なんですか?[短編・ラブコメ]
幼馴染との買い物帰り、高校の友達に遭遇した。
「こんなもんか?」
「こんなもんでしょ」
幼馴染と買い物中。 お互い両親の帰りが遅いため、ご近所ってこともあり夕食を一緒に食べることが多い。 買い物カゴに食材を入れ、レジへと向かう。
「すっかり暑くなったねぇ。もう夏だねぇ」
「だな」
そう言いながら、夏樹はスキップしている。 季節で一番夏が好きらしい、まぁ7月産まれだし、名前も夏樹だしな。 ちなみに俺は嫌いだが。
「たーかーはーしーく〜ん?」
不意に後ろから呼ばれ振り向いた。 丸坊主の丸めがね、そして丸顔ぽっちゃりな男が怖い顔してこちらを見ている。
「ああ、山田。奇遇だな」
「ん? 秋人、お友達?」
「ああ、高校の………」
「幻滅だ、高橋君‼︎」
夏樹へ紹介しようとしたら、突然山田は怒鳴り始めた。
「君は僕と女性不信同盟を結んだ同志だと思っていたのに……… なんだね! そ、そそそそのげ、激かわ女の子は!」
そんな同盟を組んだ覚えはないんだがな。 てか、別に俺もお前も女性不信ではないだろ。 俺はただ、彼女とかそういうのはいらないと言っただけで。お前は…… 女の子との接し方下手くそなだけで。
「あーっと…… 山田、誤解だ。 こいつはその、近所の幼馴染だよ」
「どうもー。 秋人の幼馴染で、夏樹って言います」
「で? それで?」
それでって……… それだけだろ? 近所に住んでる女の幼馴染、説明それで終了だろ!
「高橋君、幼馴染属性とかなんて恵まれたやつ!」
「おい、山田落ち着け」
「んー、でも確かにそうだよねぇ」
そう言って、夏樹はニヤニヤしながらこちらを見る。 なんだよ………
「私は秋人の幼馴染でぇ……… なんなんですか?」
「は? 幼馴染以外になにが……」
「なんなんだね! 高橋君!」
ちょ、山田うるせぇ。 なんなんですかって、幼馴染は幼馴染だろ。 それ以上も以下もないだろ。
「何って聞かれてもな、幼馴染としか」
「毎日一緒にご飯食べてるのに?」
「き、きぇぇぇぇぇぇ! き、貴様ぁぁぁ‼︎ あわよくばそのままお前を食べちゃいたいなどとーー」
「ちょ、山田マジ黙れ」
「これを黙らずにいられるかぁぁぁぁ!」
……くそ。 めんどくさすぎてぶん殴りたくなってきた。 あー、もう!
「夏樹、行くぞ」
俺は夏樹の手を掴んで、その場から逃げようとした。
「あ。」
「なんだよ」
「……秋人と手、繋ぐの。 小学生以来かも。……… えへへ」
「……っ。 うるせぇ」
変なこと言うなっつうの。 俺まで恥ずかしくなるだろ。
「は、爆ぜろリアじゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
山田の遠吠えが後ろから聞こえた。 ……ったく。
なんなんだよ、お前らは………