2-7. 魔王様の憂鬱!(7) 泣きたい気持ちを笑顔で隠して
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
Twitter:@TamaSala_novel 次回予告を呟くとかつぶやかないとか
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エンギ村に戻ると、辺りはもう闇に包まれていた。
闇夜を照らす村の灯りの中、中央広場のベンチにミウが腰掛けて座っているのが見えた。
心なしか、沈んでいるように見える。
「よっ、ミウ。」
「あ!おかえりなさい、アル様!」
俺が声を掛けると、ミウは目を袖で拭って慌てて立ち上がろうとしたので、それを制止して彼女の横に腰掛けた。
「忙しくなりそうだな。」
「はい。明日からもやることがいっぱいです!」
ミウは朝と同じように、屈託のない明るい笑顔を見せてくれる。
だが、昼まで見せていた彼女のそれとは明らかに異質なものを感じた。
恐らくは、思い出していたのだろうな。
こういう時、イケメン男子なら気の利いた言葉でも投げかけて上げれるんだろうけど、俺は何て言ったらいいのかわからず、ただ隣に座って星を眺める。
「わたしは、この村が好きです。お姉ちゃんと義兄さんと一緒に暮らした思い出があるこの村が。」
ミウがゆっくりとした口調で話し始めた。
「あぁ。」
「だから、だから。頑張らないとって、、、泣いてる暇なんてないんだって、、、」
両腕で自分の肩を抱くようにして体を震わせ始める。
昼までの彼女の元気は、それを隠す為の演技だったと気づかされる。
こんな少女が目の前であんな光景を見せられて平気なわけがなかったんだ、どんなに笑顔で隠しても、心の中は常に限界に達していたのだろう。
いや、笑顔で隠したからこそ、逃げ場を失った感情が溢れだしたのかもしれない。
彼女が壊れてしまう前に気づけて良かった。
隣のミウの頭を優しく撫でる。
「これからは俺が守る。だから、ミウは泣いていてもいいんだよ。」
「えへへ、、、やだなぁ。大丈夫ですよ。だいじょ、、、うぅ。」
笑顔が崩れ始めてからは早かった。
「あ、あれ? おかしいな、えへへっ、、、ち、ちょっとまっ、、、あれ、、、なんで?、、、ごめんなさ、、、」
頑張って閉じ込めていた感情が涙となって堰を切ったようにこぼれ落ちる。
「うぅ、、、うぅぅ、、、」
広場の避難所に住んでいる人達をきにしたのだろうか、声を必死に殺しながら、泣き顔を隠すように下を向いて静かに泣き続けた。
気づけば、広場に避難している人々も避難所の外に出て佇んでは、涙で頬を濡らしている。
避難所の中にいる子供達に聞こえないように外に出て来たのだろう。
外に出て、それぞれが失った大切なものを想い、泣き、そしてまた笑顔を作って避難所の中に戻っていく。
誰もが皆、暗闇の中に叩き込まれても、自分自身が道を照らす光りになろうと踏ん張っていた。
何て強い人たちだろう。
国からは虐げられ、盗賊に襲われ、仲間は訳のわからない連中に化け物にされても、なお必死に生きている。
重責が辛いとか言ってる場合じゃない。
俺は少し前の自分が恥ずかしくっていたたまれない気持ちになる。
「あの人達は、私達のせいで巻き込まれたんだから、私、、、頑張らなくっちゃ!」
ミウはひとしきり泣き続けた後、俺と同じように広場に出てきた人々を見て涙を拭った。
「グルム達がやらなかったとしても、別の何かが彼らを襲っていただろう。悪いのは全て闇を名乗る連中だ。」
慰めではなく、恐らくは本当にそうなっていたんだと思う。
あいつらの目的は実験体を手に入れる事であって、盗賊達を使ったのは手段に過ぎない。
目的を達成出来るなら手段何て何でも良いのだから。
だが、ミウはそれでも首を横に振る。
「ううん、それでも実行したのは私達なんだ。」
