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ゾンビだって必死なんです!  作者: 木村カロム
第一章 HELLO NEW WORLD
2/6

帰路


人ではないモノって?



そんな貴方に問題です!ジャジャン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Q.足を引きずったり、腕が無かったり

 血だらけでうめき声をあげているモノはなーんだ!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヒントいる?いらないよね

これで分からない奴は近くのTZUTAYAかGEQの

「〜OF THE DEAD」ってつくやつを借りてきてくれ



さぁ正解はーーー、CMの後!

って、なーに1人でブツブツ言ってんだか…



思いつく言葉で言うとすれば、これは『ゾンビ』だね

うん『ゾンビ』だ

どう見ても『ゾンビ』だ

かのジョージAロメロ監督の代表作にもなった『ゾンビ』

映画なんかでは『ゾンビ』だけでⅠコーナーができるくらい


そうあの『ゾンビ』だ



そんな『ゾンビ』映画でよくある設定で

引っ掻かれたり、噛まれるとゾンビになるってやつね

そうだとしたら俺ってヤバくない?

結構深く引っ掻かれたし、結構時間経ってるよね?


ゾンビ化しちゃうのかなー

あー彼女ほしかったーなー

童貞のまま死ぬのは嫌だなー



そこで、ふと気付く


ゾンビが襲ってこない

音も出してるし、隠れてもない

普通生きた人間が近くに行けば襲ってくるのが定石だ


しかし、今更逃げる気も起きない

すでに感染してるだろうしゾンビ化も時間の問題だろう

俺はゆっくりと立ち上がり歩き出す

やっぱり、襲ってこない


近くにいた、右手で鞄をもって

左手のないサラリーマン風ゾンビに近づいてみる

一瞬こっちを向いても、興味の無い様なそぶりでそのまま通り過ぎる


他にもいたゾンビに順番に近づいてみるが総じて無視


おいおい、ゾンビにまで無視されると悲しいな

泣きたくなるぜ…



泣きそうになりながら、とりあえず住んでいるアパートに向かうように

歩きながらゆっくりと周りを観察する


朝の時間だからシャッターの閉まっている店も多いな

コンビニとか24時間の飲食店は電気は着いてるけど中にだれも(生きている人)はいない

しかし、コンビニ店員のゾンビは律儀にもレジに立ってジッとしているし

もしかしたら生前の影響も少なからず有るのかもしれない



そう思案しながら、コンビニに入ってみることにした

自動ドアが空いてインターホンの様な音が鳴る


と、その時、近くに居たゾンビ数体が集まってきた

ガラス製のドアにぶつかったり、中にいたお客ゾンビは棚の商品を落としながら向かってくる


突然の緊張と絶望が体中を駆け巡る

声も出ないほどの緊張で体が動かない、嫌な汗が全身からブワッっと出る

あ、俺の人生オワタと悟った

唯一動く瞼をギュッとつむる


真っ暗な視界の中、お客ゾンビが派手な音を出しながら近づいてくる音が聞こえる

あと数歩の位置まで来た

漏れる様な変な声も聞こえる

(痛くないように噛んでね)なん無駄なことを考えてみる


最後に親と話したのはいつだったかなー

そう言えば、大学に入ってから地元には帰ってないな

あっちにはゾンビはいないんだろうか


あれ?ゾンビさん遅いな

結構待ってるんですが…

ゆっくりと目をあけてみる


目の前には、四十半ばくらいの親方風な顔があった

心の中で盛大な悲鳴をあけているが体は硬直して動かない

そして、親方風ゾンビも動かない


??

あれ??

