもいいや。
とりあえず、強そうなコエダーがさっき庭におちていたので拾っておこうかな?
エルフの国は森にかこまれているし、伝説の聖剣も魔剣もその辺にポロポロ落ちていそうだから要らないか?
エルフの森なら伝説の盾:カレハーもイッパイ拾えそうだな!!
ふふふ、、、胸が高鳴る!!
チキンは相変わらず。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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