浦島太郎 異聞
かの有名な浦島太郎のお話です。
ツルに変化するバージョンがあると知ったのでふざけて書いてみました。
以下に該当する方には推奨できない内容となっています。
・SM、同性愛に関する単語に不快感を覚える。
・SM、同性愛に対して否定的な記述に不快感を覚える。
・性善説に否定的な内容に不快感を覚える。
・ハッピーエンドでない作品は読みたくない。
むかしむかしあるところに、浦島太郎という若者がいました。
太郎は漁師をして両親を養い暮らしていました。
ある日太郎が漁に出ようと海辺に向かうと、子どもたちが大きな亀を囲んでいます。
傍に寄って見てみると、子どもたちが皆で亀をいじめています。
「どうよ、亀甲縛りって言うんだぜ」
「ケンちゃんすげー。物知り-。」
太郎は見かねてその場に割って入りました。
「少年よ、亀を縛るから亀甲縛りなのではない。本当の亀甲縛りとは、こうだ!!!」
まるで魔法でも使ったかのように、一本の縄で瞬く間に複雑な縛りをしてみせた太郎に、少年たちはドン引きです。
「へんたいだー!たいへんだ、変態太郎が出た-!!」
「逃げろー!!」
全力で逃走する子どもたち。
太郎は亀の縄を解き「子どもには注意するんだよ」と亀を海に帰してやりました。
それから2,3日たったある日の事、太郎が海に出て魚を釣っていると、
「太郎さん、太郎さん」
と誰かが呼ぶ声がします。
「おや?君はあの時の亀さんかい?」
「一目見ただけの亀を個体識別できるとか、さすが変態ですね。」
「よせやい、照れるぜ☆」
「………」
「ところでどうしたんだい?」
「先日の屈辱的で恥辱的な行為…もとい助けていただいた お 礼 をしたいと思いまして。案内致しますので竜宮の乙姫様のところまで来ていただけませんか?」
「それはスッポン鍋的な意「違います」」
「まぁお礼をしたいというなら断るのも勿体ない。行こう。」
こうして助けた亀に連れられて太郎は何も考えず竜宮城へ向かいました。
珊瑚や昆布の庭園を持つ立派な建物へ着いた太郎は、乙姫様に出迎えられました。
「ようこそ太郎さん。私はこの竜宮の主人、乙姫です。
先日は亀を助けて下さりありがとうございます。
お礼に竜宮をご案内します。
どうぞゆっくり…そこ!いきなり昆布採らない!!」
「や、俺、漁師だし。」
太郎は自重しません。
「帰りに何か持たせますので、庭園荒らしはやめてください…。」
「むぅ、仕方ない。」
太郎の歓待のため、タイやヒラメが優雅な踊りを見せますが、太郎は漁師なので魚が泳ぐのを見るとか日常過ぎて何の面白みもありません。
他にすることもないので、乙姫様といちゃいちゃして過ごしました。
太郎としてはR18上等なのですが、乙姫様は最初こそガードが甘かったもののその後は頑なでR15止まりでした。
日々乙姫様といちゃいちゃしていた太郎ですが、生殺し状態に我慢しきれずとうとうある日強引に迫りました。
そして知ったのです。
乙姫様が男の娘だと。
村へ帰してくれと騒ぐ太郎のアシとして亀が呼ばれ、太郎はすぐにも帰ろうとしましたが、
乙姫様はそんな太郎に土産だと言って玉手箱を渡します。
「昆布?」
「もっと良い物ですよ。」
精神的ダメージと騒ぎ疲れた事で目が半分死んだ魚のようになっている太郎は追求する元気もなく玉手箱を受け取ります。
こうして太郎は竜宮城を後にするのでした。
海辺に戻った太郎はフラフラと亀から降ります。
そのまま立ち去ろうとした太郎に背後の亀から声がかかりました。
「ざまぁw」
悪鬼羅刹もすくみ上がる形相で振り向いた太郎ですが、亀の姿は既にありません。
一瞬船を出して亀を追おうかと思った太郎ですが、今の状態で海に出るのは危険と判断し諦めました。
腐っても漁師、海を舐めたりはしません。
「海で魚を釣っていたつもりが、亀に釣られていたというのかorz」
ただただ涙しました。
泣き濡れた太郎は家に帰りますが、両親の姿が見えません。
近くの人に聞いてみたところ、息子の変態っぷりが露呈してしまい世間体の悪さに耐えられず他所の村へ逃げ去ったそうです。
その話を聞かせてくれた村人も、汚物を見るような目を向けてきます。
竜宮城へ向かう前にあった当たり前の日々、気安い村人達との語らい、家族との暮らし、そういったものが今では手の届かない過去になったのだと太郎は再び涙に頬を濡らすのでした。
泣こうが喚こうが腹は減ります。
太郎は再び家に帰り食料を探しますが、何も見つかりません。
両親がすべて持って行ったのです。
取り急ぎ今日の食事分の魚を釣ろうと思いましたが、船も釣り具もありません。
よくよく考えれば釣りの途中で竜宮城へ行ったので、船も釣り具も海の上です。
都合良く無事な姿で海辺に戻ってくるわけはないのでした。
絶望的な気分になった太郎はしばらく見晴らしの良い崖の上で呆然としていましたが、竜宮城から持ち帰った玉手箱の事を思い出しました。
昆布ではないそうですが、食べられる物が入っていれば良いのです。
太郎は玉手箱を開けました。
中には「また来て下さいね。」という手紙と婚姻届が入っていました。
男姫という名前が書いてありました。
性別は♂です。
ガチでした。
心労がついに限界を突破した太郎は、まるで煙に包まれたかのように目の前が真っ白になっていくのを感じました。
意識が遠のいていたのは一瞬だったのか、それとも長い時間が過ぎていたのか、今の太郎の精神状態ではそれは分かりません。
ただ、強い心労でやつれた太郎は一気に何十年も老いたように見えます。
いつまでもこの場にいてもしょうがない、と崖を降りようとしますが、ショックから立ち直れずフラフラする様子も老人そのものでした。
フラフラと崖の上を歩く太郎はツルッとなって………遙か天の向こうへと旅立つのでした。
そうと知らない乙姫あらため男姫様は、太郎の再びの来訪をいつまでも待ち続けるのでした。
初投稿&創作経験が限りなくゼロに近いため、お見苦しい点などあるかもしれませんが、笑って済ませていただけると幸いです。