1-2.勇者から魔王に転職したのでウチの奴隷に狙われてます。
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趣味で書きなぐっていた小説を改めて書き直して投稿してみました。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、
楽しんでもらえるように頑張ります!!
応援、よろしくお願いします。
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アイリ関連SSを来週くらいに出す予定(具体的な日付は未定です。)
2018/04/17 すいません、アイリの口調を普通にします。
「んん、、、」
どのくらい時間が経ったのだろう、絶対防御の効果で魔法や爆風によるダメージは受けていないが。
着地した直後に効果が切れて、厩舎の壁に衝突した衝撃で少しだけ気を失っていたようだった。
「着地前に効果が切れてたら、無事ではすまなかったな。」
厩舎の屋根が半壊し、おれを受け止めた衝撃で藁が散らばっている。
天井の穴から見える空の景色からそれほど時間は経っていない事がわかる。
「だが、あの場から逃げる事には成功したか。」
リルの爆裂系魔法を感知した俺は、全力の跳躍と飛翔魔法に爆風を乗せることで、あの場から逃げ切る事ができた。
勇者専用のクラススキルや魔法を封印された状態で、彼らを相手に命を失っていないのは奇跡と言えるだろう。
だが、帝都の中にいるうちは安心できない。
直ぐにでも帝都から出て、どこかに身を隠すべきだが、少なくとも宿に置いてある食料や地図等を入れた鞄は取りに行きたい。
宿はまず張り込まれているだろうから俺自身が動くのは避けた方がいいか。
「あいつに、、、連絡ができれば」
あの場に居合わせなかった元パーティーメンバー、少し前迄は俺の唯一の家族(奴隷としてだが)だった魔物使いのアイリに念話による通信を試みた。
奴隷との主従契約時に付与される念話スキルは主人と奴隷の間に離れた場所でも脳内でダイレクトに会話が出来るチャンネルを構築する。
「まだ、間に合うか?」
陛下の立ち合いで解放の儀式を受けている時間なので勝算の薄い掛けではあった。
何かの事情により、儀式が延期、ないし中止になっていればと思い試してみた位のもので、頭の中では別の方々を考えていたのだが。
(あれ?御主人様!?お疲れさまです。)
彼女の言葉遣いは主従関係に関する本を読み漁って修得したものだが、何か間違えている上にキャラが中途半端で違和感が凄い。
(え?なになに?どうしたんですか?)
若干声を上ずらせて答えるアイリ。
こんなときのアイリは基本的に何かをやらかしている。
(すまないが宿に置いてある荷物を持ってこれるか?少しトラブルが起きた。)
時間が無いので説明は後に回す事にして、要件だけを伝える。
彼女は魔物使いの他にシーフクラスもマスターしており、隠密行動も得意にしている。
(いま、ちょうど宿屋にいるんで、すぐに持っていきます。)
ん?今日は朝から宮殿に缶詰めの筈だが、なぜ宿屋にいる??
そんな疑問が頭をよぎるが、今は問いただしている余裕は無い。
宿にいるなら都合が良い。
(場所は、えっと)
辺りを見回しながら目印になりそうなものを探し始める。
(あ、探知できた。大丈夫です。)
(探知とかできるのか、、、)
相変わらずのチート性能だな。
(とりあえず荷物持っていきますね。)
(食料鞄と地図鞄だけで良い。貴重品とかは次元鞄に詰めているから)
次元鞄は魔法で別次元へのチャンネルを開いて、物を格納する鞄でいつでも、どこでも出し入れが可能だが、容量が小さいために貴重品入れにすることが多い。
食料・地図鞄は中が魔法空間になっていて、見た目の10倍近くの荷物が入る便利な鞄である。
更に、それだけ入れても重さ”10分の1”しか感じないという便利さ故に食料の他に地図や旅に必要な道具類も入れている。
食料鞄に至っては、中に保冷機能を持たせている優れもの!
この魔法鞄の発明によって、どれだけの冒険者が助けられたことか。
逆に、これが無い時代の冒険が全く想像できない。
(は~い、んじゃすぐむかいま~す。)
軽い感じの返事を返したあと、念話が切れた。
念話はかなりの集中力を必要とするため、基本的に「何かをやりながら」念話リンクを維持する事は出来ない。
つまり、アイリが行動を開始した合図だ。
しかし、、、
「平民街のはずれ、貧民街との境目あたりか、、、」
巨大な帝都の中央からこんな端っこまでとばされている事実に衝撃を受ける。
そして、絶対防御があったとは言え、そんな勢いで厩舎に激突して気を失いはしたものの、擦り傷程度ですんでいる自分の頑丈さを誉めてやりたい。
今後の事を考えながらアイリの到着を待っていると、厩舎の外から住人の会話が聞こえてきた。
「え?大神殿で何かあったの?」
「なんか魔王が突然襲ってきたらしいわよ、ちょうど勇者様一行が居合わせたんだけど逃げられちゃったんだって。」
「やだ、まだ王都にいるの?恐ろしいわ」
「大神殿の一角が吹き飛ばされたって言ってたわ。」
そんな会話が厩舎の近くを人が通る度に聞こえてくる。
だが、あの爆発、、、俺がやったことになってんのか、そうか。
恐ろしいと言いながらも、帝都騎士団が直ぐに片付けると信じているのだろう。
帝都の外にいる人々のような心胆からの恐怖は感じられない。
怖がっている振りをしているかのようだ。
実際、帝都の中にいる限りは魔族なんてものは狩られるだけの獲物にしかならない。
俺は内心ビクビクしながら、身を隠すようにボロをかぶり彼女の到着を待った。
彼女から荷物を受け取ったら、貧民街側の門から帝都の外に向かおう。
木を隠すなら森の中というように、貧民街は治安が悪く犯罪者や人相が悪いのがウジャウジャいるから、俺みたいなお尋ね者も目立たない、、、はずだ。
本当は直ぐにでも大神殿に行って転職神に今の状況を問いただしたいところだが、それは悪手だ。
どう考えても、その場で捕まっておわる。
であれば、一度帝都を離れて転職の巫女がいる街、それも帝国意外でかつ出来る限り外部との交流が少ない方が良いだろう。
頭のなかで、いくつかの候補をリストアップする。
ん?