「その生き方はしんどいよ?」
グルム達はこの子達にこんな重荷を背負わせたくなくって、盗賊団を抜けさせようとしたんだろうな。
純然たる闇の勢力に脅されていた、自分達は反対した、やったのはグルム達で自分達は何もしていない、そんな言い訳が出来るようにしてくれていた。
「でも、逃げない。自分達の罪から。」
グルムはこの子に色んなものを遺して逝ったんだな。
「ミウ、お前はもう俺の部下なんだよ。」
「え!?あ、、、えーっと、はい。」
何を言われているのか分からないと言った感じで、キョトンとしている。
「だからさ、ミウの罪とか悲しみとか、そういうものは全部俺にも背負わせていいんだよ。」
「アル、、、様?」
「俺は、そういうの全部ひっくるめて、ミウを俺の部下にしたつもりだからさ。」
「!?、、、そんな、私は、、、アル様を、、、」
ミウは俺の視線から逃げるように顔を下に向けてしまった。
騙し討ち的なやり方で隷属契約した事を、今になって気にし始めたのだろう。
なら、まずは彼女の心に引っ掛かるトゲを取り除いてしまおうかな。
「ミウ、隷属解除」
「え!?」
それは隷属解除の魔王スキル。
ミウの胸元に刻まれた主従のマークが消える。
「ア、アル様!?」
目を潤ませて泣き出しそうになってしまったので、急いで言葉をつづけた。
「ミウ。改めて、お前の罪も含めて、全てを俺が引き受ける。隷属契約」
「そんな!わたしの罪は!」「嫌なのか?」
ミウの言葉に被せると、ふるふると懸命に首を横に振る。
「そうじゃない!嫌なわけない!でも、、、アル様が、、、」
「元勇者で魔王の俺を、なめんなよ?」
右の口端を上げてニヤリとして見せる。
「ミウ、もう一度言う、お前の全てを俺に背負わせろ。隷属契約」
「、、、受諾」
今度は騙し討ちじゃない、俺とミウがお互い望んだ隷属契約を結ぶ。
「アル様は、、、何でこの村を守ってくれるんですか?、、、何の関係もなかったのに。」
胸元に再び刻まれた証に愛しそうに触れながら聞いてきた。
「関係無いとは思ってないよ?」
「元々勇者様だったから?」
アイリかディアブラあたりに聞いたのかな?
俺は首を横に振って否定する。
「小さい頃に、『何になりたいか?』って聞かれた事があってさ。俺は『自分の目に見える範囲の人を守れるようになりたい』って答えたんだ。それが、理由かな。勇者の癖に小さいよな?」
俺は自重気味に笑う。
もっとも、それを聞いてきた何かに盛大な勘違いをされてしまったんだけどね。
「そんなことないです!すごく、凄く大切な事だと思います。」
「この村にはウェンディもシルフィもいたし、、、そして今はミウもいる。だから守る。」
「わたしも、アル様の守りたいものに入れたんだ。」
ミウは少しだけスッキリしたような表情ではにかむ。
「この村の人達みんなを守りたいと思っている。」
そう言うとミウは頬をプクッと膨らませた。
「アル様はやっぱり意地悪ですね!」
「そうかな?」
「そうですよ。」
目を合わせて二人で少しの間笑い、その後訪れたわずかな心地よい静寂の時間を過ごす。
どのくらい経ったかわからないが、かなり肌寒くなってきたし、そろそろ家に戻って明日の準備をしようか。
「アル様、わたしはもう少しここにいますね。」
俺の動きを敏感に察知したのだろうか?
「あぁ、あまり遅くなって体を冷やさないようにな。」
「はい。ありがとうございます。」
少し心配になったが、まだ幼さを残す顔つきのミウが急に大人びた感じがして、その場を立ち去る事に決めた。
初登場キャラなどは、そのキャラのメイン会で容姿などの説明を織り交ぜていくようにしています。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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