欲しいもの
この国では十四歳になると、社交界デビューをする。成人の一年前に社交界デビューをすることで、大人の世界を教えるのが狙いだ。私の社交界デビューは、なんと王宮での夜会だ。王宮での夜会はほとんどの貴族が参加する。私はそこへ行かなければいけない。
ああ、憂鬱。それよりも体を動かさなければ!具体的にどうしたらいいかしら。やっぱり軍隊の訓練に参加するのが早いわね。
社交界では何があるかわからないのだから、力をつけておくのも重要だわ。
さて、どうやって軍隊へ潜り込もうか。
うーん、それよりも武器を手に入れるのが先かしら。やっぱりナイフよね。元々私はナイフを武器として暗殺稼業をしていた。小さなナイフの方が使いやすいのだ。
よし!誕生日プレゼントにナイフをねだろう!
私は早速父の書斎へ。
コンコン
「お父様、アンジェリアです。入ってもよろしいでしょうか」
ガチャ
側仕えが扉を開けてくれた。
「どうしたんだい、アンジェリア」
「お父様、誕生日プレゼントをまだいただいていないので、ねだりに参りました」
「ほう、何が欲しいんだい?」
「ナイフですわ。小型のナイフを10本ほど」
「……アンジェリア、何をする気だね?」
「まあ、お父様。私も社交界デビューするのですし、自衛のためですわ」
「それは護衛の仕事だ。アンジェリアには社交界で着るドレスを贈ろう」
「お父様!」
「アンジェリア、話は終わりだ」
私は早々に書斎から追い出されてしまった。
やっぱり正攻法では無理なのね。どうしようかしら。とりあえず部屋でゆっくり考えよう。
カチャ
「よう! お嬢。どうした? 辛気くさい顔して」