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汝は裏切り者なりや?×俺の彼女は龍女神  作者: 原案・テキスト 松野心夜 俺の彼女は龍女神の原作・ろいはち
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第七話  Flame girl and night dragon(最終回)

「雅樹ッ!」

 大丈夫か、という言葉を省略して俺は叫ぶ。

「・・・・・・・あ、ゆむ?」

「そうだ! 俺だ! 龍夜歩だ!」

「俺は、今までどうしてたんだ?」

「どうやらここまで辿り着いたようですね」

 俺が一番憎んでいるこの声。

 上杉読心と、囚われた遠山が出現した。

「上杉、お前!」

「ここまで辿り着いたこと、褒めてあげましょう。

ですが、貴方はここで負けます。

私に勝てた所で、あの方がおります」

「あの方って誰だよ!」

「出番のようですよ、矩宗(のりむね)様」

 それと同時にもう一人出現した。

 男だ。まるで死神のような仮面を身につけ、禍々しいオーラを纏う剣を握っている。

 そして何故か、俺達が通う夢ヶ原学園の制服を着ていた。

「この方は人間です。

貴方達の同級生だったそうですがね」

 確かに聞いたことはある。

 矩宗――()()(のり)(むね)。チカラを使う大会に参加した経験は無いらしいが、かなりの実力者らしい。彼はいつも不気味な仮面を身につけ、人を殺しているのでは無いかという噂もあったぐらいだ。

 そんな彼のチカラ――それは。

「"死人を呼び出す"チカラ、そして――"強制的に生身の肉体を冥界に誘う"チカラ」

「普通に戦っても面白く無さそうですね。

矩宗様。お願いします」

 矩宗は一言も喋らず、何も無い空間で剣を薙ぎ払う。

 すると学校の背景がブラックアウトし、俺達が今立つ廊下のみが残された。

 そして背景は、灰色の空が広がる。

「その灰色の空が、冥界です。

もしこの地面から落ちたり、吹き飛ばされたりすれば、生身のまま冥界へ行って貰います」

「遠山さんは一旦お返ししましょう」

 上杉は、遠山を勢いよく投げ飛ばした。

「龍夜君・・・・・・」

「遠山! 俺が奴らを倒してやるからな!

