第四話 Gunungil's homicide demon
軍人と爺を倒し、俺は二階に向かった。
「うう・・・・・・寒い。窓全部割れてんじゃん・・・・・・」
これは何日か学校が休みになりそうだな、とか暢気に考えながら、次の敵を探し歩く。
ここら辺の筈だが。
その時。
風を切るような音と共に、ナイフの刃が右頬の近くに出現した。
切ったのは、風では無い。
ポタポタ、と、俺の右頬から血が溢れていた。
「おしいぜ。あともう少しでお前の脳を刺せたのにな」
「ふえあああッ!」
振り向いて尻餅をつき、俺は奴を見上げる。
ボサボサの黒髪、着崩したスーツ、漫画のモブ不良みたいな茶色の三白眼。
ダメ人間のように見えるが、良いがたいだ。
「お前も死人か?」
「死人とか言うのやめてくれよ。俺は元殺人鬼。
暗殺ぐらいちょちょいのちょいだぜ?」
殺人鬼?
職業は軍人なんかよりは大したこと無さそうだが、ダリルよりもすごい気を感じた。
何だか押しつぶされそうな圧迫感が、俺を襲う。
「お前は、誰だ?」
「俺は松田信虎。勿論好きな事は殺人。
お前をバラバラにしてやるぜ」
松田が突進する。
右手に持つ、ナイフの切っ先を俺に向けて。
俺はその場でまずは回避しようと、右に避ける準備をする。
彼は大柄だが、速度は凄まじかった。
殺人鬼になる為に、かなりの鍛錬を積んでいた結果だろう。
彼は右手のナイフで、俺を―――刺さなかった。
わざとずらしたのか?
だとすれば・・・・・・。
右に避けた瞬間、彼の左拳が勢いよく引き絞られ、俺の顔に命中した。
三メートルくらいは、軽く吹き飛ばされただろうか。
「ったく、殺人鬼ってバカなのかと思ったら意外に頭良かったな」
「バカに見えるかもな。だが殺人鬼になる為にも頭の良さは必要だぜ」
俺が動く前に、松田は何故か俺の後方にいた。
グサグサグサ、と背中に三回ナイフが突き刺さる。俺の心臓を貫くことは無かったが、激痛が走る。
俯せに倒れるフリをして、体勢を変え、足に回し蹴りを放つ。
バランスを崩した松田が転ぶ。
すぐさま、仰向けに倒れる松田にのし掛かり、顔面に右ストレートを放つ。
起き上がった彼に突き飛ばされるが、俺は一つの策を思いつく。
よく動くチカラを利用した技。
俺は松田にも認識不可な速度で、接近した。
そのまま右手を蹴り上げて、ナイフを奪い。
松田に突き刺そうとする。
が。
俺の右足が、突き刺されたような感覚がした。
よく見ると松田の左腕が、槍のように鋭くとがっていた。形はどっかの漫画の、グングニルとか言う武器にどこか似ている。
その槍は、俺の右足に深々と刺さっていた。
「うごああああッ!」
それに気付いてから、俺は悲鳴を上げる。
上げながら、俺は右手のナイフを引き絞って松田の胸に突き刺した。
「ぐ、ぐほあっ!」
さすがの松田も、攻撃中に襲われるとは考えていなかったらしい。
俺の足に槍を刺したまま、松田は姿を消し。
ナイフも槍も消え失せた。
そのまま俺は震える足で、三階を目指す。
松野心夜です! 遅れました!
リアルの方で色々忙しくて、書く暇がありませんでした!
えー、今回は殺人鬼、松田信虎を敵にしました。
松田の性格はまさに悪役そのものなので、意外とスラスラ書けました。
実は皆さん、汝は裏切り者なりや?本編を読まれている方は知っていると思いますが、
松野側の主人公は、まだ登場していません。
次回は、浅井三姉妹のバカな日常にも登場しているあの方です!
(平然とキャラ使ってるけど、スパ〇ュンに怒られないよな?)
ろいはちさんのコメントは最終話に頼む予定ですが、お楽しみに!