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適正値ゼロのリミィジュ  作者: 藤苺めぇ


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立ち上がる光

グランドフォール学園、訓練場。


朝の空気はまだ冷たい。


太陽が昇り始めたばかりで、広いフィールドには薄い霧がかかっていた。


石畳の中央で、ノエリアが剣を握っている。


額にはうっすら汗。


呼吸も少し荒い。


「もう一回!」


ノエリアが言う。


その瞬間。


目の前の炎が動いた。


ハイジだ。


「遅い!」


ドン!!


炎をまとった蹴りが飛ぶ。


ノエリアは剣で受けた。


ガン!!


衝撃が腕に響く。


ノエリアの足が石畳を滑る。


数メートル後ろへ押し戻された。


「くっ……!」


ノエリアは膝をつきそうになる。


でも踏ん張る。


ハイジは腕を組んだ。


「まだ甘い」


ノエリアは息を整える。


「もう一回」


ハイジが眉を上げる。


「まだやるのか?」


ノエリアは剣を握り直す。


「うん」


その目は真剣だった。


「次は負けない」


ハイジは少しだけ笑う。


「いい顔してるじゃん」


そのとき。


訓練場の端から声がした。


「力みすぎだ」


ジェイドだ。


いつの間にか見ていたらしい。


ノエリアが振り向く。


「ジェイド」


ジェイドはゆっくり歩いてくる。


金色の髪が朝日に光る。


「剣は力で振るものじゃない」


ノエリアの剣を見る。


「流れだ」


ノエリアは首をかしげる。


「流れ?」


ジェイドはノエリアの前に立った。


「構えて」


ノエリアが剣を構える。


ジェイドは木剣を手に取った。


「来い」


ノエリアが踏み込む。


剣を振る。


だが。


スッ。


ジェイドの木剣が軽く触れた。


それだけで、ノエリアの剣の軌道が変わる。


ノエリアが驚く。


「え?」


ジェイドは静かに言った。


「今」


もう一度動く。


ノエリアの剣を弾く。


ノエリアの体勢が崩れる。


「……!」


ジェイドは説明する。


「相手の力を流す」


木剣を下ろす。


「それが剣だ」


ハイジが笑う。


「さすがエリート」


ノエリアは少し悔しそうに言う。


「もう一回!」


ジェイドが頷く。


「いいだろう」


そのとき。


訓練場の端から声がした。


「頑張ってるね」


フィアだ。


手には水筒を持っている。


フィアはノエリアに渡す。


「休憩」


ノエリアは受け取る。


「ありがとう」


フィアは少し笑う。


「昨日の戦い」


ノエリアを見る。


「悔しかった?」


ノエリアは少しだけ黙った。


そして言う。


「うん」


空を見る。


「でも」


剣を握る。


「強くなりたい」


フィアが優しく頷く。


「うん」


ハイジが足を鳴らす。


炎が小さく弾ける。


「じゃあ続きだ」


ジェイドも構える。


「基礎からやる」


ノエリアは立ち上がる。


剣を握る。


朝日が剣に当たった。


ピンクの光が少しだけ揺れる。


そのとき。


胸の奥で、小さな声がした。


『……いいね』


ベルの声だった。


ノエリアは小さく笑う。


「うん」


誰にも聞こえない声で言う。


「強くなる」


風が吹いた。


朝の訓練が続く。


その先に――


次の戦いが待っている。

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