古今東西名前漫談
今回は奇っ怪なサブタイトルになった。つけながら思ったが、漢字だけのタイトルにはなんだか近寄りがたい雰囲気がある。ちなみに平仮名だけだと読む気が失せるし片仮名だけだと頭が痛い。
中庸と多様性と調和の大切さを説く良い例である(ということにしておこう)。
しかし、振り返ってみれば今までのサブタイトルもなんだかアレな感じのものもちらほらあったわけだから、今回も取り立てて気にすることはない(ということにしておこうPart2)。
『名は体を表す』と言われるが、案外当たらないことも多いわけだから、やっぱりタイトルについてどうこう言うのは野暮なのである(ということにしておこうPart3)。アルカンじゃあるまいし(※マイナーなクラシックネタ)。
「あんなの飾りです。偉い人には、それが分からんのですよ」というリオ・マリーニ曹長の名言で全てを片付けてしまおう。
なんだかいろんなネタが絡んでくるようになった前座と名のつくくだらない語りだが、やっぱりどうでもいいのでそれはさておき。
今回は名前について色々とつぶやこう。案外、ネタが多いジャンルなのである。
・寿限無
言わずもがな。作者は小学校の頃に覚えた。日本人の大半がよく知るトンデモネームである。親の優しさがあるのなら、まかり間違っても子供につけてはいけない。
…テストとかパスポートとかの名前の欄って、どうなるんだろう?
・二葉亭四迷
“浮雲”等で知られる明治の作家。名前の由来は「くたばってしまえ」である。小説家になることを父親に打ち明けた際に言われた言葉だとか。
“明治時代には小説家はやくざな職業だった”ということが如実に分かる名前である。が、いくらなんでもそれを名前にするのはいかがなものかと。
・シロサイ&クロサイ
シロサイは白いサイで、クロサイは黒いサイだと覚えている方が多いと思うが、実はこれは大間違いである。
シロサイは本来は"wide rhino"である。決して"white rhino"ではない。しかし、和名をつける際に"wide"と"white"を間違えたのである。
あと、“クロ”サイは、“シロ”サイとの対比でつけられただけの名前である。現在でも修正されていないし、たぶん人類が滅びるまで修正されることはない。動物の名前には、なぜかこういったミスがたくさんある。
・オンナダケヤモリ
別にメスだけしかいないわけではない。沖縄の恩納岳に住んでいるヤモリなだけだ。
・トゲアリトゲナシトゲトゲ
どっちなのかややこしいが、トゲはある。名前のついた経緯はややこしいので割愛。
・スベスベケブカガニ
どっちなのかややこし以下略。
・ジョン・スミス
一見すると普通のアメリカ人の名前っぽいが、実は普通ではない。
日本で言うところの“名無しの権兵衛”や“山田太郎”のような感じで、偽名を表すために使われる。覚えておくと便利。
・ピカソ
実は本名が死ぬほど長い。本人も覚えていなかったと言われるぐらい長い。
書くのが面倒なので、興味のある方は調べてください。
・VOCALOID
この名前は"vocal"+"oid"の合成語である。"vocal"は言わずもがなだが、"oid"はというと、ギリシャ語源の“モドキ”を意味する接尾語だ。つまり、"VOCALOID"を直訳すると“歌手モドキ”という身も蓋もないものになる。
ちなみに"Android"だって、ギリシャ語で“男”を意味する"andro"+"oid"だし、"humanoid"だって、"human"+"oid"だ。だから“女性型アンドロイド”と言うと“女性型男モドキ”となり、一種のジョークの風味を醸し出すのだが、大半の人には通じない。“ガイノイド”自体、通じないし。というかそもそも“アンドロイド”の定義自体が根本的に曖昧なのだ(“未来のイヴ”参照)。
・ブレードランナー
義足のランナーであるピストリウス氏の愛称。大半の人には「義足がブレードっぽいからブレードランナーね」でスルーされる。SFファン涙目。
・YKK
ジッパーやら窓のCMやらで有名な名前。その実“吉田工業株式会社 Yoshida Kogyo Kabushikigaisya”の略。NHK(日本放送協会 Nippon Hoso Kyokai)もそうだが、アルファベットを使えば良いってもんじゃない。
・Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb1116
なにやら悪魔の召喚呪文のようであるが、実際に人の名前としてつけられそうになった謎の文字列である。もちろん役所に却下された。名付け親は裁判所に訴えたが、当然負けた。
その代わりに考えた名前が"A"。読み方は“アルビン”。…子供の将来についてもっと真剣に考えろ。
・シーチキン
言わずと知れた有名な名前。ただ、はごろもフーズの登録商標名なので、他の会社は名乗れない。
そのため、コンビニのおにぎりなどで“シーチキンマヨネーズ”となっていれば、十中八九はごろもフーズの商品を使っていると見てよい。
というように、案外名前ネタは数多くある。
文章の片隅にちょっと出すだけでも「へー、知らなかった」と読み手を唸らせられるし、ただの雑学としても単発で十分通用する。
他にもたくさんあるので調べてみては?