誕生日プレゼント
貴族からの祝福が終わると、私は両親、兄のところへ戻った。
「お父様、今の祝福とは、一体なんですの?」
「ああ、アンジェリアは知らないのだったね。社交界デビューと同時に魔法について学ぶんだよ。アンジェリアはこれから学ぶことになる」
「そうなのですか」
魔法のある世界だとは思ってなかった。魔法だと攻撃魔法もあるかもしれない。私はワクワクとしてきた。もしかしたら学校へ通うのかしら。今までは教師について勉強をしていたけど。もしかしたら王立学校?ますます楽しみだわ。
「……リア、アンジェリア」
私が自分の考えに没頭している間に父に呼ばれていた。私は社交的に優雅な笑みを浮かべた。
「お父様、いかがなさいました?」
「こちらへ来なさい」
こちらって王族がいるんだけど。しかし来いと言われて行かない訳にはいかない。
私は社交的な笑みを崩さずに、兄のエスコートで父のところへ行った。兄は父へ私を託すと離れていった。
え?何が始まるの?
国王が一歩前へ出て、高らかに宣言した。
「我がエルファネア王国の王太子のエサイアスとヒューメリンタ公爵家のアンジェリア嬢との婚約が成立した。皆も祝ってくれ」
わっと歓声が上がった。
え!?どういうこと?聞いてないんだけど!
「……お父様、どういうことですの?」
後ろにいる父に小声で尋ねた。少々ドスのきいた声になってしまったが、当然だろう。寝耳に水なのだから。
「アンジェリアへの誕生日プレゼントだよ」
父は平然と言った。
そんなもん求めてないわ!しかもエサイアス王子
!?
「アンジェリア、これからはよろしくね」
「エサイアス殿下、あの私、今聞いたばかりで、その、驚いてしまって……」
「うん。そうだろうね。驚かせようと黙ってたんだよ。これからはゆっくり話せるね」
またしてもエサイアス王子はニヤリと笑った。
絶対嫌がらせされる!逃げなくては!早く力をつけてやる!
そんな私をじっと見つめるクリストファー王子がいることに、私は気づかなかった。