待ってろよ!」

「仕方ないですね。戦いましょう。

まずは、挨拶ですッ!」

 上杉の片手から、洗脳波が放たれる。

 俺は避けられずに、喰らい洗脳されそうになるが、何とか耐える。

「もう俺には効かねえよ!」

「どこまでそんな大口がたたけるか、見物ですね。

私への忠誠心を植え付けるのが無理なら、これはどうでしょう」

 次の波動。

 防御、回避、共に不可能。

 眼を開けると、廊下も冥界も見えず、上杉と俺の間に崖があるように見えた。

「心があるのは、心臓ではありません、脳にあるんです。

目で見た物は脳が反転処理させて見ているものを伝えます。

つまりそこにダミーの情報を注入すれば、実際に見えない物を見させることが出来ます。

麻薬で脳がおかしくなると、幻覚が見えるのと同じです。

その気になれば幻聴も作り出せますが、貴方を追い詰めるならこの程度で結構です」

 そうか、これはダミー。

 ならば真っ直ぐ歩けば・・・・・・。

「出来ませんよ。

貴方の目は私と廊下と冥界が見えていますが、貴方の脳が見ているのは崖です。

つまり本物とほぼ変わりません。

人には恐怖心というものがあるので、本物の崖を見れば足が竦みますし、飛び超えようなどというバカな真似は出来ないでしょう。

これで終わりです。貴方の負けです」

 いや、違う。

 例え幻覚の崖を歩くのが怖くて出来なくても、飛び超えることなら出来る筈だ。

 俺のチカラを使えば。

 俺は冥界に触れない程度に後ろに数歩下がった。

 そして一気に駆け出し、崖を飛び超える。

 穴に落ちる、と思ったが穴に落ちる前に体が静止し。

 俺は上杉の前に現れた。

 そして元の背景が戻る。

「なるほど。それが幻覚と自分の脳に気付かせる事で、元に戻しましたか。

すごいですね」

「ふおおおおおおおお!」

 俺はゼロ距離で拳を引き絞り、一気に突き出す。

 上杉の顔面に直撃するが、上杉は腰に剣を薙ぎ払う。

「「歩!!」」

 ナオと雅樹の叫び。

 俺は隠したナイフを取り出し、上杉の心臓に突き刺す。

「よくやりましたね。

ですが私の大将を倒せますかね?」

 上杉はバラバラになって消滅した。

 ナイフをポケットにしまう。

 死羽は、やっと呟いた。

「俺が呼び出した死人を倒すとは・・・・・・貴様は何者だ?」

「俺は龍夜歩。

ただの高校生だ」

「そうか」

「お前こそ何者だ。

何の為に死人を呼び出した」

「俺は、自分のチカラで出来ることが無かった。

冥界に連れて行くチカラも、死人を呼び出すチカラも、人を傷付けることでしか使えない。

だから俺は、遊びたかっただけなんだ。

自分のチカラで」

 チカラが強すぎる故に、こういう考えに至る者もいる。

 それを思い知らされた瞬間だった。

「俺の名は死羽矩宗。

チカラは二つだけじゃない。

最後に、三つ目のチカラを見せてやろう」

 そいつは黒いオーラに包まれた。

 オーラから波動の放出が終わると同時。

 そいつの姿は激変していた。

 彼は別の姿になっている。

 女だ。短い紫の髪に、青い瞳。人目を惹きそうな容姿。だがハーフではなく、日本人。

 胸に黄色のラインが入った紫のTシャツに、紫のスカート。

 手には、鉄の籠手。

 その手は紅蓮の炎を纏っている。

「私の三つ目のチカラ、それは――生きている人や死人を問わず、自分の姿をその人に変える能力。ただし、喋り方まで一緒になっちゃうけどね」

 可憐な声。彼女は一体。

「あの人が変身したのは、デスゲームの生存者二人の内の一人。

北条(ホウジョウ)(アサ)()さんよ」

「生存者か・・・・・・」

「さあ龍夜君。生き残るのはどっちか、さっさと決めようよ」

 俺もアサミの姿をした矩宗も拳を握る。

 奴の拳を纏う炎は、雅樹の業火ほどすごくは無さそうだが、油断は禁物だと奴から漂う空気が教えてくれる。

「うおおおおおおおおお!」

「フッ!」

 炎の拳から熱風が吹き荒れた。

 だがそれは熱風というより、炎そのものに近いくらい熱い。

 雅樹の業火の方が、まだマシに思えた。

「だけど、負けられるか」

 拳を握り、死羽に叩きつけようとする。

 死羽はそれを躱し、俺の腹に拳を叩きつけた。

「ぐおっ!」

「オリジナルよりも強い・・・・・・」

 遠山が驚きながら呟く。

 オリジナルはこれより弱いのだろうか。

 俺は回し蹴りを放つ。

 死羽の横顔に直撃するが、ダメージは受けていない。

 死羽はヘットバッドを放つ。

 俺は吹き飛ばされる。

 勝つには、どうすれば。

「――私に任せて・・・・・・ッ!」

 死羽の声?

 俺の目の前に、もう一人死羽と同じ姿をした少女が現れた。

「死羽、お前の分身か!?」

「違うよ。それは私の分身なんかじゃなくて、どういうルートで来たのかは知らないけど、本物よ」

「本物?」

「私は北条朝美。デスゲームの生還者だけど、この世界に来られたのには理由があるの。

私の家の前の空間が歪んでて、何だろうと思って入ったら、ここに来たんだ。

死羽、私は絶対お前を倒して皆を助ける!」

 本物のアサミが拳を握る。

「まさか、この世界でもあのデスゲームのアビリティが使えるなんて思わなかったよ」

 死羽も拳を握る。

 駆け出す。

 死羽の拳を避け、アサミの拳が死羽の顎に突き刺さる。

 死羽はダメージを受けた。

「小癪なッ!」

 アサミは手刀の形を作り、死羽を斬る。

「今よ。龍夜君!」

 俺は拳を握り、駆け出し。

 死羽に拳を叩きつけた。

「ぐっ・・・・・・。

ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 数分間の爆発の末、彼は白い光を撒き散らして消え去り出す。

 白い光が俺の辺りの空間を染めるように広がってから。

 

 一気に元の景色に戻った。

 

 そこは廊下だ。

 アサミは既に消えていた。

 後ろを振り返ると、遠山が今にも消えそうになっていた。

「遠山!」

「時間が過ぎるのは早いわね。

死羽がいなくなった以上、私も消える存在。

でもいつか、また会えると思うわ。

来世で、また会いましょう」

 遠山は言い残してから、消え去る。

 俺は二人を連れて、家まで帰った。

 

 そして彼らを家に帰した後。

「ただいまー」

 俺の彼女、つまり龍女神が俺を迎える。

「貴方、どうしたの?

ボロボロじゃない」

「ちょっと喧嘩してきた。

チョコなら買ってきたぜ」

「ありがとう!」

 ポケットからチョコを取り出す。

 だがそのチョコは、既に粉々になっていた。シール共々。

「貴方、こんなになったチョコを私に渡す気?」

「いや、あのその。

不可抗力だよ!」

 結局ボロボロの体で、もう一度『浅井三姉妹チョコ』を買いに行った。

 

 家に帰る途中。

「本屋か、寄っていこう」

 そこのラノベコーナーに。

「これ・・・・・・」

 その小説のタイトルはこう書かれていた。

『汝は裏切り者なりや?』

 そこには先程まで戦った敵達の姿が描かれていた。

 俺はそれを購入した。

 彼らの事を、知る為に。

 

 一方。

 北条朝美も、ある本を見つけた。

「何これ、俺の彼女は龍女神?」

 そこには龍夜君の絵が描かれていた。

 私もそれを買うことにした。


後書き side松野

松野心夜です! 今回で最終回ですので、ろいはちさんのコメントもあります。

いかがだったでしょうか。僕は正直楽しかったです。

この話はここで終わりですが、俺の彼女は龍女神の方はまだ続くので、本編も出来れば読んであげて下さい。

そして、お知らせです。汝は裏切り者なりや?ですが、2を書くことが決定しました!

これからもよろしくです! 松野側からは以上です!


後書き sideろいはち

初めまして。俺の彼女は龍女神の原作者のろいはちです。心夜さんとのコラボ作品としてやらせて貰い、とても嬉しく思います。最終回ともなり少し残念ですが、まぁいいでしょう。是非とも私と心夜さんの原作も読んでみてくださいね。


この作品に携わった人

松野心夜 http://twitter.com/shinya_shinitai

ろいはち http://twitter.com/hachimikan618

原作

汝は裏切り者なりや? http://ncode.syosetu.com/n9038dq/

俺の彼女は龍女神 http://ncode.syosetu.com/n9211dg/

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