噛まれないな、てか顔ちけーよ

脅かすんじゃねーよ


体の緊張がゆっくりと抜けていく

俺に反応したっていうよりチャイムに反応したってことなのかな

ゾンビになっても音には敏感なのね


ゆっくりと体を横に移動し親方風ゾンビの前からエスケープ

なんとなく雑誌コーナーへ行ってみる

いつもの習慣でとりあえず今日発売の週刊少年ステップを手に取り

先週の内容を思い出しながら、内容をなぞる


あー、こういう展開になったのね

てか相変わらず背景描写細かいな

なんてことを考えながら、読まないページをパラパラと飛ばす

一通り読んで、元の位置に戻し、店内をまわってみる


とりあえず、カップ麺でも買っていくかな


適当にカップ麺を2個取りレジへ向かう


いつも、買うホットスナックは無いようだ、残念

別にお金を払う必要も無いと思うんだけど

何となく人間としての尊厳を失っては行けない気がするので

払うことにする…


つりはいらねーぜ


貧乏学生には言えるはずの無い

一度言ってみたかった台詞を心の中で言う

心無しか、店員ゾンビがお辞儀をした様な気がしないでも無いが

別に気にする事でもないだろう


親方風ゾンビの横を静かに通りコンビニから出る

外に出てみると空はさっきより大分明るくなってきた


しかし、車も走ってないから思ったより静かなものだ



15分程あたりを観察しながら歩き

やっとアパートに到着

ここまでで生きている人との接触は無い

皆仲良くゾンビになったか

静かにして家に引きこもってるのかな



俺が住んでいるのは築50年の2階建て木造アパート

俺の部屋は2階の一番手前の部屋だ

1階の一番手前が大家さんの部屋で物音をたてると

深夜だろうが特攻してきて説教をしてくるババア

なぜここに住んでるかと言えば家賃が安いからでそれ以外の理由は無い


とりあえず、静かに階段を上り静かに自室に入る

半ば癖となった行動に今更ストレスも感じない


とりあえず、ものすごくお腹がすいた


買って来たカップ麺をあけて、お湯を注ぐ

冷蔵庫から実家から送られて来た納豆とマヨネーズを取出し

2分半程でフタを開けて納豆とマヨネーズを入れる

いつもはコンビニのフライドチキンも入れるんだけどね


ズズズズズッ

モグモグ

ズズズズズッ

モグモグ


え?まずそう?いやいやおいしいよ?

今日はチキンがないからかすごく物足りないけど(笑)

お手軽簡単高カロリーで一人暮らしの味方だね

いつもは1日1食なんだけど、やけに腹が減る

そういえば昨日は食べてないしなー


そう考えながら麺をを口いっぱいに頬張る

あっという間に食べ終わり、一息


流れでテレビをつけてみる

ザーという通称『砂嵐』


時計を見ると朝の7時過ぎ

番組は始まっている時間のはず

チャンネルを変えてみる

他のチャンネルも案の定入らない


唯一国営放送が綺麗なお花畑を永遠放送しているが

これを見てても何も得られないな

とりあえずシャワーでも浴びるか


外でゾンビと一夜明かした服には

泥と所々に血が飛んでいて綺麗とは言えない

血の付いた服をゴミ箱に投げ入れ洗面所へ向かう

鏡を見て自分の顔を見て驚く


うわ、結構酷いんだな


左のほお骨の下から顎のラインまで縦に3本の傷

皮と肉をえぐられて見た目がグロい

血は滲む程度で出血はそんなに酷くはない

痛みは感じなかったから思ってたより酷い傷に驚いた


それになんだか顔色も良くないな



傷に水が掛からないように濡らしたタオルで顔を拭き

髪と体の汚れははシャワーで洗い流す

さっと体を拭き、ドライヤーで髪を乾かす


まだ、お湯と電気が使える事に感謝だな


そう言ってもそんなに長く使えるとも思えない

電気なりガスを補給しにきてくれるとは期待できないし

ましてやこんなボロアパートの復旧なんて最後の最後だろう



とりあえず今後の目標として、

ここ(ボロアパート)からの脱出と生きている人との合流だな



そう心に決めて、少し休もうと万年敷き布団に横になる。


とりあえず12時くらいまで一休みするか…


ゆっくりと目が重くなってくるのを感じて体の力を抜いていく


………………

………………………………………

………………………………………………………………………



これから降り掛かる幾多も災難を彼はまだ知る由もない


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