ふと足元を見ると、俺を見つめる首から上だけの顔が俺の影からニョキっと出ていた。
「おわぁぁぁぁ!!」
驚いてよろめく。
「到着しましたぁ!!」
アイリはニタニタと緩みきった表情でよいしょっと俺の影から抜け出してくる。
「アイリ、それやめろって言ったろ。生首にしか見えない。」
「いやぁ、間近に御主人様を見ていられるチャンスなもんでついやっちゃうんですよね~」
舌をペロっと出しておどけて見せるアイリのコメカミにこぶしを当てて、左右からグリグリする。
「いた、いたい、いたいですぅ。」
まったく、アイリはいつも俺の心を和ませるのが得意だ。
沈んでいる時、悩んでいる時に限って何かを”やらかしてくれる”。
「で、頼んでいたものは?」
「ここです。」
ドスンッ!と大量の荷物を影の中から取り出し始める。
「ストップ!!」
慌てて荷物を取り出し続ける彼女の手を止める。
「はへ?」
「何?この量?」
俺が頼んだのは食料と地図の入った魔法鞄2つだ。
「宿の荷物をとりあえず全部、影空間に投げ込んできました!!後、厩舎に繋いでた馬もとりあえず突っ込みました!」
馬もて!
「後で馬達に謝っておくように!」
影空間の中は見た事が無いが、とりあえず居心地のいいものではないだろう。。。
てか、生き物も入れられるんだな。
なんだか、、、嫌な予感はするが考えないようにしておこう。
アイリはよく俺が寝ている間に色々やらかすので、かなりの確率で試しているんだろうが、、、
「食料鞄だけで良いって言ったのに。俺は影空間とか使えないんだし。」
こんなに持ってこられても影スキルを持たない俺には邪魔でしかない。
アイリが取り出した荷物から食料鞄と地図鞄だけを受け取り、あとは影の中に戻させた。
「御主人様が仕えなくてもあたしが使えるんだからいいんじゃないですか?」
「あぁ、、、それは。」
そろそろ、こいつとも離れておいた方が良いだろう。
俺の巻き添えになる必要はない、俺は大神殿での顛末をアイリに話した。
「は?御主人様が、、、魔王?」
「信じられないかもしれないが、事実だ。」
俺自身、まだ信じられない状況なのだが。
「すまない、これ以上俺といるとお前の立場も危うくなる。」
アイリをまっすぐに見つめる。
「今までありがとう、最後の最後に面倒をかけてしまったな。」
俺はアイリの頭をそっと撫でて、彼女に背を向けた。
今の彼女なら陛下との約束が反故になったとしても、その能力だけでどうとでも生きていけるはずだ。
思えば、たまたま助けただけなのに、魔王討伐なんて危ない旅にここまでついて来てくれた彼女には感謝しかない。
だからこそこれ以上は甘えたらだめだ。
「家屋を飛び越えれば直線で行けそうだな。」
厩舎の入口から貧民街を通って帝都の外へ向かうルートを再確認する。
「そういえば!」
一つ忘れていたことを思い出した。
「アイリ、奴隷契約がまだ有効きているのは何故だ?」
解放書類にサインをしてあったはずだし、陛下の立ち合いがあれば主人不在でも解放できるはず。
振り返ってアイリに確認したが俯いて難しそうな顔で何かを呟いている。
「アイリ、どうした?」
「あれ?てか、あたし、、、御主人様は今、、、自分の」
そんな事をブツブツと呟き始めた。
・・・ヤバい
内心ドキドキしながら再び背を向けて無音で厩舎を出ようとした時に危機感知スキルが発動した。
アイリの魔物使いスキルが発動してビュッ!!っと捕獲チェーンが俺の頬をかすめる
「御主人様!!おとなしく捕まるってください!!」
俺の危機感知スキルさんは完璧であった。
俺は、最も信頼し、最も敵に回したくない相手に狙われる羽目になった。
結構先までストーリーは出来上がっていますが、
チキン過ぎて何度も読み返して、何度も直してからのUPになります。
たぶん、週一、休日のみのUPになると思います。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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