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対決

 程なくして馬車はうちへ着いた。

 まずはクリスチャンがぴょんっと飛び降りた。次に出るのは私。と思ったが、ラッセが私を止め、自分が先に降りた。そして私が降りようとすると、ラッセの手が差し出された。


「ラッセ、一人で降りられるわ」

「まぁまぁ、今だけさ。公爵令嬢殿」


 ラッセは楽しそうだ。まあいい。きっと今日だけだろうし。とにかくお父様の許可を得なければ!


 馬車が到着すると同時に、使用人が出てきた。執事だ。


「これは伯爵様、本日は旦那様へのご予定ではお越しになることにはなっておりませんが」

「急に申し訳ない。私の従者のことで、至急公爵と話し合わねばならないことが出来たのでね。取り次いでもらえないか」

「……かしこまりました。伺って参ります」


 どうしよう。急に押し掛けるなんて、お父様は怒るのではないかしら。


「伯爵様、こちらへどうぞ。旦那様がお会いになるそうです」

「ありがとう」

「クリスチャン殿もご一緒だからです。勘違いなさらぬよう」


 クリスチャンの威力は絶大なのね。それにしても横柄ね。うちの執事はこんなだったかしら。

 長い廊下を歩いていくと、お父様の書斎へと到着した。


「ラッセンハイド様をお連れいたしました」

「入れ」


 使用人によって扉が開かれる。お父様は書斎の椅子に座ったままだ。


「ラッセンハイド殿、至急の話があるとか」

「はい。出来ましたら人払いをお願いいたします」

「よかろう。皆、外へ出るように」

「旦那様!」

「お前もだ」

「はい」


 執事も退出し、お父様とラッセとクリスチャンと私の4人になった。お父様は椅子から立ち上がることもせずに、ラッセに話しかけた。


「それで?至急の用件とは何かな。私も忙しいので手短にお願いするよ」


 初めて聞くお父様の突き放したような声。それでもラッセは萎縮することなく話し出した。


「アンリ、おいで」


 ラッセは私をラッセの横へ立たせた。


「この私の従者のことです。是非とも私の従者として公爵様の許可をいただきたいと思いまして」

「君の従者は君が決めることだ。私には関係ない」

「それでは認めてくださるのですね」

「好きにすればよかろう」


 ラッセ! 何てことを! 更にお父様が怒るわ。


「さあ、アンリ。下を向いていないで髪の毛の布を外すんだ」

「ラッセ……」


 私は頭の布を外した。

 さらり

 私の銀の髪の毛が滑り落ちた。


「ア、アンジェリア……?」

「はい、お父様」






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