生徒会
グランドフォール学園、中央広場。
朝の光が白い石畳を照らしていた。
噴水の周りには生徒たちが集まり、ざわざわと話している。
「昨日の戦闘見た?」
「Cクラスの子すごかったよ」
「ゼロの子だろ?」
その話題の中心にいるのは――
ノエリアだった。
ノエリアはフィアと並んで歩いている。
少し恥ずかしそうに言った。
「なんか……見られてる気がする」
フィアが笑う。
「気のせいじゃないと思う」
そのとき。
広場の奥から、空気が少し変わった。
ざわめきが止まる。
生徒たちが自然に道を開けた。
「生徒会だ」
誰かが小さく言う。
赤い制服の三人が歩いてくる。
中央にいるのは――
エイミー。
長い金髪が朝の光で輝いている。
その隣には、穏やかな表情の少女。
アンナだ。
少し後ろに黒髪の眼鏡の少年。
ウィリアム。
学園のトップ層。
生徒会メンバーだった。
ダニーが小さく言う。
「うわ」
「来た」
ハイジが腕を組む。
「なんだ?」
エイミーはゆっくり歩いてくる。
そして、ノエリアの前で止まった。
静かな瞳。
ノエリアをまっすぐ見ている。
少し沈黙が流れる。
ノエリアは緊張した。
(な、なに……?)
エイミーが口を開く。
「昨日の戦闘」
落ち着いた声。
「見ていました」
ノエリアがびっくりする。
「え?」
アンナが柔らかく笑う。
関西弁が少し混ざる。
「めっちゃ派手やったなぁ」
ダニーが小声で言う。
「見られてた!」
ウィリアムが眼鏡を押し上げる。
「怪物の核を一撃」
冷静な声。
「新人としては異例です」
ノエリアが慌てる。
「そ、そんな……」
エイミーはじっとノエリアを見る。
その視線は鋭い。
でも、どこか寂しそうだった。
エイミーが小さく言う。
「あなた」
少し間を置く。
「ゼロだったのね」
ノエリアは頷いた。
「はい」
広場の空気が少し静かになる。
そのときだった。
突然。
空が暗くなった。
風が吹く。
木々が揺れる。
「……!」
ジェイドが顔を上げる。
「闇反応」
その言葉と同時に。
中央広場の上空に、黒い霧が現れた。
生徒たちがざわめく。
「また!?」
霧の中から、一人の影が降りてくる。
長い黒いコート。
白い髪。
静かな瞳。
エスターだった。
地面に着地する。
石畳が静かに鳴る。
広場が凍りついた。
誰も動かない。
エスターの視線がゆっくり動く。
生徒たちを見渡す。
そして――
エイミーで止まった。
エイミーの表情が変わる。
小さく呟く。
「……姉さん」
広場の空気が一瞬で変わった。
ノエリアが驚く。
(え……?)
エスターは静かに言った。
「久しぶりね」
声は冷たい。
でもどこか優しい。
エイミーが前に出る。
「どうしてここに」
エスターの視線がゆっくり移動する。
そして――
ノエリアで止まる。
ノエリアの胸がドクンと鳴る。
エスターが小さく言う。
「……この子?」
カリンの声が頭に浮かぶ。
『ゼロの子』
エスターは少しだけ目を細めた。
そして静かに呟く。
「なるほど」
風が吹く。
長い髪が揺れる。
「あなたが」
その瞳が光る。
「次の光」
ノエリアの背中に冷たいものが走った。




