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闇の来訪者

グランドフォール学園、訓練フィールド。


観覧席のざわめきが、ゆっくり広がっていく。


さっきまで模擬大会の空気だったフィールドに、重たい気配が落ちてきた。


ジェイドが静かに言う。


「闇反応を確認」


その声は落ち着いているが、いつもより低い。


ハイジが周囲を見回す。


「どこだ?」


ノエリアは胸を押さえていた。


さっきから、胸の奥がざわついている。


(この感じ……)


訓練場の外。


森の奥。


そこから黒い霧がゆっくりと広がっていた。


観覧席の生徒が指をさす。


「あそこ!」


霧の中から、ゆっくり影が現れる。


小柄な少女だった。


ピンク色のドレスのような服。


長い髪が風で揺れている。


彼女は楽しそうに笑った。


「こんにちは」


その声は、場違いなほど明るい。


観覧席がざわめく。


「誰?」


「Cクラスの子じゃない」


ジェイドの表情が少し変わる。


「敵だ」


その少女――カリンは、楽しそうにフィールドを見回した。


「わぁ」


両手を広げる。


「たくさんいるね」


まるで遊び場を見つけた子供みたいだった。


ハイジが前に出る。


炎が足元で揺れる。


「ここは学園だ」


低い声。


「帰れ」


カリンは首をかしげる。


「えー」


くすっと笑う。


「つまんない」


そのとき。


カリンの足元から、黒い光が広がった。


地面の魔法陣が、じわじわと闇に染まる。


観覧席から悲鳴が上がる。


「怪物!」


黒い霧が渦を巻き、巨大な影が形を作る。


怪物だ。


さっきより大きい。


鋭い爪。


歪んだ体。


「グォォォ!」


訓練フィールドの中央に降り立つ。


石畳が砕けた。


グレタ先生が叫ぶ。


「生徒は下がりなさい!」


だが、Cクラスの生徒たちは動かなかった。


ハイジが言う。


「Cクラス」


拳を鳴らす。


「出るぞ」


ダニーが笑う。


「模擬大会どころじゃなくなったな!」


ジェイドが静かに言う。


「フォーメーション」


フィアがノエリアの隣に立つ。


水色の光がふわりと広がる。


「大丈夫?」


ノエリアは頷く。


「うん」


でも。


胸の奥がまたざわついた。


カリンがこちらを見ている。


まっすぐ。


楽しそうに。


「見つけた」


その言葉は、ノエリアに向けられていた。


カリンがくすくす笑う。


「ゼロの子」


ノエリアの心臓が強く鳴る。


(なんで……)


カリンは言った。


「君」


首をかしげる。


「面白いね」


そのとき。


ノエリアの胸の奥で、光が揺れた。


とても懐かしい気配。


『ノエリア』


小さな声。


ノエリアの目が大きくなる。


(ベル……?)


その瞬間。


怪物が咆哮した。


「グォォォ!!」


巨大な腕が振り上がる。


ハイジが叫ぶ。


「来るぞ!」


炎が弾ける。


ダニーが前へ飛び出す。


「行く!」


ジェイドの声が響く。


「戦闘開始!」


ノエリアは剣を握る。


胸の奥の光が、さっきより強く輝いていた。

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