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ゾンビだって必死なんです!  作者: 木村カロム
第一章 HELLO NEW WORLD
4/6

生存者


初めての知り合いのゾンビは初めて見た死体になった

言葉にすると変な感じだけど、動かない死体って意味ね


意識が戻った時に汚れていた床を掃除した

別に掃除する必要もないんだけど、大家さんに申し訳ない気がしたからだ

その後は、管理人さんの遺体に管理人さんの布団をかけて、線香を灯した

謝罪となぜこうなったかを書いた置き手紙をチャック付きポリ袋にいれて置いた


その後は俺は足早にアパートを出る

こんなことがあって時間もそんなに経ってないのに腹が減ったのに腹が立つ

菓子パンで空腹を紛らわしながら早足で大学へ向かう


……………………………

…………………

…………


途中でコンビニにより賞味期限の切れてないおにぎりと菓子パンを買えるだけ買った

大学までは駅3つ分でいつもは10分ほどで着くんだけど、徒歩だと40分も掛かってしまった

途中生きた人とは合わなかったし、案の定ヤツらには反応されないし安全?に大学までこれた

一日で大きい町の人全員がゾンビになったとは到底思えないけど、みんなどこへ行ったんだろうか


大学の入り口にはヤツらが多い、服装からここの大学生だったのかな

いつものように大学に入り、いつものように食堂へ向かう

大学の食堂は下手なファミレスより安いし、うまいからいつもお世話になってた

食堂前の今日のランチが昨日のままだ。食堂が営業していないんだろうな、と予想しながら入る

案の定、食堂は生きた人は誰もいなかった

いつもは学生と職員で賑やかな食堂は、数体のヤツらがいるだけで静かなものだ


とくに来る必要のなかった食堂を後に、ゼミ室へ向かう

ゼミ室は食堂から校内を5分ほど歩いたゼミ棟の4階にある

教職員の各部屋にゼミ生が通うかたちになっていて

夕方以降は食堂より賑やかになる場所だ


食堂から細い通路を紆余曲折してゼミ棟へ歩く

ここにヤツらはいないみたいだ

こんな細い道で襲われたらさすがに逃げ切れないだろうな

そんなことを考えながら歩いているとゼミ棟に着いた


ゼミ棟は1、2階が図書室になっていて、3階以上がゼミ室だ

俺の先生は4階の一番手前の部屋にある

入学当初は階段を上がったけど、今はエレベーターじゃないと辛い歳かな(笑)

幸いにもまだ通電しているらしく、エレベーターは使えるようだ

そそくさとエレベーターに乗り込み4階をポチッ

かすかな揺れを感じながら待てばすぐに4階についた

4階は静かでヤツらもいないみたいだ

自分のゼミ室に入ってみる、が誰も居ないみたいだ

そういえば、パソコンがあるな

大雑把で笑い声の大きいゼミの先生が真剣な顔でレポートを書いてるかと思いきやここでエロサイトを見ているのは周知の事実

さっそくパソコンを触ってみる、がロックが掛かっていたか

そりゃ、エロサイト見てたら誰にも見られないようにするよね(笑)


あっさりPCを漁るのを諦めてコーヒーでも飲んでみる

といっても、俺が買って来て俺が置いたモノだから遠慮なんかしない

もうここにくる必要も無いし、余ったヤツは持って帰ろう

ついでに茶菓子もリュックに詰める


誰もいないゼミ室を出て、4階を回ってみるが誰もいない

5階の簡易カフェがあるのを思い出して向かってみる

簡易カフェっていってもイスとテーブルと自動販売機だけなんだけどね

5階に来てみるとイスとテーブルが無いけどヤツらは2体いる

そして目の前にはバリケードがあった

バリケードの奥には4部屋あって一番奥の部屋に電気が灯っている

さすがにここで大声をあげるのもどうかと思うしバリケードを壊すのもなぁ


とりあえず、2体のこいつらをどうすかだな

ふと横にある部屋に目がいく

こいつらをここに入れればいいか

さっそく手を伸ばしドアを空け、中には誰もいない事を確認する

置いてある空のペットボトルを手に取り適当に机に叩く


カンカンカンッ


「あぁぁああ」「う”ああぁぁあ」


2体がゆっくりこっちに向かってくる

下手に刺激しないようゆっくりすれ違い部屋のドアを閉める

ふん、ちょろいな

バリケードに近づきゆっくりと一部を崩す

人一人が通れるくらいを崩したら体を通し、向こう側へ

向こう側に行ったら崩した部分を元に戻す

そして、静かに奥の部屋へ向かった


電気の着いた部屋の前に立つ

んー、どう声を掛けようか「こんにちは」は変だし

「大丈夫ですか!?」はお前が大丈夫かって感じだよな

そうやってぼーっと考えていると、一番バリケードに近い場所のドアが勢い良く開いた

「うわあああああああああああ!」

金髪でピアスのした青年が絞り出した様な声をあげながら果物ナイフを持って走ってくる

青年の顔は悲壮感なのか絶望感なのか決死の顔が伺える

「わあああああ!」

「ちょちょちょっと待って!」

両手を前に出して止まってと願う、ナイフ恐い

「わぁ………え?」

青年は唖然とした顔で立ち止まった

空いたドアからは怯えた表情の女性が顔を半分出してこっちを見ていた

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