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家庭教師

 さて、まずは王妃教育をさっさと終わらせなければ! ということは、洗練された所作が求められるのよね。今まで以上に。アンジェリアの記憶からは、公爵令嬢として恥ずかしくない教育を受けている。でもアンジェリアはいまいち所作の勉強が好きではなかったようね。つまりは私と同じ。でも私は前世で、あらゆる教育を受けた。それは暗殺集団に属する者として、どこへでも潜入出来るようにだ。つまりはお嬢様教育も受けている。テーブルマナーに挨拶、受け答え、歩き方やダンスに至るまで。それはどこの国でも共通のものだ。多少の習慣の違いを把握しておけば大丈夫。

 さあ、前世の佐藤章子としての成果を出してやるわ!


「お嬢様、先生がお着きになられたそうです」

「そう。お通しして」


「失礼致します。アンジェリア様。今日から王妃教育を受け持つヘレッタ・バーネと申します」


 ヘレッタ・バーネと名乗った先生は、にこやかに、しかしこちらの出方をうかがっている。さあ、もう戦闘は始まっているわ。この挨拶にかかっている。


「バーネ先生、ようこそ。ヒューメリンタ家のアンジェリアと申します。どうぞご指導よろしくお願い致します」


 私はゆっくりと挨拶をし、目上の方への礼をした。ここで肝心なのは、へりくだってはいけないことだ。だが、高飛車でもいけない。公爵令嬢としての威厳を保ちつつ、目上の方への礼を尽くすという難しいものだ。

 礼をしたあとは私はそっと微笑んだ。

 それをじっと見つめる家庭教師。


「まあ、アンジェリア様、素晴らしいですわ。私の教育などいらないのではないかしら」


 これは軽いジャブだ。騙されてはいけない。


「バーネ先生、お褒めの言葉をありがとうございます。ですが、人生は全て勉強ですわ。学ばなくて良いことなどありません」


 今度こそ、バーネ先生は目を見開いた。


「本当にお見事ですわ。所作といい、受け答えといい、王妃様にふさわしくていらっしゃる。私がお教えすることは少ないでしょう」


 やったわ! ということを顔に出してはいけない。


「どうぞよろしくお願い致します」


 私はあくまでも、淑やかに一礼した。

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