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慈悲を願う奴隷の少女、セリフを間違えるも主人は今日も罰を下す。


奴隷少女「お許し下さいメガトロン様!」


主人「おいセリフ間違えてんぞ」


Take2


奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で濡れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「風呂に入っているときに電源のついたドライヤーを投げ込むとはな! とっさに受け身を取らねば感電で死んでいたぞこの痴れ者が!」


奴隷少女「いくらなんでも感電は受け身では防げないと思いますご主人様……」


主人「やかましい! とにかく助かったからそれでいいんだよ。今度という今度は許さんぞこのゴミ奴隷風情が!」


奴隷少女「もう二度と致しませんのでお許し下さいご主人様!」


主人「やはり貴様には苦痛で物事を教えてやるのが一番いいようだな! ほらこっちにこい!」


△ △ △


主人「今日という今日はもう俺も怒りを抑えられん! お前のような愚鈍な奴隷にもよく理解できるように今日はこの方をお呼びしたのだ!」


奴隷少女「ど、どなたなのですかその覆面の筋骨隆々な上半身裸の方は…」


覆面の男「……」


主人「こちらの方は『腹パン協会』から出向して頂いたAクラス腹パン職人だ」


奴隷少女「は、腹パン職人……?」


主人「鍛え抜かれた肉体と超絶的テクニックで相手に重傷を負わせずに腹をぶん殴られた苦痛を味わわせることができる職人だ!

今からこの人に思い切り腹パンをしてもらう!

先生、お願いします!」


覆面の男「はい、よろしくお願いします」


奴隷少女「そ、そんな!」ガクガク


主人「ふははは! 壁に鎖で繋がれた状態では反抗もできないだろうな! 怯えろ! 泣け! 喚け! 後悔してももう遅いがな!」


奴隷少女「は、腹パンを受けると人は一体どうなってしまうのでしょうか……?」


主人「まああまりの衝撃に床に吐くだろうな。脚を震わせて豚のように地べたを這いずることになる。内臓を殴られる苦痛は想像を絶するものになるぞ! ふははは!」


奴隷少女「ひ、ひいい!」


主人「というわけで先生一発キツメのやつをお願いします!」


覆面の男「オラアッ!」ドゴォ!


主人「オッボォオオオオッッ!」ビチャビチャ


奴隷少女「」


主人「う、うひぃ、おええ、ぐうう」ガクガク


主人「う、おおお、うお、お」ドサ


主人「な、なんで、俺、が」


覆面の男「依頼書のファックスには『腹パンマニアの依頼人を思い切り腹パンしてほしい』と記載されていたが?」


主人「え、な、そんな、バカ、な」


覆面の男「とりあえずこれで仕事は果たした。さらばだ」


主人(バカな……依頼書は確かに内容を確認したはず……なぜだ……依頼書が書き換えられていたのか……? 一体、一体誰が)


奴隷少女「……」


主人(一体、誰が……)


奴隷少女「……」


奴隷少女「……」ニヤリ


主人「! ……こ、この腐れゴミ奴隷がああああ!」


 この物語は、富豪の中年と、奴隷の少女と、仕置きと暴力、虐待と憎しみの輪廻に腹パンをぶちかましていく無駄に緩い日常を綴ったものである。

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