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慈悲を乞う奴隷の少女、主人は苦心惨憺の末に罰を下す

奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「よくも俺が寝ている間に、広島カー○の二軍に売っぱらってくれたな! なんだ年俸十二万契約てのは!? 月一万って高校生の小遣いレベルじゃねえか!」


奴隷少女「でも本場のお好み焼きおいしかったですよね!」


主人「そうだなやっぱ本場は違うなってそういう話じゃねえんだよ!」


奴隷少女「たった一週間で一軍のスタメン投手スタートからの優勝貢献なんてさすがご主人様です! 左投げ左打ちストレート154キロ、六種の変化球使いに異常なデッドボール耐性が注目されましたね!」


主人「うるせぇよバーカ! ○ープの新人育成ノウハウが優秀だっただけだこのボケ奴隷がぁ!」


奴隷少女「新人賞も受賞して私も鼻が高いです! 周りの評判も『パワプロのサクセスモードにプロアクションリプレイぶち込んだみたいなやつ』『ダイジョーブ博士の手術連続百回成功したタイプ』『野球マンガならマンガ家が編集にブン殴られる展開だろこれ』『一人アパッチ野球軍』『こいつだけ梶原一騎の世界』と上々ですよ!」


主人「監督とチームメイトとファンに恵まれただけだこのクソ奴隷がぁ! あと誉め言葉にビミョーに悪意ねぇかこれ!?

来季から移籍話持ち上がりかけてからやっと目が覚めて慌てて逃げ出してきたわこのクソ奴隷がぁああ! 今日こそはマジで体にわからせてやるからなああ!!」



 △ △ △



奴隷少女「うぅ……」


主人「よし、やれ」


奴隷少女「うう……これやだぁ……」


主人「うるさいぞ。はいカメラスタート!」


奴隷少女「うぅ……はぁーいみなさん久しぶり! 奴隷男の娘アイドルユーチューブチャンネルの時間だよー! 前回は工場へ社会科見学に行ったから、今回は自然に目を向けて山に来ました! というわけで山の持ち主の農家のおじいちゃんよろしくお願いします!」


老人「まんず山んなかは危険だから気をつけてなあ」


奴隷少女「はい! ……あ、あれ? あそこガサガサしてますね……」


老人「なんだべか? 動いてるようにはワシには見えんけどなあ」 


奴隷少女「ひょっとしてイノシシかなにか……ちょっと怖いですけど行ってみますね!」


老人「アブねぇよぉ、子供がイノシシ近寄っちゃだめだぁ、待ちなせぇ…!」


奴隷少女「あの草むらは……なにかいるんでしょうか!かき分けて入ってみますよ!」ガサガサ


奴隷少女「わ! みなさん見てください、イノシシかと思ったら野生の鯖の缶詰めです! ちょっと捕まえてみました! ものすごく暴れるから捕まえるの大変でしたよ!」


老人「……鯖の缶詰め?」


奴隷少女「かわいそうだけど開けてみると……」カパッ


奴隷少女「わ! 取れたての鯖缶美味しいですね! 味は水煮です!」


老人「……」


奴隷少女「お、おじいちゃんもいかがですか鯖缶? こ、こっちには味噌味もあるし」


老人「……」


奴隷少女「お、おじいちゃん……?」


老人「ワシはあんま詳しいことはわからんのだが、都会というところはそういうことをしないと食っていけんところなのかねぇ……山の中で鯖缶が取れるとかわけのわからんことわめかないと……」


奴隷少女「……そ、そういうこともなにもこれは山に鯖缶を捕りにいこうという企画で」


主人「すいませんこの娘そういうキャラで売り出してるんでー」


老人「ワシの孫もちょうどあんたくらいの年齢でよぉ……それがこんなことさせられてるなんて思ったら悲しくなってきたでよぉ」ポロポロ


主人「……」


奴隷少女「お、おじいちゃん泣かないで……」


老人「なんか辛いことあったら仕事止めてウチきなぁ。食べさせるくらいはできっからなぁ」


奴隷少女「あ、はい……」


主人「なんかすみませんでした……」


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