誕生会
さあ、私の誕生会が始まる。誕生日プレゼントに剣が欲しい。お父様は叶えてくれるだろうか。
公爵家の広間には大勢の貴族が集まっていた。私は階段の上からそれを見ると、お嬢様らしく厳しくしつけられた作法で、優雅に歩いて行く。もちろん社交的な微笑み付きだ。
「皆様、本日は私のためにお集まりくださりありがとうございます。私も十四歳になりました。これからもご指導をよろしくお願い申し上げます」
よし!十四歳にしてはまともな挨拶だろう。
ん?なんだかきらびやかな面々がいる。あ!エサイアス王子!とクリストファー王子!面倒な……。昔は二人とも遊んだけど、よく悪戯もされたわね。はあ、気は重いけど、王族に挨拶するのが最初よね。
「エサイアス殿下、クリストファー殿下、ようこそお越しくださいました。どうぞ楽しんでいってくださいませ」
「アンジェリア、十四歳おめでとう」
「エサイアス殿下、ありがとうございます」
「アンジェリア、綺麗だよ。おめでとう」
「クリストファー殿下、ありがとうございます。どうぞごゆっくりとなさってくださいませ」
さあ、挨拶は済んだ!逃げるが勝ち!
私は作法通りに一礼すると、そこを去ろうとした。
「アンジェリア、今日はゆっくり話そうよ」
げっ!何を話すのよ!?だいたい、私達って特に仲良くはないわよね。でも王子に言われたら、さすがにスルーするわけにもいかない。私は視線をさまよわせ、すがり付くような声をあげた。
「お父様!」
父はすぐにやって来た。
「アンジェリア、どうした? これは殿下方、どうかされましたか?」
「いや、アンジェリアとたまにはゆっくりと話したいと思ってね」
「そうですか。では後日王宮へアンジェリアを連れて参ります」
げげっ!お父様、なんてこと言うのよ!
「今日はアンジェリアは挨拶をしなければなりませんので、御前失礼いたします。出来ましたら妻の話し相手になってやってください」
「そうだな。今日はアンジェリアが主役だからな。次に王宮で会えるのを楽しみにしてるよ」
エサイアス王子がニヤリと笑ったのを感じた。