1-9.魔王が少女を救ってみた(5)
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趣味で書きなぐっていた素人小説の投稿です。
語彙力や表現力等まだまだ足りないところばかりですが、楽しんでもらえるように頑張ります!!
少しずつでも、コンスタントにUPしていきたいです。
応援、よろしくお願いします。
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2018/4/21 アイリSSを5部分に差し込みました。
門の前に並ばされた5人程の子供達。
大人の盗賊は拷問によって意識が朦朧としている。
俺とアイリは、村の門から少し離れた茂みの中に身を潜めた。
いざという時の為に馬はもう少し遠いところに止め、フェンリルを召喚しておく。
アイリが影移動するには、一度対象自身、または対象の影に触れてマーキングしておく必要があるのだが、今いる位置なら影移動が出来るようにマーキングしておいたウェンディの影がアイリの影移動範囲に入っている。
そして、俺もフェンリルの背に乗れば2~3呼吸で子供達の所に辿り着く。
じぃじ様の方を見ると、数人の武闘派の村民と共に見張り台から外の盗賊団に睨みを利かせているが状況は悪そうだ。
じぃじ様の顔色に焦りと困惑が見てとれる。
「ガト―じじぃ!そろそろ答えを聞かせてもらおうか!」
堀の前の盗賊頭が大声でじぃじ様に呼び掛ける。
「昔の馴染みだ、てめぇの命一つで飼ってるガキ共は許してやっからよぉ。ガキは特に各国の貴族共に高ぁく売れるから惜しいんだがなぁ。」
声量の割りには余裕のある笑みを浮かべて、自分の優位性を信じきっている顔だ。
この提案には決して乗ってはいけない。
盗賊団がこの村を蹂躙できない最たる理由がじぃじ様の存在なのだから。
いくら武闘派の村民がいると言っても、所詮は現役を引退した元盗賊だろう。
それよりも、あの盗賊頭が先頭に立っている今、急襲して敵の頭を叩き、子供達を回収する方が良い。
子供にも、村にも少なくない犠牲は出るだろうが、敵は油断しきっているし、じぃじ様のレベルを見る限り全滅は免れるだろう。
事ここに至って、彼らだけでは犠牲者を出さずに事態を収めるのは不可能だ。
それにしても、あれがじぃじ様の言っていた襲われない理由か?
盗賊団のボスらしき人物とじぃじ様が知り合いなのは見てとれるが、信用するには相手が小物過ぎる気がする。
ここに来ている盗賊団の数や質からしてもせいぜい下っ端の鉄砲玉隊長程度の人物だろう。
「こ、この事は、やつ、グルムの奴は!」
「あの方の命令無くくるわけねぇだろうが!」
「そんな、、、バカな」
じぃじ様から一気に生気が抜けて行くのが見てとれる。
多分、そのグルムというここにはいない人物との繋がりこそがじぃじ様の、村全体の自信の源だったのだろう。
信じていた繋がりに裏切られたという事実は人から冷静な判断力を失わせるには十分だ。
村全体が絶望に包まれる。
「本当に儂の首一つで家族には手を出さないんだろうな!」
じぃじ様は覚悟を決めて、条件の確認をし始めてしまった。
全滅コースに向かって突っ走っているな。
「あぁ、そうだなぁ。。。こんだけ待たせてくれたからな」
嫌な間を持たせた後、閃いたように手をポンと叩いた。
「そういや、レア種の猫耳のメス飼ってたよなぁ!あれを利子で付けてもらおうか。犯りたいってデブ貴族がいてよぉ、拷問好きの気持ちの悪い奴だが、すっげぇ金になるんだわぁ。」
「ゲルマド!貴様ぁ!そこまで堕ちたか!!」
拳を握り締めて腕をワナワナと震わせている。
「じじぃ、だいじょぶにゃ!ウェンディはいくにゃ!」
「う、ウェンディ!?」
ぴょんと見張り台を足場にして、堀を飛び越えるとゲルマドと呼ばれた盗賊頭から数歩離れた位置に着地する。
ゲルマドは後ろの部下に目配せをして、ウェンディを縛らせた。
「泣かせるじゃねぇか、幼い兄弟や村のみんなの為に自分の身を差し出すなんてよ!」
ゲルマドがわざとらしく眼がしらを抑えて泣きまねをして見せる。
「で!? じじぃ、てめぇはどうすんだよ!」
俺はアイリが今にも飛び出して行きそうになったのを制止した。
(気持ちはわかるが、もう少し耐えろ!ゲルマドの位置が子供達に近すぎる。)
念話でさらに念押しをしておく。
俺の狙い通りにいけば、その時はもうすぐ来る筈だ。
「後10秒で答えを出せ!それ以降は一匹死んでもらおうかな。」
ゲルマドは剣の切っ先を彼の傍で震えている子供の肩を刺して見せる。
「痛い!痛い!!」
刺された子供が悲鳴を上げる。
「や、やめてくれにゃ!!」
傍にいるウェンディが辛そうに懇願している。
「うるせぇぞ!!」
「ひぐっ!!うぅ、、、」
ゲルマドがドスの効いた声で威嚇して、子供の口を閉じさせる。
泣きながら肩を震わせて、ウェンディよりもさらに幼い子供が必死に耐えている。
ウェンディも立場を受け入れて、唇を噛み締めて耐えている。
「わ、わかった!」
「あぁ!? 何か言ったかじじぃ!!」
「頼むから止めてくれ!!」
本当にこのじぃじ様は元盗賊頭だったのだろうか?
恐らく戦闘力自体の高さは見て取れる。
だが、盗賊というには身内が傷つく事に対する耐性が無さすぎるように感じる。
あれでは、あの人を知っている者にとっては個人戦闘力の高さなど、何の脅威にもなり得ない。
今盗賊団がしているように、身内を数人人質にするだけで落とせる。
「ならさっさとてめぇの首獲らせろや!!」
「お頭!!」
「盗賊同士の約束だ、絶対にうちのもんに手を出すなよ!!」
「あぁ、盗賊の掟やぶっちゃ、盗賊としてはおしめぇよ。」
少し前に魔王おれに対して啖呵を切っていた時の姿からは想像もできない程の狼狽ぶりだ。
じぃじ様は致命的なミスを犯した、ここを離れるつもりの盗賊団が約束を守るとは思えない。
周囲の静止を振り切って、巨漢の体からは想像できない程身軽に堀を飛び越えてウェンディの隣に並ぶ。
「ガト―じじぃ、てめぇにゃ小さい頃から俺の仕事の邪魔をされた記憶しかねぇ。」
ゲルマドはいやらしく舌で唇をなめ回している。
「それは、お前が弱いものから奪うからだ」
ゲルマドはじぃじ様の腹部を思いっきり蹴りぬいた。
「ぐぅぅ。」
じぃじ様が足から崩れ落ちる。
「今ここで恨み返しさせてもらうぜ。」
低くなった顔面に回し蹴りを浴びせて、じぃじ様を横倒しにする。
ガシッ!と倒れたじぃじ様の頭を足で地面に叩きつけて、グリグリと押し付ける。
「もっと遊びたかったが、、、そんなに時間もねぇからな!サヨナラだ、ガト―じじぃ」
子供に向けていた剣を、じぃじ様の首を切る為に振り上げた。
「い、いやにゃ~~~~!!!」
ウェンディの悲鳴が響き渡る。
銀色に輝く刃が、じぃじ様の首元に勢いよく振り下ろされた!
チキンは相変わらず。
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小説書くのは難しいですね。
特に頭の中のイメージを相手にわかるように表現するのが難しいです!!
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