永遠の檻[連載・ファンタジー]2
学校へ行くのはなんのためだ? きっと、何かを学ぶためなんだろう。 でも、今の僕らには…… それが必要なこととは思えない。
僕はこの先ずっと、高校生として生きなければならない。 僕らは老いることを失った、成長することを止められた。 今と言う永遠、それをずっと繰り返す。 理論上、身体が衰えることがなければ100年くらい生きれるのだろう。 いや… もっと長いのかもしれない。 想像も出来ない長い時間、しかしそれはただ繰り返しているだけ。 何も変わらない自分をあと100年も続けるなんて……… 頭がおかしくなりそうだ。
「相太、どした? 今日はいつになく不機嫌だな」
「……なんにもないです」
僕のそっけない態度に、赤城先輩はため息をつく。 バスケ部の先輩であり、面倒見の良い人ではある。 だけど、僕の考えに賛同してくれるとは思わない。
「しっかし、ずっと高校生ってのも慣れればいいもんだよなぁ」
茶色い髪をかきあげて、楽しそうに笑っている。 先輩は、この世界を受け入れている。 だから僕とは合わない。 絶対に、合わないんだ。
「…先輩は、この街の状態に満足なんですね」
「まーなぁ、別に困ってることもないし。 永遠? ってぇのも貰えんなら貰っとくみたいな?」
「……おかしいと、思ったことはないんですか?」
もう5年も経っている。 僕らはとっくに成人している。 大人と呼ばれる立場になっている。 なのに、今も子供なんだ。 そう、これから先ずっと………
「……んー。 まぁ、おかしいっちゃおかしいけど。 受け入れねぇとな」
「……非現実すぎますよ。 こんな世界おかしい」
「非現実でも、これが現実だろ? こんなことになった街でも、俺らは生きてんだから」
「…………」
そんなの…… ただの逃げだ。 受け入れたって言葉で現状を変えようとしないだけだ。
「…先輩、僕今日は帰ります」
「んお? あー、了解。 コーチには上手くいっとくわ」
これが現実だから仕方ないなんて、僕は思いたくない。 世界はもっと広くて、綺麗なものだ。 あんな黒い壁に囲まれた世界なんて、正しいはずがないんだ。