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初めての長剣

 ギルデン先生に魔法の才能がないと言われてショックだったが、私はすぐに思考を切り替えた。つまりは以前の世界と同じく肉弾戦が自分には向いているということだ。魔法が使えたならそれを武器にすることも出来た。だが、それは夢となって消えた。


 やっぱり私には泥臭い戦いに向いてるのね。そうと決まれば、戦士になるべく動かなくては! まずはクリスチャンが持ってきてくれた服を着て軍隊へ入らなくちゃ。


「ねえ、クリスチャン。どうしたら軍隊へ入れるのかしら」

「ああ、軍人の付き人ならいつも募集してるぞ」

「付き人?」

「知らないのか? 軍人にはひとりひとり付き人がつく。大体は実家から連れてくるが、実家が貧乏だったりすると付き人を連れて来られない。だから格安で募集するのさ」

「へえ、手っ取り早く軍隊に入れるって訳ね」

「付き人だぞ。その主の世話をするんだぞ」

「え? 戦いに一緒に赴くんでしょ? それなら戦えないと困るわよね」

「まあ、戦えるにこしたことはないが……」

「その募集ってどこかに貼ってあるとか?」

「ああ、軍隊の詰所の前にな」

「行ってくる!」

「お嬢! 一人で行くなよ! 俺も行くから!」


 私はクリスチャンが用意してくれた服に着替えて軍隊の詰所へ行った。私だとばれないように顔を汚して。


「クリスチャン、わざわざありがとう」

「全く、お嬢は猪突猛進だな」

「早く戦士になりたいもの。で、貼り紙は、と」


 私は貼り紙を一枚ずつ見ていった。名前、出身、付き人への報酬などが書いてある。どれも大体同じだ。が、私の目を引いた一枚の貼り紙があった。


「長剣を使えること」


 これは……。もしや本人が弱くて、護衛を求めてる……? もしそうなら、私にはピッタリだわ。


「クリスチャン、これどう思う?」


 私はクリスチャンに貼り紙を見せた。


「珍しいな。こんなの見たことないな。怪しいと思うが、これが気になるんだろ? 嫌ならやめればいいからな。試しにやってみろよ」

「そうするわ」


 こうして軍隊の詰所で貼り紙を見せた。


「この貼り紙を見たんですが……」

「ああ、こいつか。お前長剣は持ってるのか?」

「家にあります」

「なら、取ってこい。こいつには話しておく」

「よろしくお願いします!」


 私はすぐに家に帰り、コンラッド兄様の長剣を拝借した。兄の長剣はきらびやかなものが多いが、それを持っていく訳にはいかない。私は部屋の隅に置いてあった少し小ぶりで埃の被った長剣を見つけた。小さめだからか、あまり使っていないようだ。私なら丁度よいかも。その長剣を抜いてみると、少し錆びているようだが、磨けば大丈夫だろう。私は研ぎ石も兄の部屋から拝借し、屋敷の裏手へ回った。


「長剣はあったのか?」


 クリスチャンの問いに、私は小ぶりの長剣を見せた。


「これでどう?」

「まあ、派手でないだけいいんじゃねえ?」


 私は研ぎ石で刃を研いだ。すぐに綺麗になっていく長剣。これは使えるわ!


 こうして私は初めて長剣を手にした。

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