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十四歳
今日は私の十四歳の誕生日。公爵家ともなると、盛大なパーティーが開かれるようだ。私も朝から仕度に大忙しだ。
着替えを見られるのが恥ずかしいなどと言っている場合ではなくなっていた。何故なら後ろボタンのドレスだったからだ。それに昨夜の湯あみ。一人では出来なかったのである。私はもう羞恥心を棄てた。
そして現在、私は侍女たちによって飾り立てられていた。薄紅色の襟の立ったドレスはふんわりとレースをあしらっており、年齢相応の可愛らしさだ。そのドレスに合わせた髪飾りも薄紅色の生花を使っている。髪の毛は頭の上の部分だけをすくい、髪飾りを挿して、あとは背中に長い髪をさらりと流す。
姿見の前には、立派な公爵令嬢がいた。
「お嬢様、お美しいですわ」
「ええ、本当に」
侍女たちが口々に褒めてくれる。
「皆、ありがとう」
この国では十五歳で成人となる。だから私はその一年前。あと一年で鍛練はどれだけ出来るだろう。それによって自分の進路も決まる……と思いたい。だが、公爵令嬢である私が武の道など歩ませてもらえるだろうか。