1-14.魔王の盗賊退治(1) ガトーの暴走
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
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注:盗賊団のストーリーでは、この先少しばかり重い話が出てきます
風呂から上がった3人がポカポカと湯気を立たせながら俺の前に並んで見せる。
なぜわざわざ風呂上がりを見せつけに来たのかわからないが、代わりに入れという事なのだろうと理解した。
「上がったね。じゃあ、俺も」
「御主人様、ちょっとだけ。」
交代で入ろうかと思い立ち上がった俺を、アイリが呼び止めた。
「ん?どうかした?」
「あ、あ、、、あの、、、」
何と、あの少女が俺に向かって懸命に何かを伝えようとしている!!
癖ッ毛でふわふわとした肩まで伸びる栗毛の髪を手でくるくると弄りながら、痩せた体をめいっぱいに緊張させている。
俺は、優しく微笑みながら少女が次の言葉を発するのを待ち続ける。
「わ、、、私、、、は、、、シルフィ、、、です。」
そう言うと、ササッとアイリの後ろに隠れてしまう。
何か可愛い生き物がいる!
ウェンディが風呂から飛び出してきて伝えた言葉の意味が漸くわかった。
顔が緩んでいきそうになるのを必死で我慢する。
「シルフィ、良く頑張ったね。」
「た、た、、、た」
「た?」
「助けてくれてありがとうございました!!」
細身の体が折れ曲がる程、頭をめいっぱい下げて礼を言うと、そのままダーっと二階に上がっていってしまった。
その姿があまりにも愛らしくって、自然と笑みが漏れる。
「もぅ!シルフィは恥ずかしがりやさんだにゃ!」
ぷりぷりと怒った振りをしてウェンディが追いかけて行った。
アイリと取り残されて目が合うと、なんだか可笑しくて二人して笑う。
「ねぇねぇ!御主人様!」
何かを期待するように猫撫で声を出しながら、頭を俺に向けてくる。
思えば此処までアイリは本当に良く頑張ってくれている。
もし、アイリがいなかったらと思うと本当にゾッとする。
「アイリがいてくれて良かった。ありがとう。」
俺はいつものようにアイリの頭を撫でてから、目を見つめて感謝を伝えた。
「う、ううん。どういたしまして、ありがとうございます!」
あれ?いつもと反応が違う?
「あ、あたしは二人を寝かし付けるから、御主人様も今日は早めに寝てくださいね!」
顔を桃色に染めながらアイリはそそくさと二階に逃げて行った。
そう言えば、撫でる時はいつも「良くやった」とか「頑張ったな」と褒めるだけだったか。
そんな事を思い浮かべながら風呂に浸かって、リビングに戻る。
どうやらまだ寝ていないようでアイリがお伽噺を聞かせているようだ。
世界中に神話として伝わる王様と平民女性の純愛をテーマにした「八人目の王様」というタイトルだったかな。
子供向けの本では最終的に身分の差を克服して結ばれるのだが、原作は違う。
女性は身分の差を疎まれて、貴族達に謀殺されてしまい、彼女を殺した貴族達に復讐を果たした王様は女性の魂を転生させて、自分も自害して彼女を追いかけるという悲恋のストーリーだ。
俺は隣の部屋でうっすらと聞こえてくるアイリの声を聞きながら、目を閉じた。
☆☆☆☆☆☆
翌朝、アイリが作ってくれた朝食を4人で揃って食べていると、ガトーの孤児院で働いている女性が家に飛び込んできた。
「アルベルト様!!副村長のエリンです!!ガトー様はこちらに来ていませんか!?」
「いえ、どうかしましたか?」
一昨日この家に俺達を案内してくれたエリンが青ざめた表情で不穏な質問をしてくる。
嫌な予感しかしない。
「朝、孤児院の院長室にこれが!」
一枚の紙きれ、に簡潔に2行の文。
『街の人達を助けに行く。もしもの時には、アルベルト殿を頼るように。』
そして、その下に『アル殿、すまない。後を頼みます』と書かれていた。
やられた!、、、まさかこんなにも早く行動を起こすとは思っていなかった。
いや、盗賊団が攫った街の人の事を考えるなら、本当は遅すぎる位かも知れない。
俺達がこの村に留まらないと念押しした事で、ガトーの行動を封じたつもりだったが。
恐らくガトーは自分がいなくなれば俺達が、少なくとも次が育つまでは留まるであろうと踏んだのだろう。
いや、逆にガトーの背を守れる者が出てきてしまっては俺達をここに引き留める事が出来ないと思いいたったのかもしれない。
ガトーめ!正解だ!
