第12話「国王の居場所」
着替えたオレは城の中を鉄仮面を被って闊歩する。
国王の居場所ってたってなぁ……。流石に王様だったら忙しいだろうし、ゲームみたいに玉座に居座っている訳じゃないだろう。
うーん、とりあえずその辺にいる人に聞いてみるか。
オレは警備をしている兵士に聞いてみる。
「あ、あの……、そのぅ、お、お父様」
「はっ、なんでありましょう!」
勇猛果敢な出立ちでオレが話しかけてもピシッとした返事で、付け入る隙が無い。
「ひっ、その……、お、お、お父様はどこに……」
「国王……様でございますか? 国王様は執務室におられると思います!」
「あ、ありがとう」
声がデカい……。威嚇されてるのかと思うくらいには威圧感のある返事で、萎縮しながらオレは執務室を目指す。
「はっ、執務室ですか? それならあちらに…」
「残念ながら国王は今日は御不在です。司書室におられるかと」
「国王様は此方には来ておりません」
「国王様はお出掛けになられた筈ですが」
「国王様ですか?いえ、城から出ておられないと思いますが」
だぁーーーーー!!! お使いクエストじゃないんだぞ!?
城の中を散々歩き回されて足がクタクタだ。鉄仮面被ったまま移動するのも結構大変なのに!
「くっそ〜、こんな時スマホがあればすぐなのに……」
今更ながら現代社会の便利さを痛感する。操作ひとつで簡単に自分の欲してる物を手に入れる事が出来てしまうのが当たり前過ぎて、いざ文明の機器がない世界に来ると、ここまで不便になるとは思わなかった……。
「現代社会の恩恵に慣れ過ぎた代償か……。人探しでこんなに苦労するなんてな……」
大広間の椅子に座って休憩してたら、メイド達が掃除道具片手に入って来た。
「あら? 姫様……? どうしてここに……」
「ガーレット。あの、お父様を探していて……」
「国王様ですか? 先程、大聖堂に居られましたよ」
「大聖堂……?」
「はい。城の隣に隣接する。国王様に何か御用ですか?」
「あ、うん。ちょっと……」
大聖堂……。あれか城のすぐそばにあった丸い屋根の建物か。
「ありがとうガーレット」
「はい。宜しければ私もご一緒に参りましょうか?」
「う、いや! 大丈夫! 平気!!」
そうそうガーレットに頼ってばかりでもいられない。彼女だって自分の仕事があるんだから、あまりオレの事ばかりさせるのも気が引ける。
オレは大聖堂を目指して城を出ようとして怒られるのだった……。
○◇○◇○
「ちぇっ、連絡路があるならあるって、そう言ってくれればいいのに……」
門番の兵士と一悶着あった後、大聖堂への順路を聞き出し、そこへ向かう。
大聖堂に到着する。
綺麗な装飾の施された堂内は光が差し込み、神秘的な雰囲気に満たされている。オレはその奥、中心部に飾られている石像を見て興奮の余りふるふると震えている……。
「あ、あ……、あ、モ……モモモモ、モ、モ、モニュ様、!!?」
そう。大聖堂の中にはオレの推し、『白熱少女マジカル⭐︎うえぽん モニュ・ブリジットの憂鬱』の主人公、『モニュ様』が飾られていたのだ!
「そんな……! こんな所でお会いできるなんて……! あ、あ……、あ、おっきぃ……! すごい……えっ、どうしよう、泣きそう……、こんな精巧なフィギュア……、ずっと拝んでいられる……!」
モニュ様に走り寄って、あらゆる角度から見回し、端正な顔立ちと凛々しい立ち姿に感動する。
ポージングのチョイスもさる事ながら、表情の細やかな機微が抜群に好き!!
これは……この石像を造った人物は『解っている』製作者だ。この造り手に感謝とお礼の投げ銭をしたい……!!
「最高か……! 最高かよ……! ああ、もう無理……、格好良すぎて、直視出来ない……、こんなの、ダメ……、魅惑の眼差しが眩し過ぎて、『不敬罪』で捕まっちゃう……、ああ、でもモニュ様に捕らえられるなら、一生そのままでも、いいぃん……」
「なんだ騒がしいと思ったら子猫が迷い込んでいたのか。懺悔なら、ここで聞くぜ?」
そう言ってオレの後ろで、決して整えてあるとは言い難い髪型と無精ひげを生やした背の高い白い祭服を着た男が酒瓶片手に、オレの醜態をニヤケ顔で眺めていたのだった。




