ろうそく
暗い時。
心細い時。
その手に、一本あるだけで。
何と心の落ち着くことか。
仄かな明かりで照らされた。
自分の顔の、なんと情けないことか。
持っている手を傾ければ。
その光は辺りを照らし。
自分に近付ければ。
その炎の温かさを知る。
手をかざして、その炎をもみ消して。
再びその炎を灯そうと思っても。
もみ消した手に、その力はない。
ろうそくは、いつでも。
僕の顔を照らす準備をしているだけで。
僕の顔を照らすには。
別の。
火を点ける、マッチが要る。
僕の、情けない顔を見るのには。
鏡を覗くにも。
周りを確認するのにも。
灯りは、どこからか、借りてこないと。
僕は、光を、出せない。