昔アイリに言われた言葉を思い出す。
『御主人様はどんなに冷たい態度を取ろうとしても、顔に優しさが出ているから駆け引きには向いてません』
まさか、あったばかりのガトーにまで看破されるとは思っても見なかったが。
「アイリ、ディアブラから連絡は?」
俺は、逃げていった盗賊達を追いかけ、そのまま偵察していたディアブラの状況を確認する。
アイリは俺の腕を掴んで、ディアブラと念話を開始する。
これはアイリが生み出した技、主従の念話チャンネルを開いた状態で俺の体に触れながら、ディアブラと魔物使いチャンネルで念話をすると、俺とアイリとディアブラでのグループチャンネルになる。
(ディアブラ、御主人様に盗賊団の様子を報告して。)
(はい。盗賊団は五十人弱、すべての者が基礎レベル10~30強程度の雑魚ですネェ。)
(五十?ガトーから三百近くいる筈だと聞いているが、、、他に拠点があるのか?)
(他の拠点の有無はわかりませんが、ここにボスらしき者がいるのは確かなようですネ。)
(名はわかるか?)
(潜入したときに、グルムと呼ばれておりましたネ。)
グルム、、、ガトーから聞いたボスの名前と一致する。
(その者の強さは?)
(基礎レベル30、盗賊クラスレベル20、この一団では群を抜いてますネ。後、、、いえ、あれは、、、ただのペットですかネェ?)
(ペット?)
(グルムの傍に何かがいるようですが、、、戦闘力はなさそうですネェ)
五十人か、、、残りの動向が気になるな。
(ディアブラ、その百を精神攻撃で無力化可能か?)
それ次第で今後の行動が変わってくる。
(一部耐性持ちがいますがネ、九割はいけますかネェ。)
(十分だ、残りは俺が引き受ける。正確なマップ情報をくれ。)
ディアブラからの情報をマップに書き込む、意外にもこの村と同じ大森林の中にある滅びた古城を根城にしているようだ。
これならフェンリルの全速力なら、一時間もあれば辿り着く。
ガトーが昨日の深夜にここを発ったとするなら、ギリギリ間に合わないか。
(ディアブラ、ガトーは?)
(あの村長ですか、、、まだ来ていませんねぇ、ただ気配を感じられる所まではきているようですネ。)
時間は無いか。
ガトーが拠点につくまでの時間、行方の分からない二百近くの盗賊、盗賊達の個々の戦力はそれ程高くない。
俺の中で、次の行動が決まっていく。
それにしてもガトーはボスとの一騎打ちでも演じるつもりか。
ガトーの命を獲る為の兵を出して来た以上、説得などは効かない事はわかり切っている筈なのに。
(アイリ、ディアブラ、俺はフェンリルに乗ってすぐにガトーを追いかける。)
(私も!)
(ダメだ!アイリは共にこの村の守りを固めてくれ。フェンリルも俺を送り次第、村に戻す。)
(え!?)
アイリの動揺が感じられたが、いったん無視して話を進める。
(ディアブラ、俺がガトーに追いつく前に盗賊達の所に辿り着きそうになったら、足止めをしておいてくれ。)
(ンフフ❤わかりました。)
(穏便にな!敵じゃぁないんだから。)
(わかってますネ。)
不安すぎるが、念話をシャットアウトして直ぐに装備を整えた。
「エンリさん、村の戦える者達に急いで防御を固めるように伝えて下さい。!ガトー救出には俺一人で向かいます。」
「はい!」
家をでようとする俺とエンリをアイリが慌てて通せんぼする。
「御主人様、私も」
「ダメだ!ガトーがいない今、俺達が二人ともこの村を離れる訳にはいかない。」
行方知れずの盗賊達がいる以上、此処の守りも捨てる事は出来ない。
「そんな、、、でも、、、」
悲しそうに俯いて泣きそうになるアイリの肩に手を置く。
「ここにはシルフィもウェンディもいる。そして今の俺持つ唯一の安らげる場所がある。」
彼女の肩にかけた手に少しだけ力を込める。
「俺の帰れる場所を守ってくれ。頼む。」
「、、、はい。」
アイリは今度こそ納得したようにうなづいた。
俺はアイリにフェンリルを召喚させると、その背に跨って古城へと急いだ。
チキンは相変わらず。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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