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眠り

作者: 夢野うつつ

とめどなく流れる涙を抱きしめつづけたら いつしか深い泉ができていた

あふれることは決してなく泉は膨張しつづけ 涙もかれることを知らなかった

私は心身共に疲れ果てて体を引きずりながら泉の奥へ奥へと沈んでいく

得たもの 失った隙間 これから失うかもしれない全ての可能性

そうしたすべてを手放して深く深くへと落ちていく


かんじるのは解放に色めき立つ歓喜のさざめき

羊水に包まれてぬくい暖かさの中へとかえってくる

「ただいま」と言えば優しく抱きとめてくれる

何もかもを投げ出して深く深くへと潜っていく

一つも手にしていなくても無条件に受け入れてもらえる波間

ああ 無の安らぎはなぜこんなにもいとおしいのだろうか


下のしたの方で微かな光がほのかにゆれている

時間さえも失われた底のそこでかがやく一点のその光

すべてが無の中で唯一ひかるために残されたその光

それは何なのだろう


「希望」と言ってはあまりにも安易すぎるその光

私はすべてを手放してその光に触れてみたい



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― 新着の感想 ―
[良い点] ・言葉選びが流れるようで読みやすいです。 ・文章の表現がひとつひとつ明確な意味を持ち、それが絡み合って、独特な世界観を描いています。 [気になる点] なし [一言] お 初目にかかります。…
[良い点] 幻想的な文体で興味深く、三回ほど読み返してしまいました。 流した涙で生まれた泉に、深く潜ること、その先にある光とは何なのか自分も考えてしまいました。
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