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6月〇日

「やはり核はまだ健在のようですね……」


 廃ビルを見つめる瑞希の隣で、玲が呆れたように呟いた。


 瑞希が初めて廃ビルの【影】を駆除した日から一週間。特待生達は毎日交代で廃ビルの【影】を駆除していた。そして、今日は瑞希と玲の当番の日だった。


「ここには何かあるのでしょうかね」


 玲は真剣な表情で呟くと、探るように辺りを見回した。


 初めて異変に気が付いたのは、廃ビルの【影】を最初に駆除した日、駆除に関して市田に電話で報告した時だった。核になる【影】がどの様な形をしていたか聞かれ、電話で報告していた蓮が別行動をとっていた裕太と慧子に確認をした。しかし、裕太と慧子からは「見ていない」との返事があった。念のためにと全員に確認したが、答えは裕太、慧子と同じだった。核になるような強い【影】を慧子や真一が見落とすとも思えず、結局、その日は姿を現さなかったとしか報告出来なかった。次の日に改めて裕太と慧子が駆除に向かったがその日も核は出て来ず、結局、交代でこうして【影】の駆除をしつつ核となる【影】を探すという、何とも面倒な状況に陥っていた。


「何で核が見つからないんですかね? 私、核の駆除ってすぐに終わるのかと思っていました」


「普通はそうなんですけどね。長くても、せいぜい三日くらいで見つかるものなのですが……。私も初めての経験ですよ」


 瑞希が不安そうに玲の顔を見上げると、玲は思案顔で顎に手を当て、何かを考えているようだった。


「あまり長い時間、ここにいても危険でしょうね。今日も、手早く一通り見て回りましょうか」


 玲は瑞希が無言で頷くのを確認すると、手に霊力を込めて手近な【影】に向かってゆっくりと歩を進めた。




瑞希日記


6月〇日


 お父さん、お母さん。私は今日も【影】の駆除を行いました。前に行った廃ビルでの駆除です。今日も核が見つかりませんでした。核ってこんなに見つけにく物なのですか? 経験豊富なお父さんとお母さんにアドバイスをもらえたら良かったのにと、今回程思った事は無いかもしれません。【影】の駆除にあたる不安も聞いて欲しかったですし、励ましても貰いたかったです。ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたね。別にお父さんとお母さんを責めているつもりは無いですよ。ちょっとネガティブになっているだけです。もしかしたら、【影】の駆除をしている最中、私の目では見えない【影】に憑かれてしまったのかもしれませんね。私の体質を考えたら、明日の朝には元気になっていると思います。あんまり続くようでしたら、きちんと市田さんにも相談しますし、心配しないで下さいね。明日を元気に迎えられるよう、今日はもう寝ようと思います。お父さん、お母さん、お休みなさい。

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