まさかのときの
さすがに最近ちっとも更新していない状況に危機感を抱いているので、久しぶりのハイペース(当社比)更新となる。
ちなみに、この“ハイペース”に関してはあくまでも当社比なので、そうじゃないというご意見に関してはたぶん“見解の相違”ってやつでしょう。そうしておきましょう。これで万事円満解決。
ここ数日で急に冷え込んで、一気に秋めいてきた。作者の近辺では三週間ほど前から秋の虫が鳴いていたが、やはりこの涼しさあっての秋だと思う。
涼しくない秋なんて、固くないあずきバーやだばぁしないペヤングや凍らないWindowsと同じようなものだ。本当に大事な要素が欠けてしまっている。
なにはともあれひとまず『夏の終わり』と言いたくなるこの頃だが、さすがにこのキーワードだけであの漫画が出てくる人はいないと思う。そもそも、今どきあの漫画はほとんど読まれないよね、なんても思うわけで。
なんにせよ、体調を崩しやすいこの季節の変わり目。
読者の皆様、なにぞとご健康にはお気をつけください。
というように最初のくだりにはかなり強引にけりをつけてしまおう。
“なんにせよ○○”というように書くと、不思議と最後にまとまった印象が出てくるものだから本当に不思議だ。
さてさて、今年か昨年の夏頃だっただろうか? 北朝鮮がミサイルのようなものを撃ったのは。
あれは、周りの国が「撃つなよ。撃つなよ。絶対に撃つなよ。俺は言ったからな、絶対に撃つなって」というようにリアクション芸人のノリで北朝鮮の背中を押して、北朝鮮はもちろんそのノリにのって、さらに発射後すぐに爆発というまさかの抱腹絶倒オチまでつけてくれた国際規模の楽しいコントであった。
あのときは、北朝鮮にも案外ユーモアのセンスがあるのだな、と思ったものだ。
あのときに日本の沿岸に配備されていたミサイルの名前は覚えていらっしゃるだろうか。"Patriot"である。名前の意味は“愛国者”。
国を守るミサイルの名前としてはなかなかセンスがいいんだけれども、“愛国”という単語に“教育”がつくと、とたんに嫌な感じなる。
愛国教育のセオリーとしては、
昔自分達の国にはこんな辛いことがありました。しかし、それを立派に乗り越えて今の姿があるのです。そもそも、あの辛い目に遭ったのはどこかの誰かのせいなので、そういう悪いやつらをやっつけよう。自分達が正義だ!!
という内容を小さい頃から延々と吹き込むことが挙げられる。が、実際に文字にしてみると死ぬほど胡散臭いというかもはや安っぽい内容だ。
まぁ、
私達の国はいい国ですよー。
とだけ言ったって、ダメなものはダメなのだから仕方がないが。
たぶん、“愛国教育”という単語に嫌な感じがするのは、こういう“理屈になっていない理屈”で無理矢理国を愛させようとしているからじゃないだろうか。
本来、自発的に芽生えるはずの感情を教育の中で刷り込んでいくものだから、どこか歪な感じが拭えない。
もっとも、愛国教育というのは傍から見れば政治家や国家の質の低さを表しているようなものなので、他国にとってのいいお笑い草なのだが。
さて、こういう“他者攻撃型”の愛国教育で攻撃材料にされるのはやはり戦争が一番多い。どうしてもどこかに遺恨を残すわけだから。
だが、こういった過去の遺恨を引きずるのはアジアではよくあるものの欧米ではあまり見られない。
たとえば、ドイツの大手自動車メーカーであるフォルクスワーゲン。
実はこの会社、ナチスドイツ時代にヒトラーが国策で作った会社である。
実はあの時代は、ドイツはベルサイユ条約の天文学的な賠償金で経済がガタガタになっていたのだが、そこからヒトラーの政治の下なんとか持ち直して世界第二位の経済大国までのし上がったのである。
あのときにヒトラーは賠償金を踏み倒したりと色々えげつないことをやったのだが、もちろん経済再生政策もかなり力を入れた。その中で、フォルクスワーゲンが生まれたのである。
あと、アウトバーンという速度無制限の高速道路がヨーロッパにはあるのだが、それもヒトラーが国策で作らせたのである。
公共事業で道路を造ることで雇用を産み、さらに道路を走る車を造らせる。
もちろん車は高級品だからおいそれとは買えないけれども、国民にとっては稼ぎを示す憧れの的となったわけだ。しかも、買った車で走れる道路は絶賛建設中。道路を作るために雇ってもらっているので収入もある。
という流れがあるわけだから、ドイツ国民はフォルクスワーゲンの車を買うために必死に働いたわけだ。
今までなかった働き口は政府が作ってくれるし、実は失業者対策のシステムも世界で初めて採用してくれるので、国民は安心して働けたわけだ。
そして、働いて稼いだお金は、日用品などに使う。このようにお金を使うことこそ、経済の本質なのである。お金が回らなければ経済は活性化しないのだ。
ひょっとするとお金を貯めて使おうとしない人がいるかもしれないけど、そんなあなたにはフォルクスワーゲンの車がありますよ、と言ってどんどんお金を使わせたわけだ。
こういったドイツ経済復活の中核を担ったのがフォルクスワーゲンである。日本語での意味が“大衆の車”であることからもうかがい知れる。
さて、ここで冷静に考えてみてほしいが、この企業にはかなり強いヒトラーの影響がある。ヨーロッパでは未だに忌み嫌われている悪名高きアドルフ・ヒトラーである。
だが、どこの誰も「ヒトラーの影響がある企業なんだから潰れろ」なんて言わない。かつてドイツに侵略されたフランスでさえ、である。
当然だ。合理的に考えてみれば、過去の遺恨をわざわざほじくりかえすことには何の価値もないのだから。むしろ、そういった企業と連携する方がずっと“合理的”だ。全てが済んだ過去の事件は過去のものとして扱う方が。
愛国教育がいやがられる理由のもう一つとしては、このように“過去を過去と割りきる”という考え方がないからだろう。
政治家は、愛国教育をする暇があるのなら愛される国を作った方がいいと思うのだが、いかがなものか。