表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/34

個人練習

 軍隊に入隊して三日が経った。今の所、私が女だということはバレていない、と思いたい。

 まずラッセが起きる前には着替えを済ませ、お風呂代わりに水で体を拭くのは夜、皆が寝静まってから。それでなんとかなっている。


 四日目の朝、いつもの朝礼へ向かった。隊員が鍛練をする広い場所で朝礼は行われる。今日は上司から大切な話があるという。皆普段よりも姿勢を正している。


「今日は重大な話がある。一週間後に王族が軍隊の視察へいらっしゃることになった」


 ざわり


 さすがに王族という言葉に皆が反応する。


「静粛に! 今回は第二王子であるクリストファー殿下がお越しになる。失礼のないように。主に訓練をご覧になる。皆気を抜かないように」


 今日の朝礼はこれで終わりのようだった。

 それにしても、クリストファー王子!? 顔を知られてるからまずいわ。でも訓練よね。私は普通の訓練には参加しないから平気よね。

 クリストファー王子か……。兄のエサイアス王子は俺様だけど、クリストファー王子は大人しいというか穏やかな方ね。子供の頃はよく遊んだけど、その頃から控えめだったわ。私よりも年下ってこともあるかもしれないけど。あ~あ、憂鬱。




 ラッセは最初の約束通りに、私に長剣を教えてくれていた。隊員たちの鍛練の後にわざわざだ。私は不思議に思った。付き人がいる人もいない人もいるが、付き人にここまで訓練をしてくれる人はいない。ラッセは隊員たちの訓練場で訓練をしてくれる。


 キィン


 私の長剣が床に転がった。私の息も上がっている。


「今日はここまでだな。大分形になってきたな。お前覚えがいいな。教えがいがある」


 素直な称賛に私は嬉しくなった。


「ありがとうございます。でもまだまだです。これからもご指導よろしくお願いいたします」

「まあ、鍛練はまだ続くからな。覚悟しておけよ」

「はい!」


 もっと強くなれる! 一人前の戦士になるんだから!


「ところでお前、腕につけてるだろ」


 ドキン ナイフのことがバレた?


「……つけてるとは……?」


 私は恐る恐る聞いた。


「別に隠さなくてもいいだろ。ナイフだ。お前得意なのか?」


 やっぱりバレてたか。


「……一通りは扱えます」

「なるほどな。お前って本当に飽きないな」


 ラッセはそう言うと笑った。


「俺は頼もしい同士を見つけたのかもな」


 あ、同士が欲しいって言ってたっけ。


「どうしてそんなに同士が欲しいのですか?」


 私は疑問を口にした。するとラッセは厳しい表情になった。


「……裏切りがあるからさ。だがお前はよくはわからないが、そんなことはしそうにないからな」


 ラッセは嬉しそうに笑った。過去に何かあったのね。軍隊では裏切りもよくあることなのかしら。隣国と繋がっていたり……? そういえば隣国のイングベルグは最近不穏だと聞いてるわ。戦争なんて起きないで欲しいけど、軍隊は最前線へ行くためのもの。それを理解してないといけないわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