書く理由(その参)
私が書かなくなったきっかけは、退職でした。休養中に執筆することを肯定的に捉えられず、そのまま毎日アクセスしていた『小説家になろう』から足が遠のいてしまいました。こうして執筆していても、以前のように言葉は湧いてきません。何度か下書きをしたことはあったのですが、文章があちこちでぶつかって書き上げることができませんでした。毎日パソコンに向かっていたときとは違いますよね。
書いていないあいだに、彼と同棲することを決めて、退職した年の暮れに引っ越し。翌年夏に精神のバランスを崩し入院。
退院後はちょっとの家事をして、ほかは寝るだけの生活をしていました。彼は転職したタイミングで、仕事も大変だったと思いますが以前と変わらず私を自由にさせてくれました。そのおかげで回復も早く、令和六年十月に就職。十二月に結婚しました。
退職をしてからドミノ倒しのように人生が動き戸惑いもありましたが、思い切った決断をして本当に良かったと思えます。
去年あたりから楽しくWeb小説を読めるようになり、感想を書くことができるようになりました。エックスで、私が参加しやすそうなコンテストを紹介してくださった方。『その時々で書けることがあるよ』と励ましてくださった執筆仲間さん。『小説家になろう』で書き続けていらっしゃる敬愛する作家さまの姿を拝見し、執筆に戻りたいと考えるようになりました。
私がこれまで書いていたのは、自分と向き合うたびにおこる憤りや痛みを昇華するためでした。書き始めのころは凄く閉じていて、自分の経験に寄せたり、頭の中の会話を文章に起こしていました。それが、『小説家になろう』で読んだり書いたりしていくうちに、世界が広がった気がします。書くことで心がずいぶんほぐれましたし、かけがえのない人たちに出会えました。
並行し彼が私を尊重し続けてくれたことで、過去の家族の姿にこだわり、彼との未来を拒み続けることが、どんなに罪深いかようやく実感することができました。
その日暮らしだった私も、ついに長生きするために暮らすことにしました。ずっと一緒にいたい人ができたのです。きっと書いていなかったら、この道には辿り着いていなかったでしょう。
自分を大切に思うようになり、臆病になった面もありますが、これから世界の広がり方が少し速くなっていく予感がします。
『書く理由』と大きなタイトルを付けましたが、勇気を出して、そのときどき感じたこと、思ったことを構えずまた書いていきたいです。




