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慈悲を乞う奴隷の少女、主人は罰を下すだめに頑張る

奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「よくも俺が寝ている間に南極大陸に置き去りにしてくれたな……!

なんとか南極昭和基地にたどり着けたから助かったものの、下手をすれば死んでいたぞ!」


奴隷少女「申し訳ありません! もう二度といたしませんから! ……普通は下手しなくても死ぬんですけど。あ、オーロラは綺麗だったですか!」


主人「めっちゃ綺麗だったけど寒すぎてそれどころじゃなかったぞこのゴミ奴隷がああ!!

もはや容赦せん、痛みで身の程を思い知らせてやる!」


 △ △ △


主人「はい食え」


奴隷少女「これ……なんですか、虫?」


主人「長野県名物、高級食材のハチノコの炒めたやつだ。スズメバチの幼虫だな。

長野県の人々はタンパク質を全て昆虫で摂取する。お前も習え! 貴重なタンパク源、略してきちょたんだあ!」


奴隷少女「い、いやあああ!」


主人「ザザムシの炊き込み御飯に、イナゴの佃煮もあるぞ! たっぷり食え! きちょたんきちょたあああん!!」



 △ △ △


青年「やぁ、元気だったかい」


奴隷少女「あ、お客様……お久しぶりです」


青年「少しやつれたんじゃないか……? またあの男からなにかヒドいことをされて」


奴隷少女「ご、御主人様は悪くありません! 私がグズでバカな奴隷だからこれは仕方なく……」


青年「まだそんなことを……! 今、あの男は出かけていないようだ。これなら、僕と一緒にここから逃げよう! ここから出ればなんとでも!」


奴隷少女「それは……いけません、私は御主人様に恩を返さなければいけないんです。逃げるなんてそんなこと……」


青年「クソ、まだあの男の呪縛が!」


奴隷少女「御主人様が帰ってきたら、家のことをやっておかないとまた罰を受けてしまいます……どうか、この愚劣な奴隷に無駄な情けをかけたと思い私のことは忘れてください……」


青年「……必ずだ、必ず君をこんなところから連れ出してみせる、僕は諦めない!」


奴隷少女「お客様……」


 △ △ △


漁師「今日の海は晴れて格好の漁日よりだぁ。やっぱ青森の海は日本一綺麗だなぁ」


漁師「さぁて、今日はイカ釣りから……な、」


漁師「な、なんだべあれは!?」


 ザ ッ パ ァ


漁師「海面を跳ね上げて飛んでる……! あんなことできるのはイルカかシャチくらいだべぇ!」


 ザ ッ パ ァ


漁師「それもとんでもない速さ……! 一体あれはなんだべかあ! この世のものとは思えねぇ! 肥満したおっさんに見えるけども!」


 ザ ッ パ ァ


主人「あぁのクソ奴隷がああ!」


主人「よくも俺が沖つりに出た所を後ろから突き落として船ごと逃げてくれたなぁ!

俺がバタフライの達人でなければ力尽きて水死していたところだ!

家に帰ったら一体どうやって躾直してやろうかクソ奴隷があああ!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] オーロラも寒すぎたらゆっくり見れませんね。
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