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巨乳の彼女を恥ずかしがらせるだけの話  作者: りむ


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20/21

#20 止まらないだけの話

今日も朝から胸がきつかった。物理的な意味で。


(……まだ、育ってる?)


鏡の前で制服を直しながら、私は密かに戦慄していた。明らかにキツい。ブラのカップに収まっていない気がする。というか、溢れている。

現在Lカップ、さすがにこれ以上成長するとは思っていなかったけど。


(ABCDEFGHIJKLM。……Mカップ……ついに、Mの世界へ……?)


アルファベットを順番に数えないと、自分のサイズすらわからなくなりそう。

ブラジャーはキツいけど、スナップボタンのおかげでブラウスは今まで通りに着ることができそうだった。


昼休み。午後の体育のために体操服に着替える前に、ブラから溢れているものをしまうために、こっそりとトイレに向かう。ブラウスのボタンを外し、ブラのホックを外す。

ふと気まぐれにブラのタグを見ると、そこには“J70”と書いてある。


「…………」


(ちょっと待って、つけるサイズ間違えた? 2サイズ下って……)


つまり、ただキツいブラをつけていただけで、成長はしていなかった。


大きなサイズは、その種類が限られている。だから、ある程度のサイズを超えると、同じブランド・同じデザインのサイズ違いを買い続けることになる。間違えてることはやむを得ない。

心の中での自分への言い訳を終えて、集中する。成長していなかったことに安心もした。

とりあえず、体育の授業を乗り切らないと!


そして、体育の時間。走るたびに、跳ねる。揺れる。ズレる。食い込む。


「無理……ほんと無理……」


私は腕で胸を押さえながら、必死にバレないよう走る。

先生は「フォームが不自然だぞ!」とか言ってたけど、それどころではない。

フォームよりももっと不自然な部分には気づかれていないのが、不幸中の幸いではあった。


こんな苦行、体に悪い。いや、胸にも悪い。


制服に着替え終え、廊下を歩いて教室に戻ろうとしたときだった。

少し先の廊下の角。そこに、男子数人が集まって、なにやら盛り上がっているのが見えた。


「あれ、マジでやばかったよな」


ふと、聞こえてきた会話の断片。

ただの立ち話。そう思えば済んだはずなのに、なぜか胸の奥に不穏なものが走る。


(……ん?)

欲望が丸出しの表情と言葉の響きが、どうにも他人事に思えなかった。


「最初見たとき、うわでっか! って声出たわ」


ピクンッと肩が跳ねた。血の気が一気に引く。背筋が、ぞわりと粟立つ。

(……で、でっか!? まさか、私の……!?)


不安が、確信に変わりそうになる。制服の前を思わず見下ろしてしまう。

さっきトイレで直したはずなのに、また少しだけブラの上辺から肉があふれてる気がした。そっと胸元を押さえる手が、じっとりと汗ばんでいた。


「マジで、でかいとは聞いてたけどさ、実際に目の前で見たとき、驚いたよ」


(やっぱり……!? やっぱり見られてた!?)

心臓が喉の奥まで競り上がってくる。脳内で赤ランプが点滅する。

まさか、あの体育のとき? 揺れてた? 跳ねてた? 目立ってた?

そっと胸元を押さえる。ダメだ、余計に意識しちゃう……!


「うん、器から完全に肉が溢れててさ」


(やっぱり、溢れてる……!? そんなに目立ってた!?)

彼らの言葉が、すべて自分のことのように聞こえてくる。制服のボタンをもう一度確かめたくなる衝動を押し殺す。顔がどんどん熱くなっていくのを感じながら、私は呼吸を浅くした。


「しかもさ、ただデカいだけじゃなくて、めちゃくちゃ柔らかいんだよ!」


(ちょ、ちょっと声大きくない……!? やめてよ、ほんとに……)

ドクドクと鳴る心臓の鼓動が、耳の奥でうるさいくらい響く。

その一方で、聞こえてくる男子たちの会話は、容赦なく耳に突き刺さる。


「で、柔らかいのに、しっかりハリがあるっていうか。しっかり弾力があるんだよな」


(な、なにそれ……そんなに細かく……!? 私……そんなに揺れて、そんなに見られてたの?)

私は思わず廊下の壁に寄りかかった。膝が少し震えている気がした。

もう、視線を感じるとかじゃなくて、見透かされてる感覚だった。


「コシもあるし、バランス、神だったな」


(こ、腰!? そんなところまで!? バランス!? 全身見られてるんだ……!?)

意識すればするほど、重みを感じる。シャツ越しの自分の胸。揺れ、弾み、視線。今までの一瞬一瞬が、急に鮮明に思い出される。


「それな! デカいのに飽きないのすごいよな」


(もうやだ……見ないで……!!)

顔から火が出そうなほど熱くなり、手のひらは汗で湿っていた。体の芯がキューッと縮こまっていくような感覚。視線が怖い。声が怖い。男子が怖い。穴があったら入りたい。


「あと、あぶら。逆にそそるみたいな?」


(うわああああ!? なんでそんなとこまで!?)

もしかして、体育でちょっと汗ばんでたの、バレてたの? それに“逆にそそる”って、なに!? どんな目で見てんの!? 心臓のドキドキが止まらない。私、今、何を……見られてるの? 話題にされてるの? 何に気をつければいいの?


「写真撮ったけど見る?」


(!?!? しゃ、写真!? なに撮ったの!? 見せないでよ、お願い……!!)

全身が、バチンと音が鳴るように強張る。心臓が喉の奥で暴れて、口から飛び出しそうだ。涙が浮かびそうなのを必死にこらえる。


「これ、おかずになるよ」


(お、おかずって、なにそれ……どんな目で見てんの……!? 私……もうほんとに無理……! し、信じられない……! ほんとにやめてよぉ……!!)

息が苦しい。頭が真っ白。羞恥と恐怖で、全身が締めつけられるようだった。


「またいきたくなってきたわ」


(えっ、また? 学校で〜〜〜!!!?)


「でもあそこまで大きいと体に悪そうだよな」


(わ、私、確かに肩こりとかはあるけど……!)


「でもシコシコしてて、汁がちゃんと絡むんだよ! もう、止められないよ」


(!?!?!? し、シコ……し、汁!? な、なにそれ……もう無理、無理無理!!)

頭の中がパニックだった。羞恥心と困惑と恐怖が、感情の洪水となって押し寄せてくる。


「いや~、マジであのラーメン、神だったわ!」


(ラ、ラーメン……!?)


急に現実に戻ってきて、脳内の赤信号が消滅した。あまりの衝撃に、脱力してその場に座り込みそうになる。

ラーメン。器から溢れるチャーシュー、柔らかくてハリのある豚、シコシコした麺に汁が絡んで、その濃厚な旨みをおかずにするラーメンフリークも少なくない。


(ラーメン……全部、ラーメンの話……!? 私の胸の話じゃなかったの……?)

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