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適正値ゼロのリミィジュ  作者: 藤苺めぇ


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20/22

Aクラス

グランドフォール学園、中央広場。


空気が凍りついていた。


広場の中央に立つ一人の女性。


エスター。


黒いコートが風で揺れる。


その前に立つのは、生徒会長エイミー。


金色の長い髪が朝の光を受けて輝いている。


二人の間に、静かな緊張が流れていた。


周囲の生徒たちは誰も動けない。


ノエリアはフィアの隣で立ち尽くしていた。


(この人が……)


エスター。


ただ立っているだけなのに、空気が重い。


ハイジが小さく言う。


「やばいな」


ダニーが頷く。


「うん……」


ジェイドは静かにエスターを見ていた。


そのとき。


エイミーがゆっくり言った。


「ここは学園よ」


落ち着いた声。


「引き返して」


エスターは少しだけ首を傾けた。


「本気で言っているの?」


エイミーの表情は変わらない。


「もちろん」


一歩前へ出る。


その瞬間。


エイミーの胸のバッジが光った。


ゴールドバッジ、ダイヤ4。


空気が震える。


ノエリアが驚く。


(すごい……)


エイミーの周囲に、金色の光が広がった。


光の粒が空中を漂う。


アンナが隣に立つ。


「しゃーないなぁ」


少し笑う。


「会長、一人で行く気やろ?」


アンナのバッジも光る。


ゴールドバッジ、ダイヤ3。


柔らかな光が広がる。


その後ろ。


ウィリアムが静かに眼鏡を外した。


「生徒会として」


低い声。


「見過ごすわけにはいきません」


ゴールドバッジ、ダイヤ2。


三つの光が重なった。


広場の空気が一気に変わる。


Cクラスの生徒たちがざわめく。


「すご……」


「これがAクラス?」


ダニーが呟く。


「次元違う……」


ハイジが笑う。


「やっと本気見れるな」


ジェイドは小さく頷く。


「生徒会は別格だ」


エスターは三人を見て、少しだけ目を細めた。


「成長したわね」


エイミーが剣を抜く。


金色の光の剣。


「始めるわ」


次の瞬間。


エイミーが消えた。


ドン!!


空気が爆ぜる。


一瞬でエスターの目の前。


剣が振り抜かれる。


金色の光が一直線に走る。


ガン!!


エスターが腕で受けた。


衝撃が広場に広がる。


石畳が割れた。


ダニーが叫ぶ。


「速っ!」


ハイジが笑う。


「さすが会長」


エスターは少し驚いた顔をした。


「……速い」


そのとき。


アンナが動く。


「いくで」


手を広げる。


柔らかな光が広場に広がる。


「重力制御」


空気が変わる。


エスターの足元が沈んだ。


動きが一瞬鈍る。


その隙。


ウィリアムが静かに言う。


「拘束」


地面から光の鎖が伸びた。


エスターの腕に絡みつく。


一瞬で三人の連携が完成した。


観覧している生徒たちが息を呑む。


「すごい……」


「完璧な連携」


エイミーが最後の一撃を振り上げる。


金色の光が強くなる。


「終わりよ」


そのとき。


エスターが笑った。


小さく。


「本当に?」


次の瞬間。


黒い光が弾けた。


ドォン!!


鎖が砕ける。


重力が消える。


エイミーの剣が弾かれる。


エスターは一歩も動いていなかった。


広場が静まり返る。


ダニーが呟く。


「……え」


ハイジが眉をひそめる。


「マジか」


エスターはゆっくり言った。


「悪くない」


視線が三人を見渡す。


「でも」


その目が少しだけ鋭くなる。


「まだ甘い」


黒い霧が広場に広がる。


空気が一気に重くなった。


ノエリアの胸がドクンと鳴る。


(この人……)


強い。


圧倒的に。


エスターの視線がゆっくり動く。


そして――


ノエリアで止まった。


静かな声。


「あなた」


少しだけ目を細める。


「やっぱり」


広場に風が吹く。


「気になるわ」


ノエリアの胸の奥で、光が強く揺れた。


『ノエリア』


ベルの声だった。

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